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アバター  作者: 柿原 凛
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絶世の微笑み

 昨日から、ずっと家の周りに誰かいる。

 きっと業者の人だろう。

 これじゃあ家から出られない。

 でもいいの。

 こうして、ずっとネット上の私で、私を愛してくれる旦那と、そして大多数の人と、遊んでいられるから。

 

 昨日、会社から電話が一本届いた。

 クビだそうだ。

 この私をクビにするなんて。

 ネット上では考えられない。

 でもいいの。

 これでミニゲームをたっぷりと堪能できるから。

 たくさん、みんなと話せるから。

 

 最近、ちょっとやせたかも。

 食欲もないし、体力もない。

 布団から、起き上がれない。

 カーテンを閉めた暗い部屋で、私は十分。

 だって、ネット上の私はいつでも輝いてるから。

 

 でも、そろそろ苦しいかも。

 最近、目がかすんで仕方がない。

 せっかくの美しいネット上の私も、かすんでしまって、殆ど分からない。

 なんだか眠たくなってきた。

 ちょっと眠ろうかしら。

 あ、その前に、今日のお着替えを日記にしとかないと。

 題名は、ホワイト・ゴッド。

 そう。白い神様。

 真っ白の服に包まれて、私の美しさに磨きがかかる。

 雲に乗って、上から醜い世界を見降ろすの。

 地上の男たちは、きっと私を見上げて言うでしょうね。

「絶世の美女だ」ってね。

 

 私は架空の世界の『神』。

 そして、絶世の美女。

 そう。

 私は絶世の美女。

 絶世の美女なんだから。

 絶世の……美女……だから。

 ぜっせ……い……の……







『本日未明、高層アパートの一室から、女性の死体が発見されました。調べによりますと……』






 私は絶世の美女。

 醜いアヒルの子は、やっと純白の白鳥になれた。

 雲に乗って、空高くから、あなたたちを見下ろすから。

 そう。雲の上から。

 そして、今日もネット上で、微笑んでるから。

 もう一人の私が。

 そう、私は『神』。

 そして、絶世の美女ですもの。

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 書き出しが気になって、読みに来ちゃいました。 これは……一時期ネットゲームにどっぷりだった思い出が甦ってくるお話でした。 僕自身は、あまりお金はかけてませんでしたが、コミュニケーションの主軸…
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