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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第二章 : 小さな移動アイテム屋さん 〜お店は一時閉店です
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魔法さまさま

 だいたい2時間、この集落を回って気がついたことがある。

 一つは、集落の総人口は思っていたより少ないこと。ざっと見た感じでは二百人に満たない。

 二つ目はこの洞窟がかなり広いこと。集落のない場所も含めれば、この山の内部の7割近くがこの洞窟だと思われる。

 そして最後、三つ目。これが一番気になった。この洞窟の上部、つまり洞窟の外側、山の頂上付近に()()()()()。今まで出会ったどんな生物よりも濃い魔力と、移動した時に微かに感じる地面の揺れ。敵意のようなものは感じないものの、いざ戦うとなれば苦戦は免れないほどの相手が、この洞窟の遥上に滞在している。

「え、洞窟の入口ですか?すみません。私たちもこの洞窟より上に進んだ事は無いんです。この山は頂上に近づくにつれてより強い魔物や動物が生息していますので……」

「……上から侵入されたことは無いのか?」

「いえ、ここに住み着いてからというもの、一度も」

 と、このように集落の獣人たちもその正体は分からない。あの高さから落ちたら並の魔物は助からないだろうけど、余裕で下れる生物もいるはず。それなのに一度も襲われたことが無いのはおかしな話だ。

(上の何者かが関係している、のかな)

 行ってその目で見ないことには確証は持てない。

 どうせ古龍を探して頂上まで行くのだから、その時にでも確かめてみればいい。

「一度制作したものだから、パパッと始めよう」

 僕は昨夜作る際に書いておいたメモを頼りに、巨大な魔鉱石を使った魔道具制作に取り掛かった。



「アルゴートさーん!指示通りに鉱石置いてきたよ!」

「おう、ありがとさん」

「セイタは何してるの?」

「んー?見ての通り、鉱石相手に色々試行錯誤中だ」

 そう指さした先で、僕は盛り込みたい機能や効率化を図るための工夫を考えていた。

「こっちは集落端の暖鉱石に繋いで……。魔力操作は対応した暖鉱石のみに魔力を送るようにして……。この魔鉱石の側面に操作用の装置を取り付けて……、一括操作も含めるべき?多少複雑でもこの大きさなら耐えられる、はず」

「…………すぴぃ」

 なお足元ではナツがぐっすり夢の中。

「はたから見たら鉱石にブツブツ呟く変人だな」

「セイタも頑張ってるんだね!私も他にやる事ある?」

「ニアの嬢ちゃん、なんて純粋で良い奴なんだ……」

 元気にやる気の有り余るニアと、何故か涙し感動しているアルゴートさん。二人が中央広場の入口で暖鉱石の仕分けをしている間に、僕は詳細な設計図の作成と鉱石への付与を済ませていく。

 中央の鉱石には複雑な付与が必要だが、散りばめておく暖鉱石への付与はなく、一緒に設置する小さな魔鉱石に簡単な風魔法の付与を施すだけ。

 数が少し多い以外はさほど問題にはならない。

「魔法付与"魔力操作・仕分け"。あとはこっちの装置と接続して……。アルゴートさん、風魔法の付与をお願いします」

 大量の魔鉱石が入った袋をアルゴートさんに手渡す。これは既に温度管理の付与をしてあるもので、風魔法を付与して暖鉱石の入った箱に取り付ければ完成である。

「……随分多くないか」

「各家庭分ありますから」

「仕事が多くて大変だ」

「すみません。僕も風魔法が使えれば良かったんですけど」

「あーまぁしゃーねぇ。風の族性はエルフと相性がいい。得手不得手はどんな種族にだってあるもんだ」

 やれやれと得意気に袋を受け取ったアルゴートさん。なんとその袋ごと魔法付与を行う。

「ほら、完成だ」

「ぜ、全部一気に……。いつの間に」

「魔法付与は得意じゃ無かったんだがな。セイタにお願いされているうちにできるようになってた」

 世の中、天才というのは実在するらしい。

 ……いや。僕の周りは天才ばかりか。ニアも気がつくと魔法の付与ができるようになってたし。

「ありがとうございます!」

 寝ているナツを片手で背負い、風魔法が付与された魔鉱石をもう片手に持って僕は集落を一周する。広場から右回りに、各家を訪ねて回った。


「な、なんと?!もう終わったのですか」

「はい。まだ不具合などの確認ができていませんので、もしも不備がありましたら言ってください。僕らはもう少しこの辺りを探索する予定なので」

「えぇ、ありがとうございます。初めに設置して頂いたこの家の装置も、大変助かっております。見ての通り快適です」

 シアノートさんの家、試験的に初めに設置した温度管理装置――"暖房"は正常に稼働していた。洞窟の外とは比べ物にならない暖かな温度。

 しかし温められた空気は清浄。そこは機械と違い魔法さまさまだ。

 消費するのは魔鉱石が吸収している自然の魔力で、環境に悪影響を及ぼすことも無い。

「皆様はこの後頂上へ向かわれるのですよね?」

「はい。今のところの予定は」

「わかりました。あまり力にはなれませんが、できる限りの協力は惜しみません」

「道案内だけでもとてもありがたいです。それに、既に寝泊まりできる宿に物資まで頂いていますから」

 申し出はありがたいが、過剰な協力は何を引き起こすか分からない。命の保証ができる訳でもないので、最低限の要請だけに留めておいた。それでも充分に助かっている。

 数日かかると予想していた作業を約一日で完了した僕らは、早速その日のうちに洞窟を出発して頂上を目指すことに。洞窟の外はかなり吹雪いている。かなり長い間暖かな場所にいたせいか、昨日よりも寒い。

 ニアは今にも死にそうな表情をしている。

「うぅ…………さ、寒い……。セイタぁ、あの魔道具は持ち運べな、いの……ぉ?」

「ごめんね、あれは設置型で持ち運ぶにはもう少し改良が必要なんだ。今はカイロで我慢出来る?」

「寒っ……わ、分かった……くしゅっ」

「だ、大丈夫ですか?!」

「あーうん。寒いよ苦手なだけだから」

 ニアの寒そうなくしゃみに、案内役のラビット族さんが慌てふためく。極寒の低温は感じても、それで体調に変化が出ることは無いようだ。毛皮があるからだろうか……?

 寒さ耐性は病気の耐性や身体の体温にも何らかの効果があるのかもしれない。

 どちらにせよ自分たちは体験したことない変化に戸惑っているのだ。

「吹雪中に出発したのは失敗だったかな」

 そう思いつつも時既に遅し。

 雪道を除雪しながら、見上げる高さの頂上を目指すのだ。

どうも、深夜翔です。

現実は暑い日が続いていますが、こちらは寒さに凍えています。そんな対策に乗り出したセイタ一同。

無事に鉱石を利用して解決。新たな協力者を得て、再び古龍を探すため登山を開始。

この先に何が待ち受けているのか?


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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ではまた次回……さらば!

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