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女装をした陰キャ、時給2000円でママになる  作者: 久遠ノト
1-4 小説家とVtuberと友達と:ただ友達と遊ぼうとしただけなのに
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47 テスト期間の突入のお知らせ



 全ての講義が終了し、テスト初日。


 早めに大学に向かい、休憩スペースで見返しをすることに。


 テストを行う講義室は事前に教えてもらっていて、テスト前に座席が張り出されるらしい。高校と大学ってやっぱり色々と違うよな。


「イオ、最終日のことなんだけどさ」


「どした~?」


「テストが終わったら蒼央さんが車で大学まで迎えに来てくれるらしい」


「知ってるっての。グループでも言ってたろ?」


(言ってたけど……特に疑問は持ってないのか)


 テスト後ではなく、一日くらいゆっくりしたいのはボクだけか。終わってすぐに海に行くなんてさぁ……イオは運転もするんだよ? 疲れない? 

 

「じゃあ、単位を落とさねぇように頑張ろうな」


「……。うん!」


 諦めよう。テストに集中しよう。テストに集中……テストに集中――……。

 

「あい、テスト始めるぞ~。学生証だせ。裏面で渡していくから表は見るなよ~」


 集中集中――


「テスト開始!」


 集中ー……集中ー……VTuberの準備と海にいくことなんて忘れて……あああ。


(『何も考えるな』を考えてるみたいな状態になっちゃった……)


 色々することあるのやだ、こわい、なにもない猫みたいな生活したいのに。あああああ、もおおおおお、やること多いのやだなあああ……。


 陽キャと陰キャの違いって、こういう1つの行動に対するMP消費量だと思う。彼らは1ターンで複数行動ができるのに、ボクらは1ターンに1コマしか進めないんだ。


 いや、普通1ターンに1コマだろ。あっちがチートなの! ボクらが普通なんだよ……!


「あい、45分経ったから終わったやつは退席していいからな~」


(はあ……久々の愚痴タイムだった)


 出るか、終わったし……、見直しもしたし。


 そのまま昼休憩に入って、混みだす前にご飯を済ませて、図書館の外にある机で次のテストの見返しをすることにした。


「……次は……現代日本経済か」


 本当ならイオと一緒に行動した方が良いんだけど、イオはこの講義を取ってないし、確か今日のテストはさっきの一つだけって言ってたもんな。

 

 まぁ、ここなら男の人に声をかけられることもないだろうし。なにかあっても近くの教授たちが出入りする建物に入り込めば逃げれるし。


「お、いたいた。ミオ! 一人で行動すんなよ~!」


「……? イオ……って──」


「え、この子だれ~?」


「この子のこと言ってたの?」


「やっぱりあってた」


 顔を上げたら見たことがない女性グループを引き連れてイオが登場してきた。


 みんなカラフル、え、信号? 信号なのかな。アニメのキャラクターみたい。あ、信号以外の色もある。えっ、なに、なに? なんだ、え、こわいっ。種類が違う陽キャのバラエティパックみたい。


「コイツ、私のダチ。可愛い顔してるだろ」


「ピンク可愛い~。どこで染めてんの?」


「かひゅっ……」


 質問された。やばい、答えないと。えっと、あのっ、えっ。


「と、ともだちの家が美容師で……そこで……染めてもらってて」


「え~、いいな~。すごく綺麗~」


 髪の毛に触れられ、借りてきた猫のように固まっているとイオがボクの緊張に気づいてくれたらしく。


「困ってるだろ、あんまダル絡みすんなって」


「困ってないよ~。ね? えっと」


 この流れ的に……名前か? 


「み、みおとです」


「ミオちゃんって言うんだ。可愛い。え、おない?」


「そー。経済。私らと一緒」


「この後ひま? 私らマッケで時間潰すけど」


「ミオはテストがあんだよ。わたしもあるから、やめとくわ」


「り。またな~」


「おー」


 三人の陽キャが建物の向こう側に行くのが見えると、イオは向かいの席に座った。


「悪いな、ミオが先に出ていったのが見えてたんだけど時間食ってたら見失ってさ~。アイツらに聞いたらここらへんで見たって言ってたから」


「……良かったの?」


「なにが?」


「その、イオ……講義ないよね? 今日はさっきので終わりって」


「だって、アイツらいたら嫌だろ? ミオは気を遣うと思うし」


「いや、マッケに行く方が」


「ミオといるほうが楽だし? それにこの場所なんだよ~! 居心地良いじゃん」


 もー……!! そういうことを平然という……!!

 

「……どした? 顔を覆って。見せろよ」


「…………ヤ」


 絶対に真っ赤だ。あと、絶対に口元がニヤけてる。


 こういう言葉をぽんぽん言えるのは、なんでなんだ? ボクにはないスキルツリーだ……。


「でも、こっちこそ良いのか? 邪魔ならどっか行くけど」


「邪魔じゃないよ。軽く見返すだけだし」


「ふーん? なら良いや」


 話していると、イオのスマホに通知がぽんぽん飛んできていた。


「……イオって友達多いよね」


「多い……? 数とかあんま気にしたことないなー、多いのか?」


 うぐ、友人の数とか気にならないのか。


 じゃあ、あのSNSの友だち数で自慢してくる奴はなんなんだ。あのマウンティング地味に刺さるんだぞ。


「どうやったら友達って作れるの?」


「ふつーに。なんも意識はしてないなー。話しかけたりとか?」


 天才の話を聞いてる気分にさせられる。勉強してないのにテスト満点取れるみたいな話だもんな。やはり才能か。


「しいていうなら……そいつが好きなモンでも奢りゃあいいんじゃね? 悪い気はせんしな」


「そういうもんですかね」


「深く考えなくて良いんだよ。だってコイツと一緒にいたいと思ったらそれはもうダチなんだしさ」


「ふむ……深く考えすぎなのかな……」


「そーそー。シンプルシンプル〜」


 しんぷる……うーん、自信がない。


「じゃあさ、喧嘩したときは? 仲直りはどうするの」


「一緒に缶コーヒー飲んで話でもすりゃあ解決だ」


「そーいうものかな」


「そーいうものさ」


 そんな話をしながら、勉強していると次のテストの20分前になった。


「じゃ、そろそろ行ってくるよ」


「ン。もーそんな時間か。頑張れよ~」


「イオはもう帰る?」


「ここ気に入ったからもうちょいここにいるかも。勉強もしたいし」


「そっか。じゃ」


「んー」


 といって少し先にある自売機で飲み物を買った。イオはいつもこれ飲んでるから、これでいいかな。


(教えてもらったのを即実践してみよう)


 資料を広げてるイオにバレないようにこそっと近づいて。


「はい、いつもの」


「お、わ、びっくりしたー……もう行ったのかと」


 ふふ、びっくりしてる。一人の時はイヤホンするもんね。


「ご飯後のコーヒー、飲んでないよね? ご飯は食べたみたいだけど」


「よく見てんなー……」


「そりゃあ、ダチですから」


 お揃いの缶コーヒーを買いましたアピをして、笑ってやった。


「なーんて。じゃ、お互いに頑張ろーね」


 イオに言われた言葉を返してみると、面食らった顔をしてた。


 たまにはボクだってやり返すんだぞ。やられっぱなしじゃない。あと、友達の数がいないから、好きなものを把握するの難しくないし。


「……思ったより甘いけど、全体的に渋めな味だ……」


 イオはコーヒー強めのカフェオレが好き、か。うん、覚えた。


 ちょっと同じ系統のコーヒーを淹れられるように練習しておこうかな。

この後書きを書かないと評価はいらないと思われると聞きましたので。


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