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カジxトコ 〜赤猫の鍛治師〜  作者: なな/おたふくろ
序章
40/106

第三十八話 窮地


「アイツを守る?くだらん。結局それもお前の都合だろう」

「だからそんなのどっちでも良いよ」

「ふむ……」


 私はそう、男に啖呵を切り、改めて戦闘の構えをとった。

 思わず勢いのままに動いてしまったが、男にとってはそれが思いの外、予想外の反応だったらしく、私の方をじっと見つめ、そして何かに気付いたようにピクリと眉間にしわを寄せた。


「どう言う事だ。よくよく考えれば、お前のような高ランクの冒険者を俺が知らないはずがない。お前、一体何者だ」


 確かに、この世界においての私の強さは、実力だけならかなりのものだろう。

 あの熊戦士、ガルカンでの強さでランクAだと言うのだから、少なくとも私はそれ以上という事になるだろう。

 だが、実際の私のランクは登録したばかりの最低ランク、Fランクだ。

 そんな事を言ったらまた余計にややこしい事になりそうなので、この話題に関しては全力でスルーだ。


「俺の知る限り、キングスコーピオンをあれほど簡単に倒してしまえるような冒険者は、この世界でも数える程しかいない。しかし、お前はそれだけの実力を持った冒険者だと言うのに、今までその噂すら聞いた事がない。しかも、それが年端もいかないよう少女で、赤髪の猫耳族という特徴的な人物だ。噂の一つや二つくらい耳にしていてもおかしくはないはずだ」

「ま、まあ、それは……」


 正論すぎて何も言い返せない。

 ゲームの中なら特別おかしくは無いが、この世界はゲームの仕様に似ているだけで、ちゃんとした現実だ。

 私みたいな人物がこの世界にいれば、それなりには目立っているはず。

 でも、それだったら私だって、煙の中から突然出てくるツノの生えた褐色肌の男なんて、見た事も聞いた事もない。

 そっちこそ何者なのよ。


「そして、何よりもその剣だ。何故お前がそんなものを持っている」

「……」


 私の左手に握られた覇斬の剣。

 言われてみればそうだった。

 この剣は今のこの世界では古代の武器と呼ばれる類の代物で、この時代では手に入らない材料を使って作られている物だ。

 生産ギルドマスターのポドルさんと同じように、分かる人には一目でわかるらしい。

 ほかに現存する古代の武器は、各国の宝物庫で大切に保管されているはずだと言っていたので、そんな武器を私が持っているというのは、どう考えてもおかしい。


「まさか、お前もあの盗賊集団の手先か」

「??盗賊集団?」


 なんの事。私はそんなんじゃないし、盗賊なんかに会ったこともない。


「何のことかわからないけど、これは盗んだ物じゃないよ」

「ほう。ならその剣はどうやって手に入れた」

「それは……」


 私が作った。と言いかけて言葉を止めた。

 もしそれを言えば、私が500年前から召喚されたS級鍛治師であるという事と、その私をトコが召喚したと言う事も話さなければならなくなる。

 流石にこの素性の知れない男に、そんな私達の特殊な事情を知られるのは、どう考えてもリスクが高すぎる。


 てか、なんかめちゃくちゃ聞いてくるよね。

 どうにもやたらと私の素性が気になって仕方ないようだけど、それはこっちだって一緒だ。

 そもそもこの男は一体何者なの??

 

 頭からツノが生えているところを見ると、魔族か鬼人族かのどちらかだろうけど、ゲームの時代では割とどこにでもいたキャラだ。

 いちいち個別にどんなのがいたかなんて覚えてない。

 私のスキルの鑑定を使ってしまえばすぐにわかることだが、やはり、相手に鑑定されたことを察知されれば状況がさらに悪化しそうで躊躇してしまう。

 いや、でもどうせ最後には殺されそうな流れだし、ここまで来たら、もはや同じのような気がする。


 だったらもう、迷っていても仕方がない。

 私は男の顔をじっと見つめ、鑑定のスキルを発動する事にした。


 ほう、なるほど。

 これはまた、意外と言うか、何というか……。


 名前:ギルドラン(呪縛)

 職業:神級鍛冶師

 等級:S

 種族:魔族/人族

 性別:男

 年齢:738

 HP:???

