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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
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情報こそ勝利への近道

『諸事情によりしばらくお休みします』

扉の前にはそんな張り紙。

しばらくがどれだけの時間になるかは分からない。

できるだけ早い解決を…。

そう思う事しか叶わない。

「………はぁ。どの本にも書いてあることは同じだなぁ」

お店はお休みしているものの、レジ台に大量の本を積み重ねて読み漁っている。

調べているのはただ一つ。

アルステッド教について。

母様が全然本を読まないから、市場に行ってそれらしい本を購入してきた。しかし、どの書物を確認しても記されているのは似たような情報ばかり。

他の大陸と言うのもあり、そのどれもが信憑性が低くパッとしない。

この本も諦めてまた1つ手に取る。

「セイター!いるーー?っていた!」

そのタイミングで、一人の少女がやってきた。

張り紙など一切見ていないのが分かる。

「ニア、今日はお店休みだよ」

「うん、知ってるよ。手伝いに来たの!」

「手伝い…?」

「そう!セイタの事だから、何か調べてるんじゃないかなーって。それで覗いて見たら予想通り!本に埋もれたセイタを発見したってわけ!」

「それで直ぐに入ってこないで、外をウロウロしてたんだ」

「あれ?バレてたのかー」

「覗くならせめて、隠れる努力をしよう」

手伝い…というより、どちらかといえば邪魔な気もするが、ニアの明るい性格のおかげで少し気が紛れた。

沈んでいた気持ちも、明るさを取り戻す。

「あはは。ニアに感謝だね」

「んーー?なにかしたっけ」

「なんでもないよ」

本人は知らない。知らない方がその力を発揮しやすい。

無理に笑うニアを見たくはないし。

「あ、そういえば昨日、ニアはどうしてミオンさんと一緒にいたの?知り合い……では無かったよね」

「あの騎士様のこと?会ったのは偶然だよ!と言うよりも、誰か戦える人を探してたら騎士様の方から声をかけてくれたの」

困っている人を見かけたら助ける。

なるほど、ミオンさんらしい出会い方だ。

「本当は、セイタを先に見つけてね。声をかけようとしたら、突然大きな結界が張られたのが()()()。私一人じゃ危ないかなって」

結果論で言えば、その判断は素晴らしいものだったと思う。あの時、ミオンさんが助けに入っていなければ、危うかったのは事実。

ニアの瞳と事情を理解してくれるミオンさんのおかげで、あの場を凌げた。

命の恩人と言っても過言ではない。

「あっ!セイタ!これってあのきょうだん…?ってやつだよね!」

「……その本はもう読んだよ」

「あれ?そっかー」

「あはは。今分かってる情報は共有しておくべきだったね」

本の下から1枚のメモを取り出す。

ある程度アルステッド教について調べて分かったもの。

「わー!たくさん調べたんだねえーっと……

『アルステッド : 過去にいくつもの大陸を支配し、世界全土までもその手の内にしようと企んだ邪神。

それぞれの大陸の神をも凌駕。最後は英雄によって封印され、今も何処かに眠っている』

なんだか怖いね、邪神。神を凌駕って、あの神様よりも強いんだ……。あ、でもこの"英雄"は私も知ってるよ!」

コロコロと表情の変化するニア。

ただのメモひとつで大袈裟な反応だ。

「"九の英雄"の伝説。別称では"神殺しの英雄"なんて呼ばれてる。けど、それ以外のことは何も分かっていないよ。どの書物にもはっきりとしたものは無くて、どれも噂話の域を出ない」

どこに封印したのかも、ましてやどんな戦いだったのかさえ、記述された本は無い。

架空の物語だと言う学者も少なからずいる。

「でもさ。封印して何処かに眠ってるんだよね?あるす…てっど教が信仰してるのなら、南の大陸に封印されているってことじゃない?」

「まぁ、そう考えるのが妥当かな」

最も信仰の厚い地域。

そこに封印した邪神がいる。でなければ、何故彼らは南の大陸を行動の拠点としているのかが謎。

「約500年前の話……」

渡したメモを読んでいたニアは、とある一文で止まる。

「セイタ。この戦争?って、500年前の話なんだよね」

「調べた限りではそうだと思う」

「500年ってさ、もしかしなくても()()()()()()()()()()()()()()()()()が生きてるかも知れないって事だよね」

「っ!!そうか!」

僕もニアの考えに気づき、盛大に反応した。

「人間の寿命は100年だけど、他種族なら!」

そう。

ここは異世界。

魔法があり、適応した文明や伝説があり。

()()()()()()()()()()()

彼らの寿命は人間の比ではない。

「アルゴートさんならなにか知ってるかも」

「探して見よ!!」

ニアの核心を着いた閃きに、いてもたってもいられなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「アルを探して、何故ここに来る?」

「な、何となく…です」

騎士団本部。団長室。

僕はミオンさんの元を訪れていた。

「アルゴートさん、学院の様子を見てくると言っていたので、もしかしたらここに来ているのではと…」

「念の為先に言っておくが、ここは学院では無いぞ」

「あ、はい。そうではなくてですね……アルゴートさんが学院に向かった理由が侵入者の件なのだとすれば、ここに来てないかなと思いまして」

「この間の会話、聞かれていたか」

「あはは…一応、僕の店の前ですから」

あの話の流れ的に予想しただけ……とは口に出さない。

「残念だがアルゴートは来ていない。が、おそらく既に学院にも居ないだろうな。用があるにしろ、奴がそう何日も学院に留まっているとは思えん」

凄い私怨が篭った確信だ。

……少し共感してしまったけれど。

「分かりました。突然押しかけてすみません」

「ああ。問題ない……ん?そういえばセイタ、どうやってここに?正門には見張りの兵がいたはずだが」

「えっと……秘密です!」

まさか、転移の魔法を使った……なんて言える訳がない。

どうも、深夜翔です。

勉強している時、その学習に詰まってしまうと中々に気分も下がり気味。

そんな時に気分を明るくしてくれる存在は、やはり貴重な存在と言えるでしょう。

兄、セイタは協力者の手伝いのおかげもあり、調査が一歩前進。

果たしてこの一連の物語の核心に迫ることはできるのでしょうか。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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ではまた次回……さらば!

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