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プロローグ

ハンガリー好きな作者による趣味小説。

地の文が多い感じでまったりと第二次世界大戦終結まで描きたいと思います。

 カルパチア山脈の麓のハンガリー平原と呼ばれる平野部に、ハンガリーという国がある。中央には雄大なドナウ川が流れ、これによって国土が二分されている。

 また、各地で温泉が湧き出るハンガリーは、ヨーロッパ有数の温泉大国として知られている。


 近隣各国との関係は、ルーマニアとトランシルヴァニアを巡る問題を抱えてはいるものの、ポーランド、チェコ、スロバキアとヴィシェグラードグループを設立するなど悪くはない。

 また、2004年にはEUに加盟するなど経済面でも順調な成長を見せている。


 そんなハンガリーの歴史は聖イシュトヴァーンの戴冠から始まり、カルパチア盆地を支配して聖イシュトヴァーンの王冠領を築いたところから始まり、オーストリア=ハンガリー二重帝国の元、盛況を極め中欧の覇者としての地位を築き上げたのである。


 だが、第一次世界大戦敗戦後、ハプスブルク君主国は崩壊し、ハンガリーはトリアノン条約で国土が三分の一に減少し、現在の国土を残すのみとなった。


 その領土を回復するべくハプスブルク家を再び王に迎え、聖イシュトヴァーンの王冠領を回復しようとしたものの、敗戦国のハンガリーは常に戦勝国側である小協商の顔色を常に伺う必要があり、ついぞハプスブルク家を王に迎える事は出来ず、名ばかりの王国にしかなれなかった。


 それでも領土を奪還しようとした為に右翼化し、ナチスと共に第二次世界大戦に突入し、再び敗戦の後にソ連に占領され共産化されてしまったのだ。


 というハンガリーに関するパンフレットを、ハンガリー行きのA330に乗りながら見ていた。


 もし、何かが違っていたら、ハプスブルク家を再び王に迎えて、ドナウの覇者として歩む未来もあり得たのだろうか?

 そんな事を考えながら、身体を休めるために眠りについた。


 そして、気づいたら電車の中だった。いや、違う。私は最初からこの電車に乗って会談に向かう途中だった。しかし、今のは夢なのか?くそっ!頭が混乱する。


「どうしたゲンベシュ?頭でも痛むのか?」


 隣に座っているホルティ・ミクローシュが、混乱している私を気遣う。そのおかげで、未だ混乱はしていたが、私が何者で今何をしなくてはならないかを思い出した。


 私の名前はゲンベシュ・ジュラ。隣に座っているこの国の摂政のホルティと共に、ハンガリー王復位を試み、西ハンガリーに越境してきたハプスブルク家のカール1世の対処に行く途中だ。


 軍の有力者であるレハール・アンタルとオステンブルク=モラヴェク・ジュラらの王政派が独断で軍を動かし、既に彼らはブタペスト近郊のケレンフェルド駅に差し掛かってるという。

 こちらも軍を動員してケレンフェルドでカール軍を抑え、ヘゲドゥシュ・パール将軍が我々との仲介を買ってくれたおかげで、会談の場が持たれた。


「全く、それでもお前の方がまだマシだぞ?俺の身にもなってみろ。ただの一介の軍人だったのに今やこの王なき王国の摂政をやらされてる」


 全く困ったもんだよとホルティは言った。

 既にチェコスロバキアがハンガリーに向けて軍を動員したと言う情報が入ってきてる

 3月にも同じ様な事があったばかりだ。そもそも、我々の祖国はまだ成立したばかりで、疲弊しきっているのだ。この状態でハプスブルク家の復活を嫌う周辺諸国を対処する余裕などない。


 そう言ったのだが、どうやら聞き入れて貰えなかったらしい。ユーゴスラビアもルーマニアも公式声明で復帰拒否を行っているし、復位は直ちに開戦理由になると言っている。


 この会談で上手く対処する必要があった。


 だが、先程の夢を思い出す。このまま行けば我が祖国は王なき王国のまま三流国家として動乱に巻き込まれるのだろうか?

 ハプスブルク家に色々と思うところもあるが、それでもオーストリア=ハンガリー二重帝国を形成していた時、たしかに我々は強国であったし、国土も分裂はしていなかった。


 もし、ここで上手くやれば。もし、本当の意味で会談を上手く成功させれば。ハンガリーは再び聖イシュトヴァーンを戴くのであろうか?

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