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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
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兄妹の時間

「アルゴートさん、見かけによらずいい人そうだったね」

「…ん、エルフ……初めて…みた」

「母様の弟子って言ってたけど、あの母様が人に魔法教えられる事が意外だった」

「…意外な一面……?」

「一面というか、意外性の塊というか」

登っていた時は気が付かなかったけれど、この崖から見下ろせる町や海の景色はとても絶景だ。

水面が光り輝いて、白い街並みとの相性が良い。

森や街の景色ばかり見ていたからか、何度見ても小さな感動を覚える。

「ナツ、アルゴートさんが言ってた浜の洞窟って、たぶんあれのことだよ」

指を指したのは町の港から海沿いに伸びる一本の道。

その先には砂浜と崖が削れて出来た洞窟が見える。

「ニアを待たせないように、少しだけ見てこようか」

「…行く」

着く頃にはちょうど夕日も見れそうだ。

転ばないように気をつけながら、急な崖を下っていく。景色にばかりに目を向けていると危険。

忘れては行けないのは、ここが崖であるということ。

(……なんでこんな場所に家建てたんだろう)

絶景とはいえ、命の危機があるこの場所に、僕は疑問を抱かざるを得なかった。


「にぃ…!あれ…」

「屋台?わたあめだね。食べたいの?」

「んっ」

さすが港町。

最も賑わう海沿いに、それなりの数の屋台が並んでいた。

町が違うだけで、出店している屋台の種類もライードとは違って興味深い。

それでも甘いものに惹かれる辺りがナツらしくてほっこりする。

「おじさん、1つください」

「あいよ!」

甘い香りに誘われて、一瞬周囲の人たちの目がこちらに向けられる。

やはり人間、甘いものの魅惑には勝てないようだ。

「はいどうぞ!」

「ありがとうございます。はいナツ、食べていいよ」

「!!」

裾を掴んで後ろにいたナツの表情が露骨に明るくなる。

僕が分かりやすいと言うが、ナツもよっぽどだと思う。

美味しそうにわたあめを食べるナツを見て満足し、そのまま目的地である砂浜に向かって歩いて行く。

波の音が近くなり、固く舗装された足元も柔らかい砂へと変わる。街から少し離れると、本格的に波の音しか聞こえない。

「静かでいい所だね」

賑わっている街中を見るのも嫌いではないけれど、やはり静かで自然を感じる事ができる場所が落ち着く。

いつの間にかわたあめを食べ終わったナツも、その波音に耳を澄ませている。

………。

「ナツ、ゴミは?」

「…あそこ……捨てた」

慌てて来た道を振り返ると、砂浜の途中にゴミ箱が設置されていた。きちんと分別出来る形状の。

「海がこんなに綺麗なのは、街の人達の努力のおかげでもあるんだ」

ここからでも見える、巨大な貨物船。

荷物の出入りもあり、冒険者も多いのに海は美しいまま。街を、海を綺麗にしようと言うのは簡単でも、実際に行動するのは難しい。

それはこの世界の人間では無かった僕だからこそよく分かる。

人々の努力の形を見た気がする。

「あっ、見えてきたよ」

徐々に波音が大きくなってきたのは、洞窟が近づいてきたために反射した波の音が大きく聞こえていたのだ。

「……洞窟と言うより」

「…空…洞」

「だね」

そこは崖が水で削られて出来た、巨大な空間だった。

上から見た時は奥が暗く洞窟のように見えたが、日が傾いて空洞内に光が差し込み分かるようになっていた。

「綺麗……」

「うん、滅多に見れない光景だよきっと」

あまりの美しさにただ黙って眺めるだけの時間が流れる。

しばらくして、僕たち二人以外の声によって現実へと引き戻された。

「おや、こんな場所に先客なんて珍しい……君たちは昼間の兄妹か」

現れたのは、昼間に場所を尋ねた一人のおじいさんだった。

どうも、深夜翔です。

アルゴートに進められ、広く美しい海へと来た兄妹。

予想通りの美しさに感動する二人でしたが、実はそんな海にも問題が……?

次回は海の実態が明らかに。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思っていただけたら感想や評価、ブックマーク登録をよろしくお願いします。Twitter(@Randy_sinyasho)もやっているので、そちらのフォローもしていただけると嬉しいです。

ではまた次回……さらば!

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