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街の小さなアイテム屋さん  作者: 深夜翔
第一章 : 街の小さなアイテム屋さん
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一瞬の死闘

「はぁ…はぁ……皆無事か?」

「は、はい……何とか」

「一旦の危機は……脱しましたかね……」

「だと良いがな」


 魔獣との長い戦いの末、大量の魔獣を退けることに成功した。


 数匹だと思っていた獣共は、後から仲間を続々と呼びつけて数百に渡る量を倒す結果になった。


 幸いなことに聖女様の回復魔法によって負傷者はゼロと言っても良いだろう。しかし回復魔法では癒せない体力の消耗を、この場にいる全員が感じている。


 魔獣や魔物の死体があちこちに転がっていた。その量と悲惨さが、この戦闘がどれだけ過酷なものであったかを物語っている。


「あれからどれくらいが経った?もう夜は明けたか」

「分からないです……」


 霧が濃く、先の様子も分からない。

 かろうじて空の光が強くなっている。夜は明けたと思いたい。


「助け……来ませんね」

「上手く行っていれば使い鳩が到着しているはずだ。現在こちらに向かっているか……あるいは」


 何らかの事故によって辿り着かなかったか…とは、口に出して言えなかった。その事実を口にしてしまえば、戦意の喪失は免れない。


 この状況において、それが最も起きてはいけない事態でもある。


 最後の最後まで、護衛対象を見捨てることは許されない。騎士として当然の務めだ。


「今はここで体力を温存する他ない。食料もない、水もないとなれば少しでも長く耐えられる道を探すしか…」


 言いかけた途端のことだった。


 バタッ………


 一人の騎士が限界を迎えて倒れてしまった。この中では一番の新人。


「大丈夫かっ!」

「生きては…いますね。疲労だと思います」

「良かった。なるべくこの近くで寝かせておけ」


 そうは言ったが、既に皆が満身創痍。

 それに加えて戦力の減少。


(悪い事は、重なるものだな)


ぐrrrrrrぁぁぁぁッッッ!!!


 狼の遠吠えのような、空気を震わせる重たい叫び声。濃い霧の中、少しずつその何かが近づいてきた。


「狂人狼……。さっきの魔獣の群れはお前が原因か」


 妙に統率の取れた動きだと感じてはいた。

 魔獣が数匹ずつ一定の間隔をあけて襲いに来るはずがない。霧の魔力の影響かと思ったが、そうではなかったのだ。


(今の私に勝てるのか?)


――狂人狼。

 それは人狼族の中でも、他種族との会話を拒絶し、戦闘を好む正しく狂人。対話どころか、その言葉すら忘れてひたすら生命を奪う獣。心を魔物に犯された、人狼族の変異種だとも言われている。


 厄介なのはその戦闘力の高さ。

 元々、人間よりも身体能力が遥かに高く、知能がある故に集団戦もできるのが人狼族だ。魔法が使えない欠点はあれど、近接戦闘で人間が叶う相手では無い。


 まして、狂人狼……。

 勝てない。


「だが退けない!!私には守るべきモノがある!」


 私は二足歩行する獣、その紅い目に剣先を定めて立ち塞がった。足はまだ動く。剣もまだ振れる。


「はぁっ!」


 先制した斬撃は、カツンと分厚く硬い毛皮に弾かれた。私の知っている毛皮とは全くの別物。


「ぐぁっぁぁ」


 弾かれた衝撃を使って後ろに飛び退く。


「何っ?!」


しかしその速度を上回る勢いで、私の懐へと爪を振るう。ぐしゃぁっと嫌な音が耳を伝う。


「……王国一の鎧がこうも簡単に」


 爪の攻撃を防いだ胸当は、たった一度でボロボロ。それでもこれがなければ今の攻撃で死んでいた。


「ぐrr………っ」


 一息付く暇もなく、人狼の連撃が襲いかかる。

 もはや一度の攻撃も当たるわけにはいかない。

 剣が折れることなく、かつ攻撃が当たらないよう剣を使って攻撃の威力を受け流す。


 どしゃぁっと、受け流す度に背後の地面が衝撃で抉れていく。受け流す場所を間違えれば倒れている部下たちに被害が出る。


(くっ……霧で気配が)


 敵が視界から消える度、敵の魔力に意識を集中して位置を探さねばならない。


 霧を上手く利用しているのは敵。

 長い戦いはこちらが不利だ。


(次で決めるっ)


 ふぅ………。


 気配の察知に全力を注ぎ、次の一撃に全てを込める。


(………来る)


 背後から敵の爪撃。


「サガルノ剣術。"新天眼鏡"」


 敵の攻撃を弾く一撃目。

 左側面からの二撃目。

 そして背後から左首筋を狙った三撃目。


「ぐrrr」


 全て受けられ……


「ゴハッ…」


防がれたのは()()()()()

 新天眼鏡は同じ動きをその刹那で鏡合わせに行う秘技。


 敵の右手首を切断した一撃目。

 右側面への二撃目。

 右首筋を貫いた三撃目。


「勝った………の…か」


 全力を出し切った私はその場に座り込んだ。


「もう……無理…だな」

「団長さん?!」


「す…まない……私はもう動けそうにない…」

「いえ、守っていただきありがとうございます。ゆっくり休んでください」


 聖女様の笑顔と共に意識が遠のく寸前。


「誰っ?!」

「…ツ。あっちの魔物は任せ……、やっぱり…こに……居た」


 聖女様の慌てた声とは別に、微かに見知った声が聞こえた気がした。

どうも、深夜翔です。

救出大作戦、次回で終わる見込みです。

つまり、この話は四話に繋がって引っ張る話です。

つまらないなと思った方、次回は兄妹が揃った強さを見せれると思いますので、是非次回も読みに来てください!


ここまで読みに来てくださってありがとうございます。

感想や評価、ブックマーク登録をしていただけると励みになります。

Twitter(@Randy_sinyasho)もやっているので、フォローもよろしくお願いします。

ではまた次回……さらば!

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