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♡19 陽菜さんの恋愛相談

野川秋(のがわあき)(16) 高一 女子高に通うイケメン女子、文武両道の秀才だが超絶マイペースにして隠れオタ


宮姫純恋(みやみめすみれ) スミ(16) 高一 秋のクラスメイトで親友、妥協なきツッコみマシーン、すばらし()お山の持ち主


佐竹葵(さたけあおい)(16) 高一 秋たちとは別のクラスの子、先日秋にラブレターを渡した。純恋曰く、すげーかわいい


浅羽陽菜あさばひな(17) 高二 純恋のバイト先の先輩、学校は別、髪型が変? ただ今出番上昇中↑


※本作品は不定期更新です。また登場する組織はフィクションです。


秋「私の出番が全然ない!」

純恋「アタシと陽菜先輩のバイト回だから仕方ないだろ」

陽菜「イェーイ、ピースピース! ついにきた俺様の時代! ウェイ!」

秋「パリピに作品を乗っ取られたぁ~! 俺様にNTRれたぁああ!」

純恋「前書きでとんでもないこといってじゃねー!」

葵「キーワードにNTRの設定完了しました。それでは本編をお楽しみください!」

純恋「ちょ、ちょっと待てぇえええええ!」

※純恋はプライバシーの観点から、野川秋のことを「A」、佐竹葵のこと「S」と呼んでいます。


――何かがおかしい


 浅羽陽菜(あさばひな)はまるで喉に魚の小骨が引っ掛かるような違和感を感じていた。

 

 純恋の話によるとAは過去の経緯から恋愛にトラウマがあり、そう簡単に次の恋愛に進めるとは思えない。


 それでもAはSと付き合い始めた。

 

 Sがどうやったのかは分からないがAの心を癒す何か持っており、Aは自身に課していた『恋愛をしない』を撤回することにして、Sと共に歩むことを決めたのかもしれない。


 だがこれまでの話から現在のAとSはそこまで上手くいっているのかというと疑問が残る。


 Sに告白された日、Aが新宿でとった行動はどれも純恋の気を引こうとしていたかのように映る。

 

 この行動が意味するところは何だろう?


「純恋ちゃん、Sちゃんってどんな子かしら? 元々Aちゃんと仲が良かったの?」

 

「Sはそうですね、クラスが違うから詳しくは知りませんが大人しいやつです。

 AはSのこと知りませんでしたよ。Sのことをアタシに聞いてきたくらいだし」


 陽菜はゆっくりうなずき、形の良いあごに人差し指と親指をあてる。

 

 AはこれまでSの事を意識していなかった。

 

 ふたりの関係はやはりここ数日で始まったようだ。

   

「純恋ちゃんはAちゃんが告白されたのを知っていたのよね?」


「はい。先週の金曜日、SがAの机に手紙を入れるのを目の前で見ていたし、その時SからAによろしくと伝えておいてと言われたので、もちろん手紙の中身は知りませんよ!

 でもラブレターにしか見えなかったし、AがSに会いに行くって言った時点でやっぱりなって感じで」


 なぜ純恋が目の前にいるのに机に手紙いれたのだろう? Aが席にいないなら出直せがいい。

 

 Sはこっそり渡すわけでもなく、純恋に目のつくところで手紙を机に入れた。


 誰にも気づかれずAに手紙を渡す方法はいくらでもあるのに


 そもそも想いを伝えるだけなら手紙を使わずAを呼び出し告白すればいい。


 純恋も親友のことでも必要以上に他者の恋愛に関わるべきではない。


 しかしSが純恋に見える範囲で動くからどうしても気になっている。


 Sが意図的に純恋を意識して動いているとしたら、純恋を巻き込むことも目的の一つだったとしたら、純恋はまんまと罠にハマったことになる。

 

 そして巻き込まれた純恋は、分からない事だらけで今頭を痛めている。


 この仮説に確証は乏しい。


 でも陽菜にはそう思えてならなかった。

  

「もう一度聞くけど純恋ちゃんとAちゃんって今まで友達だったのよね、恋人同士でなく」


「はい、普通の友達です。Aとは恋人ではないです!

 それに名前を出していませんがAには以前アタシに好きな異性がいるって話をしていますし」


 Aは純恋に好きな人がいるのを知っている。


 しかしそれだけでAが純恋のことを好きにならないとは限らない。


 恋愛とはそういうもの、むしろ恋の障害が大きいほど反って燃え上がる。


 仮にAが自身に突然降りかかった恋愛事情を利用し純恋を心を揺さぶっているとするとしたら…… 

 

 さすがにこれは考えすぎかな 


 陽菜は視点を変える為、話題を変えることにした。 


「純恋ちゃん不躾ぶしつけで申し訳ないけど、最近お兄様とはどうなの?」


「兄さんですか、全然ダメですね、この後話そうと思ってました。はぁ……」


 純恋は両手を広げてお手上げのポーズをとり大きなため息をついた。

 

