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カジxトコ 〜赤猫の鍛治師〜  作者: なな/おたふくろ
序章
21/106

第十九話 神級魔道具


 再び私の前に現れた銀髪の少女。

 その見た目は幼いながらもどこか気品が感じられ、腰まで伸びた綺麗な銀髪が、とても神秘的で清楚な雰囲気を漂わせていた。


 身なりもその雰囲気を壊す事なく、清楚の中にも可愛らしさを感じるフリルが各所にあしらわれた白いブラウスに、良質の生地で出来た黒のプリーツスカートという、どこかのいいところのお嬢様かと言うような出で立ちだ。

 はっきり言って、場違い感がハンパない。


「すまない。別に引き抜くつもりはなかったんだ。そうだ、だったらキミも一緒に来ると良い。その可愛さがあれば、きっと他の皆んなも良くしてくれるはずだ。うん、それがいい」

「良くない。このエロガッパ」

「エロガ……」


 いや。全然清楚なお嬢様じゃなかった。

 まるで、漫画やアニメに出てくるような、毒舌系ワガママ貴族令嬢といった感じだ。

 そういう意味ではお嬢様っぽいと言えなくもない。

 にしてはその言葉のチョイスが若干おっさんくさい気もするが、個人的には、口数少なげに一言で確実にエグって来る感じがやけにたまらない。


「エト、敵は倒した。早く行こう」

「いやいや、敵って……」


 何これ。

 流れが全く見えないんだけど??

 出会う人出会う人、みんなキャラが濃いというか、意味がわからないというか、私一人置いてけぼりなんですけど??


 そんな事を考えながら困り果てていると、男の後ろで成り行きを見守っていたパーティーメンバーの女性の一人が、こちらに近づきながら声をかけてきた。


「なんかごめんね、うちのリーダーが変なこと言っちゃって。悪いやつじゃないんだけど、ちょっと節操ないだけだから」

「は、はあ……」


 つい数時間前にも似たようなやりとりをしたような気がする。

 この時代のリーダーってのはこんなのばっかりなの?


「ホントごめんね。いきなり訳のわからない事を言われて怖かったわよね」

「いえ、ちょっとビックリしただけなんで。むしろ、結果的にそっちの方がダメージ大きそうなのでもう気にしてませんよ」

「そう?そう言ってくれると助かるわ」


 その後、私と他の女性冒険者も含めて会話をしたのち、最後に改めて自己紹介をしてその場で別れる事にした。


 ちなみに、私たちの隣では、先程のエロガッパが頭を抱えてしゃがみ込み、そこに銀髪少女が「エロガッパ。この、エロガッパ」と追い討ちをかけていた。

 銀髪少女、容赦ないな。


「私達はBランクパーティーの【エルヴィン桃源郷】よ。ちなみにあのエロガッパがリーダーのエルヴィンで、私はアラン」

「なんか、凄いパーティー名だね。全開で開き直ってる感が特に」

「うん、よく言われる。まあ、本人が気に入ってるみたいだし、いいんじゃないの?」

「アランさんはいいの?他のメンバーの人とかも」

「まあ、名前のセンスに関しては多少思うところはあるけど、そこはもう、惚れた弱みだよね。多分他のメンバーも同じだと思うよ」

「へ、へぇ……」


 アランさんの隣を見ると、そのエルヴィンと銀髪少女との、じゃれ合いという名の一方的な言葉攻めは、いまだ続いていた。

 好きな男が少女に翻弄されている姿を見て、彼女は何を思うのだろう。

 なんか、「エロガッパ桃源郷ww」とかパーティー名ごと馬鹿にされ始めてるけど、いいの??


「私はエト。鍛治師だよ。もうすぐ商業区でお店を出す予定だから、その時には良かったら見に来て」

「へえ!この街の商業区でお店を持てるなんて凄いわね!必ず行かせてもらうわ。で、あの子は?」

「あー、あの子は……」


 大人の男を言葉だけで追い込む銀髪の少女。

 私も今日会ったばかりだし、何も知らない。

 むしろ私が教えてほしいくらいだ。

 でも、どうやら向こうは知っているっぽい。

 私の名前も知ってるし、やけに早く先に進ませようとしてるし、間違いなく私に対して何かあるんだろうけど、これと言って思い当たる節はない。


「……トコ」


 そんな事を考えていると、私たちの会話を聞いていたのか、銀髪の少女はエルヴィンに軽く小キックを入れた後こちらに向き直り、ボソッとそう呟いた。


 最後の小キック要る?


「それってあなたの名前?トコちゃんて言うの?エトさんの妹かな?」

「トコは愛称。本当はもうちょっと長い。エトとの関係は……複雑」

「なるほど。理解したわ」


 え!?アランさん理解したの!?

 私は全然理解出来てないんだけど!?!?

 ちょっと教えてもらっていいですか、私とこの子の関係を!