 MP:???

 STR:???

 VIT:???

 DEX:???

 INT:???


「……む。お前、いま何をした」

「……秘密」


 どうやら私の鑑定に対して何かしらの違和感を感じはしたようだが、何をされたかまでは分からなかったようだ。

 しかしこの鑑定結果は、半分は予想通りで、半分は意外な結果となっていた。


 今私の目の前にいるのは、やはりギルドランだった。

 結局、私の最初の予想通りだった訳だが、しかし、私がそれを言った時の男のあの反応が不可解だ。

 一体どう言うことだろう。

 それに、肝心のステータスは一切鑑定できなかった。

 名前の横の「呪縛」と言う状態もよくわからない。

 色々と謎すぎる。


「やはりお前には何かありそうだな」

「ま、まあ、女子には秘密が沢山あるって言うし。あんまり詮索しないでもらえると助かるんだけど」

「ぬかせ」


 鑑定をして、この男がギルドランだと言う事は分かったけれど、結局ギルドランがどう言う人物で、何の目的でここに居るのかはさっぱりわからない。

 ギルドランはトコや、トコの姉であるガベルの生みの親で、魔族の天才鍛治師だと言う事はトコからも聞いて知っていたが、肝心のそれ以外の情報は鑑定ではわからなかった。


「まあいい。ならば力尽くで聞き出すまでだ」

「え?」


 その瞬間、男の殺意が一気に膨れ上がり、気づいた時にはもう目の前まで迫られていた。


「ぬあっ!?」


 私は咄嗟に斜め後ろへと飛び退き、男の不意打ちをなんとか紙一重のタイミングで躱し切る。


 ちょ、いくら何でも切り替えが早すぎるでしょ!

 私もよくあんなのに反応出来たもんだ。

 

 しかし、そこにノータイムで次の攻撃が繰り出される。


「うわわわわ!!」


 分かってはいたけど、この男の動き、めちゃくちゃ速い!!

 

 私はその追撃を左手の覇斬の剣でなんとか弾き、再び大きく距離を取る。


「はあ、はあ。なんて速さ……反則でしょあんなの」

「ほう。今の速さに対応出来るか……。ならば、もう少し速く行くぞ」

「え!?ちょ、まっ」


 ギルドランは問答無用と言わんばかりに再び飛び掛かり、次々と攻撃を繰り出して来る。

 よく見ると男の両腕は硬質化されており、私の剣とぶつかる度に、かん高い衝撃音が発せられる。

 連続で放たれるその攻撃をなんとかギリギリで対処しても、あり得ない速さの攻撃が次から次へと降り注いでくる。


「ちょちょちょ!ちょ!ちょ、ほっ、はっ、ほっ、とぅ、やぁ、とぉ!ほい!はいっ!やぁー!」


 そんな連続の攻撃に対して、私は死に物狂いでなんとか対応するが、次第にその速さにも慣れ始め、最後には隙を縫って攻撃に転じる事にまで成功する。

 あまりに余裕が無かった為、つい掛け声がアホっぽくなってしまったが、気にしては負けだ。


 しかし、そんな私の攻撃も、ギルドランは軽々と回避してしまう。

 そしてそのまま流れるように、ギルドランがカウンターを放つの姿勢へと移るかと思いきや、連続で攻撃を繰り返していたその手を突如止め、軽く後ろに飛び退いた。

 そして、再び私を睨みつけ、言葉を放つ。


「今のは何だ。俺の攻撃を全て躱すどころか、反撃までしてくるとは。これ程までの冒険者、見たことがない」

「……それはどうも」


 私は怒涛の攻撃からようやく解放され、大きく息を吐き捨てる。


 てか、今の何!?

 ギルドランの攻撃も凄かったけど、そんなことより!

 私、こんなに動けたっけ!?


 私はこの戦闘における自身の身のこなしと剣捌きに、自分のことながら激しく驚愕していた。

 本来、私はこれほど早くは動けない。

 相当なバフでも掛けられていない限り、とても出来ない芸当だ。

 そしてもちろん、そんなものを掛けた覚えはない。


 私、どうなってんの??


