知らない部屋
「ちょっと待っててね」
そう言うとアイカは部屋の外に出ていった
色々と混乱している自分は何をすれば良いのか解らず
素直にその場で呆然としていた。
改めて周りを見渡す
あきらかにここは自分の部屋ではなく
どこかの倉庫の用な場所だった
6畳間の2倍程度の広さ
正面には出入口らしきドア
右側には古そうな本棚
左側には壊れてるように見える工具らしき物と数台の機械、道具置き場だろうか
後ろを見ると謎の麻袋に野菜や干し肉らしいものも置いてある、保存がきく食品置き場だろうか
壁の上部には小窓らしいものがあるが
外は夜なのか真っ暗だった
そして足元には自分を囲うように円が書かれて
その円のなかはよく解らない文字や記号が書かれていた
ようはいわゆる魔法陣と言われるモノの中心に自分は座っていた
逃げる訳ではないが立ち上がり目の前のドアを静かに開けて外の様子を見る
ドアの向こうは外のようでやはり夜なのか周囲はかなり暗かった
かなりと言うのは目の前に灯りのついた家があったからだ
木造の2階建て
辺りが暗くてはっきりとは見えないが
なかなか古い家の様だ
その家以外は木に囲まれて先は見えなかった
どうやらここは森の中の一軒家で
自分が居たのはその一軒家の離れの倉庫の様だ
拉致にしては扱いがズサンだなと感じていたが
今はとりあえずは小屋でおとなしくしていた方が良さそうだ
小屋に戻って本棚を見る
日本語で書かれている本が8割
英語や中国語など外国語で書かれてると思われる本が2割
ただその2割のうちの更に2割、4冊の本は背表紙が無く
カバーは紙ではなく何か動物の皮のようで
中身を見ると文字の様な記号の様な物が並んでいて
まるで暗号の様になっていた
理解できそうな日本語の本の内容は背表紙を見る限り
工学・機械・生物・科学・コミックらしい本も数冊あった
魔力もしくは魔法力と言う言葉の書かれた本も沢山あった
興味深い本が沢山あったので読みふけりたいが今は他も調べて見る事にした
後で読む時間は取れるだろうか
次に道具置き場らしき所を見る
ここは使ってない農具らしい物がいくつか
それ以上に壊れてるように見えるよく解らない機械や
壊れた銃らしき物が放置されていた
中にはネックレスやブレスレットの様な装飾品らしい物もあったが
どれも破損や欠陥があり壊れているように見えた
次に食品置き場を見る
肉は乾燥されていてまだ食べられそうだ(何の肉かは解らないが)
麻袋の中はお米だろうか穀物が入ってた
この小屋の中だけでもここで誰かが生活をしてるのを感じられた
アイカ
彼女は何者何だろう
この森の中で女性が1人で生活しているのだろうか
それともだれか同居人がいるのだろうか
本棚の不思議な本は彼女の私物なのだろうか
外見は好みだがそれでも足のホルダー?に刺さっていた
銃器らしい物がやはり気になる
この世界ではスマホや財布並に銃器の所有が一般的な世界なのか
それとも彼女が銃器の所有を許可される職業なのか
もしくな何か訳ありで隠れて生活している身なのか
どちらにしろこちらは丸腰で相手は銃の所持者と言う状況なので
無理に反抗するのは危険そうだ
召還?に成功した時の嬉しそうなアイカの顔を思い出す
外見が好みと言う自分の願望も含めて呟く
「悪い人には見えなかったんだけどなあ」
再び本棚に手を伸ばそうとするとドアの開く音が聞こえた
慌ててドアの方に目を向ける
「おまたせ、思ったより時間がかかっちゃった、こっちに来て」
ドアからひょこりとアイカが顔を出した
指示に従い素直にドアに向かうと暗い外の先
家の前にアイカが居た
コートは脱いだのか代わりにエプロンを着ていた
元々中は肩の出たシャツだったのか肩が大きく露出している
そして足には相変わらず銃が装備されている
「こっちだよ」
振り向き背中を見せて家に入るアイカ
その背中には部分長髪なのか一束だけ腰の長さまで伸びた髪の毛がありそれがゆらゆら揺れていた
そんな姿に警戒しつつものこのこ付いて行ってしまう自分だった。