「要するに訳ありって事ね。名前が長いって事は家名があるって事だから、どこかの貴族の出自で、それを明かせない上での複雑な関係、そして鍛治師の冒険者。軽々しく首を突っ込むと絶対に痛い目に遭う、典型的な危険ワードのオンパレード。まあ、色々あるんだろうけど、頑張って。そういう訳で、私達はそろそろ先に進むわ。お店が出来たら呼んでね。必ず行くから」

「あ、うん……」


 そう言ってアランさんは、一枚の名刺を取り出して私に渡し、エルヴィンを引きずりながら奥の道へと進んでいった。


 なるほど。

 私とトコの関係はかなりドロドロな感じらしい。

 全く実感がないので、他人事のようにしか思えない。


 それにしても、アランさんはかなり空気の読める人っぽい。

 首を突っ込見たくないと言いながらも名刺を渡してくるあたり、関わりたくないのでさっさと先に進んだと言うよりも、私達の邪魔をしたら悪いと思って早々に切り上げたって感じがする。

 それでいて、名刺を渡して繋がりを大事にする。

 もう、アランさんがリーダーをすればいいのに。

 メンバーの女子に引きずられながら進むリーダーってどうなのよ。


「エト、少し話がある」

「え?」


 アランさんとのことを考えていたその時、銀髪のヴァイオレンス少女、トコは、私の目を見ながら、はっきりとした口調で問いかけてきた。


「うん、いいよ。私も色々と聞きたい事はあるし。じゃあ一旦外に出る?ここじゃ誰が聞いてるかわからないし」

「大丈夫。あそこで」

「あそこ??……え!?」


 トコの指差した先はただの岩壁だった。

 しかし、私はほんの刹那の後、そこにはゲーム時代、隠し部屋が存在していた事を思い出した。

 見た目は岩肌の壁ながら、一部だけは幻影となっており、そのまま中に入ると別エリア扱いの小部屋に繋がっている。

 一応、その小部屋は希少鉱石の隠し発掘ポイントという設定の場所だったが、エリア切り替えが発生するため、主にリンクした敵から逃げる時に重宝された場所だった。


「あるの!?隠し部屋!?」

「……ある」


 トコは一言そう答えると、隠しエリアのある岩壁に向かって歩き出した。

 そんなトコの後ろについて行くように、私もそちらに向かい、そして、隠し部屋へと繋がる岩壁の前までやってきた。


「入って」

「え、あ、うん」


 トコに言われるままその岩壁に触れると、そのまま抵抗なく壁の中をすり抜けて行った。


「凄い、本当にすり抜けた……」


 ゲーム時代では当たり前の事ではあったが、現実で壁をすり抜ける体験はもちろん初めてだ。

 こんなの、初見じゃ絶対にわからない。


 そうして私とトコの二人が隠し部屋に入ると、トコは私の方に向き直り、ギロリとこちらを睨みつけた。


「ここは、この時代の人間は誰も知らない」

「え……」

「今のエトの反応で確信した。エトはこの時代の人間じゃない」

「……」


 私は言葉を失った。


 トコが隠し部屋の事を知っていたので、隠し部屋はこの時代でも普通に知られている事だと思ってしまった。

 しかし、私の隠し部屋に対するリアクションは、元々その存在を知っていた者の取る反応そのものだった。

 でも、それならこのトコが知っていると言うのはどう言う事?

 もしかして、トコも私と同じように時間を飛び越えて来た人間!?


「もしかして、トコも500年前から来てたりする!?」

「……500年?エトは500年前の人間?」

「あっ……」


 やらかした。

 つい驚きのあまり、余計な事を口走ってしまった。


 しかし、私の言葉を聞いたトコの反応は予想外のものだった。


「なるほど。あの時代の冒険者。合点がいった」

「ど、どう言う事?」

「ただの召喚にしては、魔力の減り方が異常だった」

「なっ!?!?」


 召喚!?


 今、トコは確かに『召喚』と言った。

 もしかして、私をこの時代に召喚したのはトコ!?!?


「ちょ、ちょっと!!どういう事!?!?」

「鑑定。できる?」

「は???」

「500年前の冒険者なら出来るはず。私を鑑定して」


 私の怒号にも似た問いかけに、トコは表情を変える事なく、良くわからない事を言い出した。


「いや、鑑定とか今はどうでもいいでしょ!私の質問に答えて!」

「エト。ちゃんと説明する。だから鑑定」

「……わかった」


 言葉少ないながらも、なんとなく理解した。

 自分が何者かを理解してもらってからでないと話が進まない。そう言うことだろう。

 それに、この時代の人達は鑑定スキルを使えないので、私が本当に500年前から来た冒険者なのかどうかも一緒に判別するつもりだ。


 基本的に人を勝手に鑑定で見るのはマナー違反とされ、ゲームサービスの途中から、見られた側にも通知がいく仕様になったので、対人で使用する事は滅多になくなった。

 それで私も、人に対しては今までむやみに鑑定はしないでいたが、しかし、この世界には鑑定というスキルはないらしい。

 ならば、それを察知される仕様は適用されていないのかも知れない。


「鑑定、した?」

「……今する」


 言われるまま、私はトコに鑑定のスキルを使用してみるとこにした。


「うーんと……え?なにこれ……」



 名前:流星の金床

 種類:神級魔道具(鍛治生産用)

 ランク:S

 攻撃力:12

 耐久度:3150

 作成者:ギルドラン



 ランクS!?


 トコが、ランクSの神級鍛治道具?!?!


 え、どゆこと!?!?





読んでいただきありがとうございます。

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