風の魔法
アイカからジャケットを受け取り羽織る
あらためて
「何をすればいいかな」
と聞いた
「そうね、まずは魔法に慣れてもらおうかしら」
「ちょっと待っててね」
そういうと部屋を出ていくアイカ
少し待つとフードの付いたジャケットを羽織り
銃を二つの銃を備えたアイカが現れた
「じゃあ外に行くわよ」
言われるまま外に出て家の裏側に案内される
裏の敷地はそれなりに広く家と逆側は山の絶壁になっていた
「私の使う魔法は主に武器の強化や身体の強化に使われているわ
あなたの自然を操るのとは違うけど「こんな事もできる」程度に覚えておいて」
そう言うとアイカは足に備えていた銃を抜き集中する
銃身が少し白く光って見えた
アイカが両手で持った銃の引き金を引くと
一発の弾丸が飛び出し岩壁に当たり
ドカン
と大きな音をたてて土煙がおこった
土煙が晴れるとそこには直径30cmほどの穴が空いていた
「ハンドガンの威力じゃない」
まるで爆弾を打ち出してるようだった
「それなりに反動もあるので身体強化も同時に使用してるわ」
アイカはそう付け加えた
アイカに予備の銃を借りて自分もやってみることにする
両手で構えて意識を銃に集中して引き金を引く
パァン!
と音を立てて飛び出した弾丸は岩壁に当たり弾丸と同じくらいの穴を開け
自分は銃の反動でよろけて膝を付いた
「魔力はこもってるけど威力が目に見えて変わるほどでは無いわね」
アイカから素直な感想を頂いた
「まずは魔力のコントロールからかしらね
風の魔法は加速や跳躍にも適しているからそういうのをまず上げてみる?」
風が吹くのはイメージできるけど
風を弾に込めると言われたらいまいちしっくりこないなあ
腕を振り風が流れるイメージを起こす
自分の右手側から左手側へと風が流れる
それが目の前でぐるぐる回るイメージをするとイメージに近い形で
目の前に小さな竜巻が出来て砂埃が巻き上がった
「私はなんとなくやってたけど確か魔力は
まず放出するそれを操り次に身体や物に固定する
その3段階に分かれるみたいね」
なんかサラっと有能さをアピールされた気がする
「私は祖父がこうして使ってるのを見てたから
それをそのまま真似してたわね
でも得意な属性や使い方でそれぞれコツは違うみたい」
目の前で竜巻をぐるぐる回しながらアイカの考察を聞く
少しずつだが竜巻は勢いを増して大きくなっていった
「もっと大きくできれば相手を吹き飛ばしたり出来るかな」
「それは可能だと思うけどその前にあまり魔力を長時間使いすぎると・・・」
アイカの回答を聞きながら次に何を言われるのかを察した
「さすがにその身体でも倒れるわよ」
言われながら身体に謎の疲れが溜まっていくのを感じた
目の前の竜巻は静かに消えていき
自分は眩暈を感じ膝を付いてうなだれていた
「魔力の出し過ぎね
自然と元に戻るけど少し休んだ方がいいわ
その身体で無理をすると魔力切れで身体が崩れるわよ」
そう言えばこの身体は魔力で維持されてるんだった
「俺、魔力が0になると消滅するのか?」
「そうね、でも風の腕輪が最低限の魔力を集めてくれるからよっぽど無茶な使い方しなければ
そこまでいかないはずよ
その前に脳がブレーキをかけて今みたいな状態になるでしょうけど」
「魔力の存在を認識し続ければその身体でもある程度魔力を蓄積したり周囲に貯めたりできるはずだから色々試してみて無理のない「放出」と「蓄積」のコツを掴む事ね」
フラフラの俺はアイカに両手で抱えられ持ち上げられた
(いわゆるお姫様抱っこ状態)
大の男を両手で抱えるとかこれも魔力ブーストの1つなのだろうか
普通は逆だろと思いつつも情けない事に身体が動かない
朝起きた布団に戻され再び入れられ
「寝て起きれば回復してるから、おやすみなさい」
そう言って去っていくアイカ
次は俺がアイカを担ぐぞと心に誓いながらも
力尽きた俺はそこで眠りについた




