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アバター  作者: 柿原 凛
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人生は滑り台のように

 私はネット上では絶世の美女。

 ネット内では莫大なお金を持っている。

 あのセレブ姉妹も私を知ったら驚くでしょうね。

 でもね。

 でも、現実世界に戻ると、お金なんて殆ど残ってないの。


 そう。

 今では生活費をなんとかやりくりして、アバターを豪華にしている。

 キッチンなんて、もう殆ど使ってない。

 電球なんて、今年は一度もつけてない。

 でもいいの。

 ネット上の私は、キラキラ輝いているから。

 まばゆいほど、輝いているから。

 

 最近は、一日二食いけたら良い方。

 殆ど何も食べてない。

 でもいいの。

 ネット上の私は、いつでも健康的な顔をして、いつもルックスは完ぺき。

 絶世の美女だもの。

 

 最近、物価が高くなって、もう大変。

『神』の私は、個性的で豪勢な姿に保つのが日々の役目。

 無理してでも、地位を保たないと。

『神』の称号は、誰にも渡さない。


 無事に大学を卒業し、社会人になれたけど、そんなことどうでもいい。

 ネット上の私を保つためには、仕事に就かなきゃいけないもの。

 そう思って頑張って来たけど、やっぱり現実の人生って大変ね。

 私はいつの間にか、多重債務者になってた。

 ……ほら、また業者の人だ。

 こんな遅い時間に。

 迷惑な人たち。

 でもいいわ。

 私はこうして、『神』を拝んでくれる人たちに、コメントを返さなくちゃ。

 ネット上の私に狂喜乱舞してくれるネット上の旦那さんにも。

 私は、本当の私は、ネット上に生きている。

 

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