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始まりとアホの子

「俺はえらいんだ!」


 そういい森を走り回っているのはジョーカー・アスト、五歳、男爵家の三男です。

 ただでさえ権力の低い男爵家ですがアスト家は貧乏貴族でジャックは全く偉くありません、口減らしに勘当されないだけ親に感謝するべきです。何故そんなジャックが森を走っているかと言うと一時間前のことです。


 「おい! そこの料理人、もりにおいしいものがあるのは本当か? 答えろっ!」


 やる事も無く、メイド達の噂話を盗み聞きしていたジャック、森に美味しいきのこがなる時期になったと聞いてしまったのです。行動力だけはあるジャックはすぐに休憩中の料理人に聞き始めたのです。


「はっ、はい、ジャック様、この時期には美味しい美味しい食べ物達が森にあります」


 ジャックの剣幕に押され正直に答えてしまいました。そしてジャックは美味しい食べ物を集めて家族に褒めてもらおうと考えたのです。悪ガキの癖に家族思いです。そして訓練中の騎士に手伝ってもらおうと訓練場に行きました。


 「おい! 騎士ども!この俺を手伝え!」


 ジャックは騎士達に向かって叫びましたが、騎士達は訓練中だし、そもそも何をどう手伝えばいいのかも聞かされてないのでつまみ出されてしまいました。

 そしてジャックは一人で森へ食べ物を探しに行き、今に至ります。


 「くそっ、あの騎士どもめ! よくもオレを追い出したな!」


 ジャックは絶賛逆ギレ中、集中力を欠いた状態で木の葉に隠れるきのこを見つけることができるはずがありません。何も見つからずに夕方になってしまいました。その時、川の近くから何か声が聞こえた気がしました。


 「おいっ!川の近くに誰かいるなっ、動くなっ!」


 今までのアホさ加減を見ていると信じられないけれどもジャックは剣と魔法だけで成り上がったアスト家の一員です、無意識に魔力で身体能力が常人の三倍程度になっています。


 「た……助けて……」


 警戒状態のジャックのが見たものは満身創痍の男でした。


 「何者だっ、貴様!」


 「お……俺は、金堂蓮こんどうれんだ……」


 ジャックの基準として名前を知っているものは安全と言うものがあります。何故なら真名を知っていると相手の行動を制限する呪いをかけることができるからです。ちなみにジャックはその魔法を使えません。母親が使えるから使える気になっているだけです。


 「コンドウレン、変わった名だな、とりあえずついてこい」


 ジャックは馬鹿なので相手が歩けるような状態ではない事に気が付いていません、早く気付いて欲しいです。


 「ちょっと待て!今俺は歩けるような状態では無いんだ、ここで待ってるから誰か大人を呼んできてくれ」


 「分かった、歩けないなら俺が担ごう!」


 このまま金堂は抵抗する間も無くアスト邸に連れて行かれましたとさ。

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