いまも忘れらんねえよ。
●トリビュート作の存在もあって興味深く聴ける点もあるものの、全体的に見るとインパクトが弱まった印象が。
【収録曲】
<ディスク1>
1.歌詞書けなすぎて、朝
2.これだから最近の若者は最高なんだ
3.夢に出てくんな
4.アイラブ言う
5.知ってら
6.俺にやさしく
7.お前の話は聞いていない
8.いいから
9.2時間なんもしなかった
10.プロポーズ
11.いやがらせのうた
12.悲しみよ歌になれ
13.音楽と人
14.君の音
15.犬人間
<ディスク2>
1.知ってら(安藤裕子)
2.アイラブ言う(田所あずさ)
3.犬にしてくれ(NakamuraEmi)
4.バンドやろうぜ(ネクライトーキー)
5.CからはじまるABC(橋本絵莉子×忘れらんねえよ)
トリビュート作が付属した2枚組としてリリースされた忘れらんねえよのアルバム。まず、今作の「本体」と言える「ディスク1」についてですが、前作『週刊青春』と比べて、「聴く人によっては引いてしまいそうな要素」が薄まったように思えました。『歌詞書けなすぎて、朝』や『アイラブ言う』は率直なラブソングといった感じですし、『知ってら』は感傷的なバラード、『いいから』はネット系の音楽を意識した……というよりも『うっせぇわ』のパロディと言える、打ち込みのサウンドと繰り返しのフレーズを取り入れた曲になっています。
そういう意味では、「より一般受けする内容になった」と言えますが、全体的に「ベタ」な要素が強くなり、「ここまで言うの?」と思わせるようなインパクトが弱まった印象も。『犬人間』のようにある種の「気持ち悪さ」に振り切った歌詞を聴かせる曲も無いわけではないのですが、「シングル曲をリリース順に並べる」という構成とはいえ、アルバムを締める曲としてはミスマッチに感じられるところもあります。
そして、トリビュート作の「ディスク2」についてですが、セルフカバーに近い形式の『CからはじまるABC』を除けば全て女性ボーカルを強調したものになっていることもあって、原曲とは随分異なる雰囲気のカバーが目立ちます。特に興味深かったのは『知ってら』と『犬にしてくれ』でしょうか。前者はメロディの良さが上手く引き出されているように思えますし、後者はスタイリッシュなサウンドによって歌詞の世界観が原曲と異なって見えてくる点が新鮮でした。
総じて言うと、トリビュート作の存在もあって色々と面白く聴けた面はあったものの、「『週刊青春』ほどでは無かったかな……」という印象が残るアルバムでした。まあ、「情けなさ」を感じられるほどストレートに自身の感情を綴っていく作風自体は相変わらずで、その点からすると彼ならではの「個性」は健在なのですが。
評価:★★★★




