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スキルマ剣姫と歩くトラットリア  作者: 宮地拓海


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32話 酒と噂と焼き鳥と、チラ見え -1-

「焼き鳥、んまーい!」


 キッカさんが大絶賛。

 お塩でさっぱりいただく鶏ももと長ネギの焼き鳥――ねぎま(塩)! 好評発売中です!


 ……と、宣伝文句でも差し込みたくなるようないい笑顔だ。

 リンゴのお酒、シードルが進んでいる。


 セナちゃんが無事に帰ってきて、ドイルさんご夫婦は何度も何度もお礼を言ってくれた。

 セナちゃんはブギーマントが怖かったのか、ずっと震えが止まらなかった様子だった。けれど、ご両親と一緒にいれば、そのうち落ち着くだろう。

 少しだけ、時間が必要なだけだ。


 あれから少しだけ料理を食べてドイルさん一家は帰って行った。

 祖父たちの待つダルボの町へ向かうのだそうだ。到着が遅れて心配をかけているだろうからと、少し急ぎ気味に出て行った。

 今度こそ、無事に着くといいなと思う。


 で、お客様がお帰りになったので、ボクたちだけで盛大に祝勝会を行っているというわけだ。


「軟骨の唐揚げも、こりこりしてて超美味しいよぉ」


 酔いが回っているのか、美味しいものにとろけているのか、キッカさんの表情筋がふにゃんふにゃんになっている。

 とても頑張った二人には、ボクからプレゼントを贈呈した。

 それがこの、鶏尽くしフルコース(居酒屋スタイル)だ。


「楽しんでますか?」

「サイコー!」


 焼き鳥の串を振り回し、上機嫌のキッカさん。いい飲みっぷりだ。


「冒険者たる者、冒険の後にはやっぱりお酒よね」

「まったくだ」


 と、言いながらブドウジュースをくぴくぴ飲んでいるアイナさん。

 それ、ノンアルコールです。


「ふぅ……少し飲み過ぎたかもしれない」


 ノンアルコールですけどもね。


「お腹がちゃぽんちゃぽんだ」


 あぁ、純粋に飲み過ぎてますね、質量的に。


「それで、どうだったんですか。クルメリアの森へ行ってみて」

「遠かった」

「あと、ちょっと臭かったよね、あそこ。まぁ、サルの縄張りだから仕方ないんだけどさ」


 おぉっと、戦闘の感想が出てこなかった。


「魔獣との戦いで苦戦とか、しませんでしたか?」

「え? 誰が?」

「いえ、すみません。愚問みたいですね」


 この二人にとっては楽勝の魔獣らしい。

 おかしい……聞いた情報によると、2メートルを超える大きな魔獣で、頭も回る厄介な相手だったはずなんですが……


「一応、巣の方まで見てきたのだが、他に捕まっている子供はいないようだった」

「じゃあ、セナちゃんが一番目だったんですね。……こう言うと、ドイルさんに怒られるかもしれませんが、よかったです。他の子が被害に遭っていなくて」

「うむ。セナがさらわれたから、わたしたちが助けに行けた。そして、ブギーマントを掃討出来た。『膀胱の怪我』というヤツだ」


 膀胱の怪我………………あ。


「たぶん、『怪我の功名』ですね」

「間違った上に逆になってんじゃん……よく分かったねタマちゃん」


 まぁ、……アイナさんのことですから、えぇ、多少は?


「さぁ、たくさん食べでくださいね。ドイルさんたち、あまり食べられませんでしたから」

「残すのはもったいない。いただこう」

「セナちゃんたちにお弁当作ったの?」

「はい。ローストチキンのサンドイッチを」

「うはっ、美味しそう! あたしもそれ食べたいかも」

「作りましょうか?」

「いいの!?」

「キッカさん、頑張りましたから」

「やったねっ!」


 キッカさん。食べてる時だけは飛び抜けて素直なんだよなぁ。

 ……目の前にご飯をぶら下げておけばいつも素直でいてくれるのだろうか?


「アイナさんは、何か食べたい物はありますか? 作りますよ」

「作る必要はない」


 そう言って、大皿に盛られたもも肉の唐揚げをフォークで刺す。


「わたしは、ももの唐揚げが好きだ」


 きゅんっ!


 アイナさんから『好きだ』をいただきました!

 それはもう、唐揚げを揚げたボクが『好き』ということにな……


「タマちゃん。唐揚げ『が』好きなんだからね?」


 ……らない、らしい。

 えぇ、分かってましたけどね。






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