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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
27/84

突発イベント終了

「す、すごい…」

「遺跡の核ごと吹き飛ばしちゃったね」

「…ブイ」

あれだけ絶大な魔法を放ってもなお、いつも通りのナツ。

僕はセイレーンが鎮座していた石碑が()()()()()を眺めながら、降りてきたナツの頭をなでる。

「ナツ、魔力は大丈夫?」

「…ん……、もんだい…なし」

「そしたら魔鉱石の回収だけして戻ろうか。ニア、ここまで倒してきたゴーレムの素材あつ……ニア?」

「へっ?!ど、どうしたの!!」

「何にも聞いてなかったね」

吹き飛ばされた空間を見つめたまま呆然としていたニアは、僕の問いかけに驚いた様子で反応した。

作戦の内容はあらかじめ伝えておいたはずなんだけど…。

「早めに魔鉱石回収して脱出しないと、遺跡崩れるよ」

「そうだよね!崩れる……崩れるの?!」

「……ニア…驚き……すぎ」

ナツが真顔でツッコミを入れる。

「遺跡の核が破壊されれば、当然核の魔力によって作られた遺跡も破壊される。まだ遺跡自体に残留してた魔力で何とかなってるけど…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…………

噂をすれば、遺跡の崩壊が始まった。

「ニア!急いで走るよ!」

「ちょ、ちょっと待ってぇーー!!」

セイレーンの居た広い空間には、柱が無かった。

崩壊していくのはまずそこからだろう。

魔鉱石の回収をしつつ通路へと飛び出したと同時、背後から落石の音が聞こえてきた。

「た、助かっ……た?」

「止まると危険だよ」

「嘘でしょぉぉぉおーーー!!!!!」

その音は徐々に近づいてくる。

僕達は全力疾走で遺跡の入り口へと走るのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ、間一髪」

「ききかん……バッチグー」

「あはは。確かにスリルがあって楽しかったかも」

「ん………っ」

無事アルゴートさんの庭まで戻ってきた僕達。

久しぶりの全力ダッシュに爽快感を覚え、少し気分が高揚していた。

一人を除いて。

「はぁ…はぁ……はぁぁ…………し、死ぬかと思った思った」

「ニア、大丈夫?そんなに長い距離を走ったつもりは無いんだけど…」

「長くは無かったよ?でも、それ以上にこう…なんというか…命の危機?みたいな」

「死の危険だったら、魔物と対峙してた方があったと思うけど」

「そうなんだけどね?!!倒して一安心したところに不意打ちをさ!………いや、これ以上説明しても無駄だった」

「???」

「…ニア……へん」

「私が少数派?!」

こうして遺跡攻略、または魔鉱石回収の任務は無事に終了。

マジックポーチにたらふく詰め込んだ魔鉱石があれば、しばらくの魔道具作成も、目的の魔道具にも問題なく使用出来るはずだ。

「よし、おじさんの工房に戻ろう」

ようやく魔道具の作成が一歩前進した。


「おぉ!三人とも無事で良かった!」

「おじさん、早速で悪いのですが、これが依頼したい魔道具の設計図です。この形にしたいんですけど、魔鉱石はこれで足りますか?」

「おう!全然問題ないぜ!!」

「えっと…代金は……」

「んなもん貰えるわけないだろ!病を治してもらっただけじゃなく、鉱山の問題すら解決してもらったんだ!!今回だけとは言わねぇ、困ったらいつでも来てくれよな!!!」

「おじさんうるさい!」

町に帰ってきた後、そのままの足でザカルさんの工房に向かい、魔道具作成用の素材と依頼をした。

遺跡に入ったのが朝……と昼の中間くらいで、帰ってきたのは夕日が沈む一時間前。

「明日には完成させる!朝にでも取りに来てくれ」

「そ、そんなに早く?!」

「恩人を待たせるわけにゃいかんってものよ」

「助かります!」

ザカルさんには今回の件ですごく好かれたみたいで、たくさんサービスをしてもらった。

魔道具制作で詰まった時があれば、頼って見るのもいいかも知れない。今までにも、魔鉱石の加工が上手くできず断念した魔道具がいくつかある。

もしかすると、それらの魔道具をこの目で見る事ができる日が来るかも……。

そんな胸踊る展開を想像し、早くも何を作ろうか考え始める自分がいる。

心持ちはさながら、プラモデルを作っている男子…。

「……………」

「ナツ?さっきから静か……」

ふと背中に重みを感じて気配を辿ると、既に夢の中へ半分旅立っているナツが僕の背中に寄りかかっていた。

「ナツ…眠い?」

「…………………ん」

いつもより何倍も遅い朧気な返事。

これは精神の限界かな。

今日は色々あったし、起きるのもいつもより早かったし、眠くなるのも仕方ない。

「ごめんなさい、ナツがもう限界みたいなので、今日は一先ず宿に戻りますね」

「おう、明日、待ってるぜ」

「ニアは?一緒に戻る?」

「そうするー!おじさんまた明日ー!」

宿に戻り休息を取る事に。

僕は背中にしがみついたナツを背負って、宿への道をゆっくり歩きだす。

「ナツちゃん、凄いね」

その途中、ニアが小さな声で言った。

「こんなに小さくて可愛いのに、それ以上に凄い力を持ってる」

「他の人には内緒でお願い。こんな力、広まったりしたら悪用しようとする人が出てくるかもしれない。魔法使って、走って、疲れて寝てるけど、ナツは僕の大切な妹だから」

「きっとセイタの力になりたくて、精一杯背伸びしているんだよね」

「いつも寝てる気がするけど」

「だね。でも可愛いからいいじゃん」

「あんまりグイグイ押してると嫌がられるよ」

「え〜だって本当に可愛いから……けど嫌われるのは嫌だ!!」

少し騒がしい帰路、夕日の照らす帰り道。

幸せそうな表情で眠るナツ。

僕にとってこれ以上無く嬉しい今を噛み締めて、僕は笑うのだった。

15日に投稿予定の次話、こちらの事情によりお休みさせていただきます。

次回の投稿は(おそらく)18日です。


どうも、深夜翔です。

長い遺跡攻略の回もようやく終わりました。

兄妹とニアの距離は、回を重ねるごとに近づいています。

特に今回は、ナツの発言が多い回になったと思います。

小さくて大人しく、強い。

そこにギャップを感じていただけたら嬉しいです。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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Twitter(@Randy_sinyasho)もやっているので、そちらのフォローも是非。

ではまた次回……さらば!

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