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スキルマ剣姫と歩くトラットリア  作者: 宮地拓海


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106/217

31話 それぞれの戦い -1-


★★★★★★★★★★


 森の中に、幾筋もの光が差し込んでいる。

 光と影が無規則に連なり、視界を微かにくらませる。


「剣姫、平気?」

「元気、やる気」


 誰が韻を踏めって言ったのよ……


「ブギーマントは影に潜れる能力を持っているの」


 自身の体を影に変えたり、濃い影があればその中に潜ったりすることが出来る。

 だから、影が多い森の中はヤツらにとってお得意のフィールドというわけだ。


 剣姫が、木々の隙間から差し込む光の筋に入り、そしてその向こうの影へと足を踏み込んだ時――


「ギャシャァアアアア!」


 影の中から一頭のサルが飛び出してきた。

 2メートルを超える巨大な体躯に鋭い牙を持ち、真っ赤な顔をした魔獣。ブギーマントが長く鋭利な爪を振り上げて剣姫に襲いかかる。


「剣k……!」


 危ないと伝える前に、ブギーマントは一刀両断されていた。


「体を隠しても、気配を消さなければ意味はない。バレバレ」

「……さいで」


 心配するだけ無駄なようだ。

 倒れたブギーマントに指南しているつもりなのかもしれない先程のセリフも、あたしには「心配無用」と聞こえた。


 ブギーマントを知らないらしい剣姫だけど、やっぱりこの程度の魔獣なら余裕なのだろう。 なら、あたしはあたしで狩ってやりますかね。


 枯れ葉の積もる柔らかい土を蹴り、一気に加速する。

 太い幹の根元に出来た濃く黒い影。

 そこへ目掛けてナイフを突き立てる。


「必殺・影破り」

「ギシャァァアアアア……ッ!」


 影の中から巨大なサルが現れて事切れる。

 残念だったね。

 あたしら盗賊も、影を操るのは得意中の得意なのよ。


「ギシャシャァァアア!」


 けたたましい声に振り返ると、3メートル超えの大ブギーマントが剣姫に向かって樹齢百年ほどの大木を投げつけていた。


「……斬る」


 剣姫はそれをよけることなく、向かってくる大木に剣を突き立てる。

 冗談みたいにすっぱりと切れた大木。

 だが、剣が大木を斬っている間、剣姫は他のものに剣を向けられない。


 それが作戦だったかのように、剣姫の背後から六頭のブギーマントが襲いかかる。


「剣k……っ!」

「妖剣――曼珠沙華――っ!」


 まるで華が開くように三十六本の斬影が剣姫を取り囲む。

 刃の花弁が剣姫の周りに存在するあらゆるものを両断する。ただの一頭も逃げ切ることは出来ず、ブギーマントは倒れ伏した。


「だから……心配くらいさせなさいっての」


 剣姫に挑むブギーマントよりも何よりも、この中であたしが一番無駄な労力を割いている気がするわ。


「キッカ……行こう」

「はぁ……はいはい。どこまででも」


 光と影が交差する森の中を進む。

 その影の中に人間より巨大で狡猾な魔獣が潜んでいる……なのに、全然不安はない。

 前を行く剣姫の背中を眺めて、あたしはこんな場所にいながら、少しだけ笑った。







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