 あまりの出来事に、私は改めて自分のステータスを確認する。



 名前:エト

 職業:鍛冶師 Lv101

 HP:825/825

 MP:290/290

 STR:161

 VIT:105

 DEX:512

 INT:56


 装備

 覇斬の剣++

 技巧者の外套

 シーラ繊維の装飾服

 朧月の腕輪+

 無尽蔵のポーチ改++

 極楽鳥の編上靴


 スキル

 鍛冶Lv10 修理Lv10 鑑定LV10 採掘LV10 採石LV10 精錬LV10 採取LV10 解体LV10 伐採LV10 木工LV10 石工LV10 硝子工LV10 裁縫LV10 調合LV10 調薬LV10 錬金LV10 彫金LV10 細工LV10 砥工LV10 研磨工LV10 大工LV10 建設LV10 建築LV10 料理LV10 製作LV10 付与LV10 家具工LV10

 ex瞬間生産 ex制限解除 ex異次元工房 ex武器の達人 exマテリアルソウル exマテリアルサーチ ex黄金の炎 exゴットハンド ex限界突破(New)



「!?!?」


 レベルが上がってる!?!?

 しかも101って、99から2つも上がってる!?

 ていうか、レベル上限は99だったはずなんだけど!?!?


 まさかの事実に驚きを隠せない私。

 流石にこの展開は予想していなかった。

 そして、ステータス画面をよく見て、ようやく理解した。


「限界突破……」


 ステータスの習得スキル欄には新しいスキル【限界突破】が増えていた。

 恐らく、このレベルアップは間違いなくこれの影響だ。


 やっぱりあったんだ、限界突破。


 ゲーム時代でも、一部の廃プレイヤー達からの要望の多かったレベルキャップの解放。

 MMORPGではお馴染みのものではあるが、エターナルワールドオンラインではサービス開始時点からレベル上限が99と、かなり高かった為、一度も実装される事はなかった。

 恐らく、私が引退した後にスキルとして実装されたのだろう。


 なるほど。道理で戦う度に実力以上の力が出せていたわけだ。


 レベルが上がるとHP(体力)やSTR(腕力)等の基本ステータスが上昇するのと同時に、武器の扱いや素早さ、攻撃の回避など、その行動を取る度にその能力は上昇する。

 いわゆる戦闘スキルの熟練度というやつで、その限界値もレベルが上がると上昇する。

 どのタイミングで限界突破スキルを獲得したのかはわからないが、戦闘中に時折感じた自分の動きの違和感は、その戦闘スキルの熟練度が上がる度に感じたもので間違い無さそうだ。

 レベルが2つも上がっていたのは、キングスコーピオン数匹分の経験値だけでは流石に足りなさすぎるだろうから、たぶん、私がゲーム時代にLV99に到達した以降に獲得していた蓄積経験値と合わせて、レベル2つ分以上の経験値になっていたからだろう。