「良い雰囲気ならないとか?」


「そうですね。実はAと遊んだ日の夜、両親不在だったから兄の部屋を訪ねたのですが見事に空振りです」


「わぉ純恋ちゃんったら大胆」


「アタシとしては覚悟を決めていったんですよ! なのに『純恋はボクの宝物だから守るのが仕事だよ』とかいつもの通りカッコいい事言って、部屋から追い出されました。

 そんなに魅力ないですかねアタシは……」


「……それきついかも、純恋ちゃんはかわいいし魅力的だと思う、

 大事にされるのって嬉しいけど、男の人ってその辺勘違いしてるところあるよね」


「全くです、やっぱきついのかな、妹は……」


「そこは何とも言えないけど、同じように血の繋がってない兄がいて、必要以上に好意を持ってしまった私としては全く笑えないわね」


 浅羽陽菜にとって宮姫純恋はかわいい後輩であり、秘密を共有する同士でもあった。


 自分と心持ちが近い人間がそばにいると心強いし落ち着く。 


 陽菜にとって純恋は大切な存在だった。


「浅羽先輩は大丈夫ですよ。お兄さんは先輩一筋ですよね」


「だと良いけどね、人の気持ちは変わるから……  

 あ―― 今日は私の事じゃなくて、純恋ちゃんの話でしょ!

 Aちゃんのことは少しはわかったけど、Sちゃんのことが全然分からないわね」


「Sは私もわからないです。Aに告白して以降、アタシはSと話をしてないし 『Aと最近どう?』なんて聞けないし」


「確かにそうだけど、何となくSちゃんは純恋ちゃんが話しかけてくるの待ってる気がするのよね」


「そんなことは……」


 秋を訪ねてくる佐竹葵は、一瞬だけ目を純恋に合わせてくる。

 

 云われてみると何かを待っているように感じる。


「まずはAちゃんとSちゃんのふたりとちゃんと話をした方が良いわ、

 友達としてどうなのか聞く分には問題ないでしょ。

 わからないことがクリアーになれば、これ以上純恋ちゃんが気に病むことはないわ」


「別に気に病んでなんかないですよ! でもそうですね」


 陽菜の云う通り、秋や葵に聞かないと何一つ分からないままだ。

 

 話しかけてくるのを待つのではなく、自分自身が聞きに行ったほうがいい。


 分かっていながら目を背けてきた気がする。


「お兄様の事は少しだけ時間を置いた方がいいかも……

 純恋ちゃんも今はちょっとやりずらいでしょ。

 心配しなくてもお兄様は家にいるんだし、どこにも逃げ場はないわ、ふふふ」


「はぁ…… Aと兄のことを一気に解決するのは無理だし…… そうしようかな」


「ところでAちゃんは恋人ができてから何か変わったとこある?」


「こ、恋人!? 変わったところはないですね。これまで通りアタシと昼ご飯食べてるし」


「急にベタベタしだしたら怪しいし、周りの噂にならないように警戒してるのかしら?」


「どうでしょ? 一緒に下校はしてるみたいですよ」


「付き合っていると言うより仲のいい友達って感じがするわね。他に変わったことは?」


「特には…… あ、でも今日、Aが放課後にSのお見舞いで行ってるはずです」


「ん? Sちゃんどうかしたの?」


「風邪ひいたらしいです。昨日の午後早退して、今日は学校を休んでたからAが帰りに様子を見に行くって」


「急にお宅訪問なんて大丈夫なの? ご家族もいるだろうし」


「Sは親がほとんど家に帰ってこなくて一人暮らしみたいな感じらしいですよ」


「ん――? ちょっと待って!」


「どうしました?」


「つまりあれだ、恋人同士が金曜の夕方に自宅でふたりきり……」


「何ですか……その言い方? 何かいやらしく聞こえるんですが」


「そう聞こえるように云ったんだがら当然よ。二人きりで邪魔がない。何もないと思う?」


「あるわけないじゃないですか、高校生でしかも女同士で」


「ふふ、純恋ちゃん……自分がお兄様にしようした事考えてみて~ 女の子同士だからとかは関係ないと思うな~」


「いやいやいや、ま、まさか秋ですよ。あいつに限ってそんなことは……」


「ふーん秋ちゃんっていうんだ。絶対にないと言い切れる?」


「しまっ…… も、もちろん絶対何て言えませんが、あいつなんだかんで言っても真面目だし」


「じゃあもう一人が我慢できず襲い掛かってきたら?」


「!? さ、佐竹さんだってそんなことしませんよ!」


「あ~あ、もう一人もばらしちゃった、純恋ちゃん動揺し過ぎ、秋ちゃんだったっけ? さすがにもう家に帰ってる時間でしょ、気になるなら電話とかLIME(ライム)で聞いてみたら?」


「そ、そうですね! 聞いてみます」


 純恋は手早くポケットからスマホを出すと慌ててLIMEでメッセージ送信した。


………………


………



――ピンポーン!


 秋から二分後に返事がきた。純恋はゆっくり目を通し、そして青ざめた。


「うわっ! マジか……」


「ん……どうしたの?」


「秋は今日、佐竹さんの家に泊まるって」

お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間があるときに、いいね、ブクマ、評価、感想、誤字修正などを頂ければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  佐竹さんはなにか、スミちゃんに対して目的が  あるのでしょうか?  そういえば、秋ちゃんのスミちゃんに対する  気持ちも、まだよくわからないですね。  なにげなく、謎が解き明かされま…
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