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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第二章 : 小さな移動アイテム屋さん 〜お店は一時閉店です
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街巡り③

「――っ!!」

 僕はラーメン(それ)を口にした瞬間、世界が止まったような感覚に襲われた。食べやすさと旨みを追求した麺、あっさりでは無いのに嫌なもたれを感じさせないスープ、そんな麺とスープの濃厚な絡み。

 それらが舌の上で弾け飛び、その刺激を求めてもう一度箸を摂る。

 麺を食べ、スープを飲み、たまには海苔と合わせたりして……。一度動き出した箸は、目の前の標的を食べ尽くすまで止まらない。

 確かに、懐かしい食べ物というバフがかかっている事も否定はできない。何せ、それほどまでに完成された味だったから。しかし、それ以上のこだわりと味に対する追求を体全体で感じられた。

「うむ。やはり美味じゃ!お主のラーメンが無くなってしもうたら、我は生きていけぬかもしれんな」

「はっはっは!大袈裟だぜ」

「……いや。これは本気で美味しいです!!」

 僕は珍しく――、それはもう今まで聞いたことないほど熱烈にそう叫んだ。

「そうか!気に入ってくれたようで嬉しいな!」

 叫んでから赤面して席に座り直す。

 チラとナツの様子を伺うと、どうやらかなり満足したようで、幸せな表情を拝むことができた。この街に来た時は、必ず訪れたい場所となった。そしてまた食べたい。

 僕らは短い間、その至福の時間を堪能した。


「ごちそうさまでした!美味しかった!!」

「とても美味しかったです。絶対また来ます」

「……ん」

「また来るの~」

 幸せそうな表情の4人。

 少し遅めの昼食になったものの、これ以上ないくらいに満足した。オオリア様が抜け出すのも頷ける。どれだけ一流のシェフがいたとしても、あのこだわりを再現するのは無理だろうから。

「さて、我は管理塔に戻るとするかの。セイタ、また来たい時はいつでも言うがいい。我も着いていこうぞ」

「また奢らせるつもりですか」

「奢らせるとは人聞きの悪い。今日はたまたまお金を忘れただけじゃよ!」

 再びくだらないやり取りを繰り広げ僕らを他所に、ナツとニアの興味は早くも次の場所へ移っていた。

「それではオオリア様。また今度」

「また会える日を楽しみにしておるぞ!」

 今日が過ぎればまた旅へと出発する。

 いつまたここに来られるかは分からない。

 けれど、きっとまた訪れたい。そう思える場所だ。僕らは簡単な挨拶をして別れ、それぞれの道へと歩き出す。

 ――そう。今日は休憩の一日なのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


『魔導百貨店』

 魔法に関するあれこれが詰まった、デパートのような場所。大きな括りとして"魔法に関する"であるも、魔道具や魔導書、杖、歴史の本、設計図など、取り扱う内容はお店によって大きく異なっている。

 錬金素材屋や杖専門店はファンタジー感溢れるお店であるものの、その他魔導書魔道具系列は、ほとんど本屋や雑貨店と変わらない。

 それでも、百貨店と言うだけあって人の出入りはかなり多い。中でも魔道具の店は繁盛しているように見えた。

 少し中を見ていこうという僕の提案でお店の中を見て回っていた僕らは、そのお店の中の一つに、またしても見知った顔を見つけた。

 魔導書専門店。大量の魔導書とそれに関わる書籍が本屋の如くずらりと並んでいる。

 そこに居たのは、僕らと別行動中のアルゴートさん。真面目な表情で書籍を手に取る姿があまりにも似合いすぎている。

 魔法が大好きな人にとってこの場所は宝庫だろう。

 その瞳は見たことないほど輝いていた。

「…………ん?お、セイタか。三人も何か見に来たのか?それとも俺を探しに来たのか?」

「ちょっと気になって寄ってみました。家に本はかなりありましたが、魔導書はあまり見た事が無かったので」

「そりゃそうだ。きちんと勉強すれば誰にでも魔法が使えちまうのが魔導書だ。そう簡単に手に入りはしないからな。ここにあるのだって、見ての通りかなりの金額。っても、俺も驚くレベルの品揃えだぜ」

 アルゴートさんが珍しく饒舌に説明する。

 彼の言うとおり、魔導書は普通の魔法とは違い所謂魔法を使うためよ"媒体"の役割を果たす。

 内部に刻まれた魔法陣を魔導書を通して発動する。

 使用者に求められるのは一般的な魔力だけ。本来、魔力の適正がある魔法しか使えない人類にとって、制限なし、魔力さえあれば使える魔導書はそれなりに重宝するのである。

 ならば全員魔導書にすればいいだろうって?

 残念ながらそれは難しい。そもそも、媒体となる魔導書の紙は貴重なのだ。地域によっては国宝にもなりうるレベルで。

 さらに魔導書で発動する魔法は、適当者が唱えて発動する魔法に比べて消費魔力が大きいという難点もある。たった1MPで放てる初級魔法に10も使っていられない。

 これが魔導書が流行らない理由だ。

「おっ、これは……まさか?!うおっ!知らない魔法に伝説のやつも?!これ本物か?」

 アルゴートさんのテンションが高い。

 先も言った通り、魔導書は流通も少なく流行らない。しかし、魔導書にしかない利点がある。

 それは、魔法を()()()()()()こと。知らない魔法、強大な魔法。魔法陣が複雑な魔法。

 それらを図として残し、後の人類へと受け継ぐ。

 後世の人らはそれを見て学び、習得する。ただ魔導書として魔法を使うものと捉えるのではなく、魔法を学ぶための教科書としての役割を持たせる。

 よって、魔法学者などの魔法にしか興味が無いオタクには喉から手が出るほど欲しいものであったりもする。

「……お金、使いすぎないでくださいね」

「くっ……わかってるぜ。俺も保護者だからな……、後で自分の首を絞めるような買い物は控え……何?!こ、これは探してたあれだっ」

 どうやらもう僕の声は届かないらしい。

 ここは広いし、もう少し見て回ってから戻ってこよう。あと一時間もすれば、ちょうどいい時間に宿に帰れる。

どうも、深夜翔です。

ラーメンと本。私が出かける時にする組み合わせです。

街に繰り出し、ふと目に入るラーメン屋。その瞬間、何故か舌がラーメンの気分でいっぱいになるのです。

不思議ですよね……。

次回はようやく街を出る……はずです。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

よろしければ感想や評価、ブックマーク登録、Twitter(@Randy_sinyasho)のフォローをよろしくお願いします。

ではまた次回……さらば!

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