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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第二章 : 小さな移動アイテム屋さん 〜お店は一時閉店です
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一難去ってまた一難

「こ、今度はなんだっ?!」

「カエルだよぉーー!!」

「なんでこんなに……」

「にぃ、は……、前、みて」

 平原を抜け、シェージアリアまであと少し。その間に通るは大規模な湿地地帯。オリューン湿地。

 この辺りは森や平原と違ってかなりしっかりした道の舗装がされているため、馬車での通行は問題なく快適だった。問題なのは道ではなくその周囲。

 何やら以上な魔力を感じてはいた。けれど、まさか湿地が()()()()()()なっているとは思っていなかった。

「カエルの大量発生って何っ!!」

 結局、二度あることは三度ある。

――なんか僕ら、いつも追いかけられてない?

「……うん、が、わるい」

 ナツが辛辣。けれど事実。

 この短い間に、ワームに襲われ、蜂に追いかけられ、挙句の果てに次はカエルときている。

 今なら呪われていると言われても信じてしまいそうだ。

「この湿地からシェージアリアまではそう遠くなかったはずだ!構わず突っ切れセイタ!」

「はいっ!」

 街からもうかなりの時間を友共に過ごしてきた馬。

 砂漠も森も、僕たちを乗せて走ってくれた。そして今度は湿地。次の街に着いたら、全力で労わってあげようと、目の前の頼もしい背中を見つめてそう思う。

 きっと、旅で一番の功績者はと聞かれたら、間違いなくこの馬だと答える。

 ドスンッ。ドスンッ。

 カエルが飛び跳ねて追いかけてくる音がする。

 ビックフロッグ。毒や麻痺などの特殊な攻撃は無いが、厄介なのはただひたすらに巨大なその図体。

 高さは4メートルを超え、魔物という攻撃性が上がった進化をしたために、泥を投げつける攻撃をしてくる。

 しかも、跳ねる度にものすごい地響きを撒き散らす。

 色はオレンジや黄色、水色に黄緑と、謎にカラフルな個体が揃っている。

「生まれる時の色は、完全にランダムらしいぜ」

 アルゴートさん渾身の雑学も、今はそれどころではない。

「少し飛ばします。"筋力強化"」

「……"衝撃緩和"」

 これ以上追っ手が増えることは避けたい。

 街に着く前に逃げ切りたいので、多少ゴリ押し気味に強化(バフ)を付与した。馬の体力が持つ限り、――ここから早く立ち去りたいと願って。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「見えて来たな」

「…………」

「なんか不思議な建物がいっぱいだぁ!!細長いけど折れないのかな?」

 シェージアリア。離れた辺境の地故に詳しく知る者は少なく、ほんの少しだけの噂が飛び交うそんな街。

 幻術の類の魔法が魔物よけの結界として使われているらしく、結界内に入らないとその全貌を視界に収めることが出来ない。

 しかし、実際に足を踏み入れてみると、もっと別の要因がある気がしてならなかった。

「……おか、しい」

 あのナツが、瞬きもせずに驚いている。

 いや、多分僕も同じ表情をしているに違いない。

「見たことねぇ建物だぜ。1面ガラス張りって、プライベートはどうなってんだ?」

「それよりもさ!どうやって作ってるのこれ!どの建物もすっごい大きいよ!」

 未知の建造物に、興奮冷めやらぬアルゴートさんとニアの二人。見たことの無いものばかりに、あちこち視線が移り変わる。

「ん?セイタにナツは、あんまし驚かないんだな」

「もしかして見たことあるの?!」

 二人との温度差に、首を傾げて尋ねてくる。

「えっと……、見たことは無い……かな。少なくともここ数年の記憶では」

 こうして濁した回答をするのには、訳があった。

 目の前の街……。そこは、あまりに異質で、身に覚えしかない街並み。いや、これは街じゃなく

「……都市」

 今、僕らの目の前に広がるは、――高層ビルが建ち並ぶ、現代日本の都市の(ような)光景だった。

 よく朝のテレビ画面に映っていたのを覚えている。

 あの時もまるで異世界のようだと思ったものだけど、まさか真の異世界に来てまでこんな場所を見ることになるとは……。

「早く!早く行ってみようよ!」

「これは俺もワクワクしちまうな」

 この世界生まれの二人は未知へ興味。異世界生まれの僕らは、既知故の異質さに若干の恐怖を感じつつ、そのシェージアリア()()()を散策することとなった。のだが……

「オシャレー!服ってこんなに種類があるの?!こっちはアクセサリーだって!でもお高いんでしょ……安?!あ、でもこっちは高い。種類までたくさんあるね」

「これは……魔導書?いや、だけどこんなに良質で安価なものばかり……。高級店とそう出ないものの違いはあるのか?普通の書物がこんなにたくさん?!どれも読んだことの無い本ばかりだ」

 どのお店にもショーウィンドウがある大通り。普通の街よりもその数が多く、目に留まりやすい。すなわち、見たことの無いものばかりが視界に入る。

 アルゴートさんとニアは、まるで子どものようにはしゃぎながら、視界に入る店全てに反応する。

 もう一時間は経ったというのに、未だにこの場所から入ってきた入口が見える。つまりは、全く進んでいない。

 人通りがそこそこな大通りなために、寄り道がしやすいのも影響していそうだ。

「……いわかん」

「まぁね。いくら建物が近未来で異世界らしくないって言っても、さすがに自動車までは再現できていない見たい。けど、わざわざ道の真ん中にこんな大きな道路を作るなんて……」

 ――まるで地球から転生してきたよう。

(いや、もうほぼ確定か。確実に()()()、もしくは()()()がいる)

 それも、待ち一つを()()()()()高貴な身分の者が。

 場所は検討が着く。この街の中央にそびえ立つ一際大きな高層ビル。きっと、この街の長はあそこにいるのだろう。僕たちの目的地はあそこだ。

「なぁ!これ!!始めてみるぜ」

「セイタ、ナツ!!使い方分かる??」

 …………。

 まずは、今日泊まれる場所を探すのが先……かな。

どうも、深夜翔です。

ファンタジー世界ぶち壊しの街、シェージアリア。

これだけ大層な文明を築き上げた長は、一体どのような人なのか。

次回に続きます。

……異世界に高層ビル。シュールですよね。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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ではまた次回……さらば!

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