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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第二章 : 小さな移動アイテム屋さん 〜お店は一時閉店です
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街巡り①

「ってなわけで……、今日は遊ぶぞーー!!!」

「ニア、あんまりはしゃぐと迷子になるよ」

 許可証を手に入れ、いつでもこの街を出発できるようになった。それに、この街が善人によって統治されていることも知れた。

 よって、僕らが慌ててこの街を出る必要は無くなったのだ。ここに来るまでに散々な道のりを通ってきたので、ここらで少し休憩の一日が欲しいと満場一致で休みになった。

 この世界にある他の街と比べても、圧倒的にここシェージアリアは娯楽で溢れている。大きさとしてはライードとさほど変わらないが、観光として一日充分に楽しめる広さだ。

 お金も大量とは言い難いまでも、買い物には使える量はある。

「んなら、俺は個人で好きなとこ見てくるぜ」

「え、一緒に行かないですか?」

「俺は魔法にしか興味が無いからな。こんなおっさんの魔導書巡りに付き合う必要はねぇよ。それにほら」

 独りで動くと言うアルゴートさんを軽く引き止めると、横であちこち視線を巡らすニアとナツを見て言った。

「女子は色々見たいだろうからな。こんな機会滅多にないんだ。二人に付き添ってやれよセイタ。こんなおっさんに気を遣わなくていいぞ」

 おっさんって。実際に百歳を超えていても、長命なエルフという種族の中では20歳程度。まだまだ若い。

「……わかりました。今日は昨日と同じ場所で泊まるので、部屋で待ち合わせましょう。夕飯は一緒に食べますからね!」

「おう!」

 楽しませてやれと、なかなかにかっこいいセリフを吐いて、アルゴートさんは人混みへ消えていく。

 ……実は独りで魔導書巡りを楽しみたいだけだったり。

「それじゃあ、僕達も行こう」

「あれ?アルゴートさんは?」

「魔導書巡りするって。夕飯は一緒にする約束したから、大丈夫なはず」

 えっと……、大丈夫……だよね?ああ見えてアルゴートさんは時間をきっちり守る。心配はない。

 ニアやナツの方がよっぽど時間にはルーズだし。

「どこから行こっか」

「私、あそこ行きたい!」

 ニアが指さしたのは、オシャレな服……ではなく、その横のクレープ屋だった。

「……ナツは?」

「あれ」

 指し示すのは、アイスクリーム屋さん。名前が明らかサーティ〇ン。元の世界なら著作権侵害待ったナシ。

 あぁ、ダメでしたアルゴートさん。

 この二人、花より団子です……。



「むぐ……んむ……美味しい!」

「ん」

「二人とも食べ過ぎると身体に良くないよ」

「ドーナツ、は……、まるいから、じっしつ……ゼロ、カロリー」

「そうなの?!どーなつって凄いんだね!」

「ナツ。僕らの(世界の)冗談が通じない人もいるんだから、ほどほどにね」

「……ん」

 僕らは今、中央の建物から東に伸びるロットライトストリートを歩いている。

 右手には団子、左手にはドーナツ。脇に抱えた袋には焼きそば。一体どれだけ食べれば気が済むのだろうか。

 特にニアの食欲は凄かった。

 日用品や洋服屋には目もくれず、美味しそうな匂いだけを頼りに一直線に食べ物へと近づくのだ。

 見えないはずの耳としっぽが見えてくる。

「にぃ、これ……」

「さっき買ったお団子だね。美味しかった?」

「ん。だから……にぃ、も」

「そっかじゃあ貰うね」

 ナツが差し出してきた団子に手を伸ばす。

「んっ!」

 しかし、何故か少し不機嫌そうにその手を引っ込め、頬をふくらませて睨みつけられた。

「えっと……」

「あーん」

 戸惑う僕に、ナツは口を開けながら団子の刺さった串を再び前につきだす。

 ……これを食べろって言ってるのかな?

「あーん。……あ、美味しいねこれ」

 言う通りに差し出された団子を一つ頬張る。

 食べたことがある味だからこその懐かしさ。それに加え、団子にかかった独特なタレと、団子本体から薄ら感じる甘みが上手い具合に合わさっていて美味しい。

 甘すぎず、だからといって味が薄い訳でもない。

 作ったお店のこだわりを感じる味だ。

「……おいし」

 心の中で食レポしつつナツに視線を向ける。

 満足そうな表情のナツと視線が合う。やっぱり美味しいものを食べるのは、心休まる行為なのだ。

 少し頬をピンクに染めたナツは、にっこり笑顔で残った団子を口に入れた。


「そういえば、ニアはどこに?」

 ナツとのやり取りに夢中になっていて、動き回るニアを追うのを忘れていた。慌てて周囲に目を向けると、少し遠くで何かを見つめるニアの姿が。

 何を見ているのかとその視線の先へ注目する。

「アクセサリー?」

 さっきまで食べ物にしか興味が無さそうだったニアが、羨ましそうに棚に掛けられた商品を見つめる。

「何かいいのあった?」

「ひゃっ?!せ、セイタ……かぁ。あっちにぎょーざ?って言うのがあった!行ってみよ!」

 僕が後ろから声をかけると、一瞬驚いたあとにすぐさま食べ物へと興味が移る。先行くよと言って食べ物へと走り出す。

「……にぃ」

「ニアが見てたのはこれ……かな?」

 透き通った水色の宝石が着いた指輪。

 雫のような形をしたそれは、『天の涙(スカイ・ティア)』。名称はここの店主か製作者が考えたものだろう。

 チラと横を見ると、同じように黄色い宝石がはまった指輪。形は少し違い、向日葵のような花型。

 名称は『太陽の花(サンフラワー)』。この世界で向日葵を見たことは無いけれど、もしもモチーフがあるのだとすれば、向日葵に似た花がきっとどこかにあるのだろう。

「ナツは欲しいのある?」

 そう尋ねると、ナツは小さな頭を横に振ってニアを追いかけていった。何となく欲しそうにも見えたけど……。二人ともどうしちゃったんだろう。

「…………」

 僕はそこに並ぶ二つ(ふたり)の指輪を見つめるばかりだ。

どうも、深夜翔です。

ここまでで大きな山を乗り越えてきたセイタ御一行。

せっかくの休みを無駄にしないために、未知(既知)の街を観光する。

花より団子な女子陣だが、何やら興味のあるものが……?

次回はもう少し街を巡ります。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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ではまた次回……さらば!

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