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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
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緊急事態

「や、やめてくださいっ!」

私が到着した時、騎士団の一人が必死に喧嘩を仲裁していた。

「うるせえぇっ!!」

「ひっ」

すると、怒りが頂点に達していた男の一人が剣を振り上げて騎士団員に襲いかかる。

キンっ。

金属がぶつかり合う甲高い音が響き、男の剣を私の剣が防いでいた。間一髪……だったな。

「今だっ!二人を取り抑えろ!」

「「了解しました!!」」

私の指示を聞いた騎士団員達が、一斉に荒ぶる彼らを抑えかかる。見たところ他に被害もない。

本当にただの喧嘩だったようだ。

私は襲われかけた団員のそばに駆け寄る。

「大丈夫か?」

「団長、すみません…。突然のことで」

「仕方あるまい。だが、あのような場合も想定し、咄嗟でも剣が抜けるようになれ」

「は、はい!」

ひとまず怪我はないようで安心した。

他の試験生の対応も、騎士団が迅速に対応している。

私の出る幕ではないようだな。

(……それにしても、何故ここに金属の剣が…?)

ここは試験しけん会城かいじょう

試験には木刀が使われるため、試験者が持ち込む必要は無い。

それどころか、入場前の受付にて持ち物検査があり、そこで危険性の高い物や剣などは没収されているはずだ。

この会城内に騎士団以外が剣を持ち込めるはずがない。

「……何かが起きているのか?」

そう疑った矢先、見知った声が聞こえてきた。

「ミオンさん!!今少しよろしいですか?」

「セイタ?どうしてここに…」

「あの後、怪しい人を見かけまして……伝えておくべきだと思って探しに」

「怪しい人…か」

タイミングの良い情報だ。

「その場所に案内して貰えるか?」

「大丈夫です。行きましょう」


「僕が見たのはこの先です」

「分かった。報告、感謝する」

「あっ、僕はお二人を遺して来てしまったので戻っておきますね」

「ん?あぁ、問題ない。わざわざ呼びに来てくれてありがとう」

感謝の言葉を述べ、私は人混みを抜けた城壁近くまでやってきた。

すると、そこで見つけたのは意識を失った状態で縛られている男5人だった。

咄嗟に助けようと体が動くも、踏み出した一歩目で止まる。

(彼らは試験者じゃない)

直感的にそう思ったからだ。

剣を振るうには動きにくい服装、辺りから漂う魔力の気配。何より縛られて意識を失っているのには、それ相応の理由があるはず。

後から頭の中で思い浮かぶ観察結果も、足を止めるに値する怪しさだった。

「捕らえるにしても私一人では無理か」

騎士団の数人を連れて来ないと移動させるのは厳しい。

そこに通りかかる騎士団員。

「あれ団長?」

「おぉちょうどよかった。怪しい奴らを見つけたのだが、もう数人呼んできてくれないか」

「了解しました!!」

走り去っていく団員を背に、私は縛られた彼らに向き直る。全員が意識を失っていると思ったが、一人だけただ無言なだけの者がいたのだ。

「お前、一体何があった」

「俺は声が出せな……あれ?出せる」

「何を意味不明なことを。何かよからぬ事をしていたのでは無いのか」

「だ、誰が貴様なんかにっ」

「……私はこれでもここの騎士団の団長でな。悪人、罪人、その他諸々の相手をするのは慣れている。もちろん、拷問の類も……な」

「ひぇっ……」

「なに、素直に話せば傷つかなくて済むというもの」

「き、貴様の言うことなど信じるものか!!だいたい……あのガキだって貴様らの仲間だろうが!これでは……ー様の計画が」

「ガキ?計画?なんだそれは」

「くそっこうなればこいつら諸共しっ…んーー?!」

何がしたいのか分からないが、男が突如口を閉じる。

情報を話す意思も無いのか。

こいつらの素性も気になる。

どこかの教信者か、それとも他国の…?

どちらにせよ、敵が潜り込んでいることに変わりはない。

「団長っ!遅くなりました!!!」

「悪いが、こいつらを騎士団本部へ連れていけ。敵だと思われる、情報を吐かせて監獄行きだ」

「は、はいっ」

ふと、教信者と言うワードに引っ掛かりを感じた。

そういった者たちは、情報の流出よりも死を選ぶ。

「自殺させるな。なにか仕込んでいるかもしれん」

「了解です!!」

……何故そう思ったのか。

その時の私には理解できなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁ…」

「ミオン、お疲れ様です。大変でしたね」

「仕方がない。喧嘩に異教徒、試験と対応するべきことが重なりすぎた。セイタ達には申し訳ないことをしてしまったな」

「お二方はそんなこと気にしていないと思いますよ?あの後は私が案内の続きを行いましたし、帰り際にも『ミオンさんにありがとうと伝えてください』と仰っていましたから」

私はあの後、それぞれの対応や減った騎士団の仕事の調整などの雑務に追われ、自ら申し出た案内を途中で放り出すという最悪の行動を取ってしまった。

それも、代わりをお嬢様に頼むという始末。

やってしまったという反省と、仕事の疲労によって私は本部の机で沈んでいた。

「それにしても……教信者が国王の城に攻撃だなんて。アルステッド教会なんて信仰…私は知りませんでした?」

「異教徒……ではなく邪教徒ですね。アルステッドは遥か昔、大陸全土を支配しようと神を殺したとされる邪神の名です」

「邪神?!……ということは、彼らはその邪神の復活を?」

「今の段階では分かりません。捕らえた者たちも見た目以上に厄介な奴らでして、中々口を割ろうとしません」

「大変ですね」

私はアヤメ様が入れてくれたお茶に手を伸ばす。

本来、私のようなものがお嬢様に入れてあげるべきものなのだが、アヤメ様は好きでやっているのですと笑顔で入れてくれる。

これではますます好きになってしまでは無いかっ。

そんな心境はさておき。

「ただ、彼らがこの城に何か仕掛けようとしているのは確かです。王には報告しましたが、何か対策を考えねばなりません。城壁は丈夫ですが、強力な魔法を撃ち込まれてしまえば破壊されかねませんから」

「魔法の無効化ということですか?この規模となると、相当な時間がかかると思いますけど……」

ここで計画が失敗したからと言って、試験に潜り込むような輩がここで引くとは思えない。

早急な対策が必要になってくる。

「手軽に行えて、魔法の対策ができる……そんなもの存在するのだろうか」

考えて見たところで、それを解決できそうな人物など私の知る中では()()()()()()()()()()

「やはり、またお二人にお願いしてみるしか」

「はい。少々心苦しいが、彼らにお願いする以外は無さそうですね」

「その時は私も着いていきますからね!」

こうしてまたしても、大変な事態に友人を巻き込む羽目になるのだった。

どうも、深夜翔です。

何かが起こる予感。

巻き込まれる前触れというのは、得てして本人たちのいない所で発生するものです。

もしかすると国が関わる大事件?!

兄妹はこの危機をどう乗り越えるのか。

次回は、またしても依頼が。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

面白いと感じていただけたら、感想や評価、ブックマーク登録をよろしくお願いします。

Twitter(@Randy_sinyasho)もやっているので、そちらのフォローも是非。

ではまた次回……さらば!

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