プロローグ
20○○年4月、満開の桜が咲き誇り、小鳥達は新しい季節の到来にいつもより気持ち良さそうに空を飛び回っている。
春が訪れたことを人間だけではなく他の生き物達も心から歓迎しているように感じられる。
僕、折原涼二も心が浮き足立っているのか普段より早く登校している。
新学期になり僕は高校2年生になった。クラスが変わり今まで関わりのなかった同級生と新しい関係を築きあげる。
新学期が始まって一週間程だがクラス内のグループもおおよそ固まってきている。
そんな中、僕は今日も一人教室の隅っこで過ごしていた。
何故誰も僕をグループに入れてくれないのであろうか。
その理由が分かったのは入学して半年が経った頃であった。
どうやら僕はみんなから変態と思われているらしい。
しかし、変態というだけでこうも避けられるわけがない。
その理由が分かるのにもう半年かかった。
どうやら僕はみんなから度しがたい変態と思われているらしい。
確かに、中学生の頃は同じクラスの女の子のりっちゃんのパンツを剥ぎ取りそれを被って授業を受けたり、隣のクラスのみーちゃんの部活帰りを狙って襲い制服(下着も)剥ぎ取ったこともある(冬だったので寒くないように僕の制服を渡した)。
何度か警察に追われたがその都度凪ぎ払い、僕に敵対したと見なしてそいつらには手錠をかけ川に叩き落とした。
そのうち発砲してくるようになったので護身用にフライパンを持ち歩き、発砲してきたらフライパンで跳ね返していた。
たまに女性警官も発砲してきたのでそのときは気絶させて個室便所に連れ込み、目が覚めたらパンツを丁重に頂いた。
意識がない相手のパンツを手に入れるだけでは味気ない。パンツを奪われるときの女性のあの恥じらう顔を見てこそ達成感がある。
そんなことをしているうちに警察でも触れるな危険として扱われ、周囲の人々にもその事が知れ渡るようになった。
確かに中学生の頃の僕であれば周りから変態であると思われても仕方がないことをしていたのかもしれない。
しかし、県外の高校に入学し、中学の頃のように自分の欲望に素直になりすぎるということもないのに何故かみんなから避けられる。
入学当初は男女問わず多くの人が僕の周りに集まってきた。僕は自分で言うのもあれだがイケメンで高身長、しかも首席で合格だ。
男子からは憧れ、女子からは熱い視線を独り占めしていた。だけど、ある時を境にそんな視線がなくなり、代わりに誰も目を合わせず僕が少しでも近づくと全力ダッシュで逃げるようになった。
何故だろうか。
部活勧誘をしていた女子テニス部の部員全員のユニフォームを剥ぎ取ったり、たまたま飛んできたボールを月まで蹴り飛ばしたり、屋上にいく際に階段上るのが面倒だったため壁を歩いて行ったりしただけだ。
このようにクラスメイト所か学校中から避けられるようなことは何1つしていない。
まあ、友達が欲しいとも思わないからどうでもいいんだけどね。
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放課後、部活動をしていない僕はすぐに帰宅した。家にたどり着いたら自分の部屋に入りすぐさま鍵を閉める。
鞄をベッドに放り投げ集中するために灯りを落としカーテンを閉める。
数年前手に入れた警官♀の制服を着てコレクションのパンツをベッドに並べる。
オナニーを開始した。
興奮度を高めるためにパンツを一枚被る。
まだだ……まだ足りない。
僕はさらにパンツを被る。
しごく手が一段階加速する。
(今日はいつもより飛ばせそうだ……)
さらにパンツを被る。
僕は感じた。僕はまだまだ己を高めることができると。
パンツの枚数をさらに重ねる。
オナニーを開始して一時間、暴発しそうになる自分を抑え込み目にも止まらぬ早さでしごき続ける。
しかし、右手にも限界が訪れようとしていた。
(まだだ、ここで自分に負けるわけにはいかない……)
僕はパンツを更に重ねることで己を鼓舞し、解き放ちたい衝動をなんとか抑え込む。
そうすること二時間、遂に僕は最長我慢記録を更新した。
(よくもってくれた俺の右手、あと少しだけ頑張ってくれ)
俺はラストスパートをかける。ブーストをかけるためパンツを被る。僕のコレクションもこれが最後の一枚だ。
逝くぞ!限界を越えて解き放て!
それは量、質ともに過去最高であったことは言うまでもないだろう。
部屋一面白濁の海、息子は発熱し右手は火傷で大きく爛れていた。
限界を越えてさすがの僕も指一本動かすことができなかった。
しかし、今まで感じたことがないほどの強烈な解放感が僕を包んでいた。
もうしばらくは余韻に浸っていたい、そう思っていたがここで異常事態に気づく。
(息が……できない……)
パンツを重ねすぎた反動により僕の鼻、口は完全に塞がれてしまっていた。
腕も上がらない。
段々と意識が遠退いていく中、僕は思った。
こんな死に方も悪くはないと。
己の本能に従い生きてきた。僕が死ぬであろう原因もそれだ。
永くはない人生ではあったが毎日が充実していた。
しかし、心残りがないとは決して言い切れなかった。
次、もし生まれ変われるとするならば……
普通の青春も送ってみたかったな……
友人達とバカ騒ぎをしたり、恋人とイチャイチャしたり……
そんな普通の生活をしてみたかったな……
そんな思いの中、僕の肉体は活動することを止めた。
僕は死んだ。
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目が覚めると見慣れない天井が目に入った。
僕は死んだんじゃなかったのか……
周囲を見渡す。
ここはどこだ、病院……にしては清潔感がない。
清潔感がないとはいっても普通に暮らす分には何の問題もない程度に片付いている。
しかし、家の造り、内装を見てもとても現代の日本であるとは思えなかった。
誰かいないか探しにいこうと体を起こそうとするが
(何だ……起き上がることができない……)
それどころか力も入らない。
どういうことだ。
僕は己の手を見て驚愕する。
(赤ん坊の手だと……)
僕が転生したと気づくのに長い時間はかからなかった。