 レベル2つぶん上がった基本ステと戦闘スキルの熟練度。

 ゲームの時でも、レベル2個差とは結構なものだ。

 しかも、熟練度に関しては、まだもうちょっと上がりそうな気がする。

 今の自分の出せる力をちゃんと把握した上で動けば、この戦い、もう少しは楽になるかも知れない。


「お前、まだ何か企んでいるな?」

「いや、そんな事ないよ。ちょっと状況整理をしてただけ」


 ギルドランは、私の様子が先程までとはだいぶ変わっている事に違和感を覚えたらしく、何かを探るように、鋭い眼光でこちらを睨みつける。


「……気が変わった。やはりお前はここで殺しておこう。後々面倒な事になりそうだ。お前の事は、殺した後で流星にじっくり聞くとしよう」

「……」


 ギルドランが、そう言った直後から、この場の空気が変わり始める。

 これまでに感じていた以上の、明らかな殺意だ。

 私は辺りに注意を払いながら、男の挙動に注視する。


「せめて、俺に本気を出させた事でも誇るが良い」


 ギルドランの言った、本気を出すと言う言葉。

 私はその言葉を聞いた瞬間から、とても嫌な胸騒ぎを覚えていた。


「本気って、何」

「……」


 私の問いかけにも答える事なく、ギルドランは再び私に攻撃を繰り出して来る。

 改めて本気を出すと言ったギルドランの速さは、先程までとは比べ物にならない程に上がっていたが、ここまで来たら、レベルアップした自分の力を信じるしかない。


 一瞬で間を詰めてくるギルドランに対し、私は身体中の神経を研ぎ澄まし、ギルドランの攻撃が私に届く瞬間のタイミングを正確に見極める。

 もし少しでも早く私が避けてしまえば、ギルドランは間違いなくそれに対応して次の攻撃を繰り出してくるだろう。

 そうなってしまえば、私がそれに対応出来るかは微妙だ。


 そんな、針に糸を通すようなタイミングを全神経を使って見極め、ドンピシャの間合いで身をかわそうとしたその瞬間、


「ぐあっ!?!?」


 完璧なタイミングで回避したはずの私の脇腹に、強い衝撃と激しい痛みが駆け巡った。


 私は回避後に反撃を行うつもりだった為に重心が少し右にずれており、そのおかげでなんとかギリギリ串刺しにはならなかったが、それでも十分に致命的と言えるダメージを受けてしまった。

 痛みを堪えて私はそのまま、その衝撃の慣性を殺さず地面を強く蹴り、大きく後ろへと距離を取った。


「ぐっ……なんで……」


 今の回避のタイミングは完璧だったはず。

 まるで避ける瞬間に更に間合いを詰められた感じだ。


「ほう。被弾してからの判断力もなかなかの物だな」

「ああ……なるほど。そういう事……」


 こちらを見ながらそう呟くギルドランの姿を見て、私はすぐに理解した。

 ギルドランの手には、いつの間に取り出したのかわからない、黒い剣が握られていた。

 この男は召喚術も使えるのだ。おそらく攻撃のタイミングに合わせて武器を召喚したのだろう。


 よく考えれば、こんなにすぐに殺すだ何だと言うような男が、丸腰でいるわけがない。

 魔術師系であればともかく、先程までガッツリと肉弾戦で戦っていたのだ、武器の一つや二つは当然持っていると気付くべきだった。


「さて、長引かせて逃げられでもしたら面倒だ。そろそろケリをつけようか」

「……」


 もちろん、このまま簡単にケリをつけられる訳にはいかない。

 逃げられる物なら逃げ出したいが、恐らくそれは無理だろう。

 とにかくまずは、この傷を何とかしなくては。


 私はすぐさまポーチに手を突っ込み、ハイポーションを取り出す。

 その際、ポーチの中でトコの存在を感じ取るが、やはり、動きは見られない。

 トコの意図が相変わらずわからないままだが、今はそんなことを考えている暇はない。


 私は取り出したハイポーションを傷口にぶっ掛け、瞬時に傷口を塞ぐ。

 幸い、傷は大きかったが内臓までには達しておらず、ハイポーションでの回復とレベルアップのおかげでHPもまだそれなりに残っている。

 それに、戦闘スキルの熟練度もまだ上限値まで上がってはいないはず。


 大丈夫。まだやれる。

 いける!いける!いける!

 こういう時、気持ちで負けるのが一番ダメだ。

 たとえ無理筋でも、諦めなければいつか、勝ちの目も見えてくるかも知れない!

 だって私は鍛治師だから!いちいち心を折ってたら、神剣なんて作れない!!

 

