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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
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いつものように

職人の朝は早い。

朝食、掃除、開店準備、掃除、片付け。

家族が生活力皆無な事もあり、日常生活の上でやるべき仕事は全て僕に回ってくる。

したがって、毎回時間通りに手早くこなすことを求められる。まさに職人技のよう……

「なんて、ふざけて思ってみたり……。恥ずかしいから口には出せないね」

「にぃ…は、がんばってる…よ」

「うん、ありがとう。…けど、いつからそこに?」

「……あさは、はやい…から」

「すっごい初めだね」

「おきれた、から」

いかにも平然と冷静を装ってはいるがこの僕、恥ずかしさでかなり動揺している。

既に拭き終えた机の上を永遠と拭き続けるくらいには。

「あ、朝ごはんはまだ待ってね」

「ん、まってる」

僕は誤魔化すように台所に向き直った。

ちなみに、母様は朝食が出来上がっても起きてこなかった。まだ寝ているに違いない。


冒頭に説明したように、普段の朝はやることが多い。

朝食を済ませ、片付けをやり、お店の掃除をする。

質のいい商品を届けるには良い環境作りが大切だ。

店内が終われば外に移動して掃き掃除。

後は営業時間までのんびりできる。

むしろやることが無いから外で箒を握っている。

「やっほー!セイタ」

「おはようニア。ナツはいつもの場所で寝てるよ」

「…セイタはさ、私がナツちゃん目当てで来てると思ってない?」

「違うの?」

「うっ……違くない…けど、違うの!」

「???」

ニアは日本人のような黒髪に、赤いメッシュが入ったこの世界では特徴的な髪色をしている。

彼女の趣味なのか、特殊な眼の影響なのか。聞いたことは無いけれど、本人が話さないなら僕から聞く必要は無いと思っていた。

…が、その理由が初めて分かった。

「こ、こんにちは…」

「えっと…おはよう、ございます?」

ニアの後ろに隠れたもう一人の男の子。

「あはは!二人とも初対面の反応みたい!……あ、初対面か!」

「姉さん、この方が?」

「そうだよ!」

「あの…いつも姉がお世話になってます」

「ニアの弟?こっちこそお世話に……おせわ…?」

「ちょっと!そこは社交辞令ってものがあるよね?!」

ニアの弟だという彼は、ニアと同じく黒髪に赤色のメッシュ。位置が少しだけ違うけれど、お揃いというよりも元からこの髪色なのだろう。

つまり、この色は遺伝ということになる。

なんとも不思議な光景だ。

「それで…今日は?」

今日の何の用か、ということである。

「あのね、今日お母さんもお父さんもいなくて、せっかくだからセイタのところに行こーかなって」

「何がせっかくなのか分からないけど…」

「安心して!テルは私よりもお仕事できるから!」

「テル…あ、テルって言うんだね」

「姉さん、会話の順序は考えようよ」

「すごい、初対面だとは思えないほど二人からの目線が痛いっ」

しかし、性格はあまり似ていない様子。

姉があのニアとなれば、弟の方はそれなりに苦労しているのだろう。

「でもそうだ、ちょうど手伝いが欲しいと思ってたんだ。頼んでもいいかな」

「もちのろんよ!!テルもいいよね?」

「よろしくお願いします」

こうして意図せず従業員が増えた。


「合わせて銀貨4枚になります」


「こちらはですね、押しボタン式となってまして…」


「今行きます!」

今日もお店は大繁盛。

数日前に突如としてお客さんが来るようになってから、ここ最近は毎日のように見る光景。

3日ほど前まではアルゴートさんが手伝ってくれていたのだけど、ミオンさんに依頼の品を届けてもらった日、ついでに学院の様子を見てくると言っていなくなってしまった。

お店に戻ってきていないし、母様も知らないと言う。

きっと魔法の研究に関わる何かをしているのだろうが、少しは心配にもなる。なるのだけど……

「はい!魔法の勉強ですね!えっと……テルぅ、何処にあるか分かる?」

「書物系統はあの棚の横だったはずだよ姉さん」

「そうだった!ありがと!」

実際は心配している余裕はあまり無い。

手伝ってくれているとはいえ、たった三人でこの人数を捌かなければならない。

テルくんの方はニアが自慢するだけあってとても優秀だった。一度教えただけなのに、お客さんへの対応も商品の扱いも、位置の把握も完璧。

ニアは……コミュ力が高いおかげか、お客さんからの評価はとても高い。常に笑顔なのが見て取れる。

が、それ以外があまりにポンコツ。

テルくんがいて助かったと言わざる得ない。

「……………スピィ」

ナツは変わらずぐっすりだ。


「二人ともありがとう。すごい助かったよ」

「こちらこそ、良い経験になりました」

「あ、これお礼の魔道具。お金とかでも良かったけど…いいの?」

「はい。僕の方こそ、セイタさんの高価な魔道具を頂いてしまって…」

「大丈夫、僕が作ったものだからね」

営業終了時間の夕方。

人も商品も無くなった店内で、ようやくの一息を着いていた。

「あ〜〜〜〜疲れたぁぁ〜。すっごいお客さんだったね!何かあったの?」

「ニアは……それで良かったの…」

「うん!美味しいよ!」

ニアがお礼として欲しがったのは、僕の手料理。

出会ったばかりの時に、作ってあげる約束をしていたのを未だに覚えていたらしい。

わざわざお礼で頼まなくても、言ってくれれば作ったのに…。

「不思議だよねー。モグ…。前に来た時はもっと穏やか?というか、静かなお店だったのに」

「僕も驚いてるよ。ここまで忙しい日が続くとは考えていなかった」

「神様がセイタが頑張ってるのを見て応援してくれたのかな?…神様がいるかも分からないか」

「偶然ならそれでいい……けど、人為的な可能性も捨てきれないかな」

「人為的…って、誰かがセイタのためにお客さんを呼んでるってこと?」

「もちろん可能性の一つでしか無いけどね」

そう。

僕の()()に人を呼んでいる可能性が。

けれどもし、もしも。

()()()()()()()だったら…。

「明後日は定休日だし、様子…見に行こうか。ナツ」

「りょ、かい…」

この世界に来て、いつものように…なんて事は長くは続かないみたいだ。

どうも、深夜翔です。

兄妹、姉弟も人によって様々です。

似た者同士、性格が真反対、特徴が似ている。

その関係性は思っている以上に複雑だったり。

時に、一番の分かり手としてそばにいることも。

テルとニアという姉弟。皆さんにはどんな姉弟に見えたでしょうか。今後もたまに登場しますよ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

応援していただける方、よければ感想や評価、ブックマーク登録をよろしくお願いします。

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ではまた次回……さらば!

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