 私は改めて剣を握りしめ、男の顔を睨みつける。


「ほう、まだやる気か。これは実に鬱陶しいな」

「諦めの悪さだけなら、誰にも負けないよ」

「……調子に乗るなよ」


 その瞬間、男の姿が忽然と消え去った。


「!?……そこ!!」


 私は突然消えたギルドランの気配をたどり、何もない空間めがけて力の篭った一撃を繰り出す。

 その直後、甲高い金属音とともに私の剣を黒い剣一本で軽々と防ぐ、ギルドランの姿が現れた。


「ほう、よくぞ見切った。だが、足りない」

「!?」


 ギルドランはそう言うと剣を持つ手に力を込め、私とのつばぜり合いの状態から強引に一歩踏み込んで来た。


「どんなに速く動けようと、俺の攻撃を受けた時点でお前の負けだ」


 そう言ってギルドランは、力ずくて私を弾き飛ばし、そのまま袈裟に斬り伏せる。

 そして間髪入れずに無数の攻撃を次から次へと浴びせて来る。


「ぐうううう!!」


 私はそれに対応しきれず、咄嗟に防御の姿勢は取るものの、ほとんどの攻撃をその身に受け、身体中に出来た無数の傷から鮮血が飛び散っていた。

 かろうじて急所は防いでいるものの、私の動きは確実に精彩を失っていた。


 しかし、攻撃の手はまだ止まない。


「どうした。先程までの素早さはどこに行った」

「ぐうう!!」


 絶え間なく続くギルドランの攻撃に対し、私は致命傷になりそうな攻撃だけを何とかいなすのが精一杯で、完全に手詰まりの綱渡り状態に陥っていた。

 そして遂に、私はギルドランの動きについて行けなくなり、息切れを起こした私の目の前に、高速で風を切る黒い剣が突き放たれた。


「これで終わりだ」


 っっ、避けられない!!


「伏せやがれ!!クソガキイイイイイィィィ!!!!」

「え!?」

「!?!?」


 その瞬間、大音量の叫び声が後ろの通路の方から放たれる。

 私は突然の出来事に驚き、思わずよろけて尻餅を付くと、巨大な戦斧が唸りを上げて頭上を通り過ぎた。

 その戦斧の軌道はまさに、ギルドランの顔面だ。


「チッ、面倒な」


 ギルドランはそう呟き、私の頭上を物凄い勢いで通り過ぎた巨大な戦斧を右手の黒い剣で軽々と弾き返すと、入り口の方へと顔を向ける。


「何の真似だ」

「そのガキは俺の獲物だ。勝手な事は許さねえ」


 男の問いかけに、息撒きながらそう答えるのは、まるで熊のように大きな体格をした偉丈夫な男、ガルカンだった。


「……くだらん」

「あぁん??」


 ガルカンはそう言って男にガンを飛ばすと、腰のマジックバックから先程とは別の巨大な戦斧を何本も取り出し、


「だったらテメエはすっこんでろ!!!!!」


 大音量でそう叫び、ギルドランめがけて次々と投げ飛ばした。


「ふん。またそれか。数を増やせば良いと言うものではないぞ」

「うるせえ!!これで良いんだよ!!!」

「話にならんな。……ん?」


 その瞬間。


「エト!!!!!こっちだ!!」

「えっ?」


 突如、ガルカンとは別の場所から声が聞こえ、咄嗟にその声の方へと振り返ると、ガルカンが戦斧を投げ飛ばすと同時に駆け出していたマチルダが、私に向かって全速力で突っ込んできていた。


「え?え??」


 そして私と衝突する瞬間、勢いそのままに私を抱き抱え、ギルドランの横を掻い潜りながら全速力で走り抜けた。


「ま、マチルダさん!?」

「遅れてすまない!!」


 そんなマチルダの動きに、ギルドランは当然反応をしていたが、連続で飛んで来る戦斧を無視する事は出来ず、そのまま目で追うにとどまっていた。

 ギルドランが全ての戦斧を叩き落としたその頃には、私とマチルダは遠く離れた場所まで逃げ延びる事に成功していた。


「ありがとうマチルダさん。助かったよ」

「ああ。無事でよかった」


 今のは本当に危なかった。

 まだ生きている事が不思議なくらいだ。


「でも、みんなも無事だったんだね。良かったよ」

「……いや……それが」

「え?」


 え?なに?

 どう言う事?

 そんな所で言葉詰まらせないでよ。

 嫌な予感しかしないんだけど。

 

「エルヴィンが重症だ……かなり危ない」

「……え」

「エトのエリクサーなら何とかなるかと思って急いで駆けつけたが……この状況、すぐに戻るのは難しそうだな。……これは、流石に間に合いそうにないか……」

「そんな……」

 

 



遅くなってすみません。

文字数だけは増量となっていますのでご勘弁を。

更新ペースは遅めですが、楽しんでもらえる作品を作っていきますので、良ければ最後までお付き合いいただけるとうれしいです。

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