表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/31

エピローグ(後編)

今回で最終回です

――精霊石がいらないというのでしたら 無理にお渡しすることもないのですけど


「いや、あはは、なんでもないです」


里奈達はトーコにおじゃまなひとたちと言われムッと来たが、ここは下手に出るしかない


――じゃあ これが精霊石です 念じればここと人間界を自由に行き来することが出来ます


精霊石は直径2cmくらいの真っ白な宝石だった。


「これって誰かに見られたり失くしたら大変なことになるな。どうするかな」


――たくろうさん、だいじょうぶです 掌にのせて念じれば手の中に入っていきます

そしてまた念じれば出てきます 使う時だけ出してください


「へぇ、あっ、なるほど消えたな」


――この精霊界では人間界の12倍の速さで時間が進んでいます。

今ここにいる間はみなさんも12倍に加速している状態だと思ってください

ですからここで2時間いても人間界に戻ったら10分しか経っていないということです


――それと、精霊石は使う人の霊力を消費します。

たくろうさんとわたし達は膨大な霊力を保持していますから一日に何回でも行き来できます

でもあなた方はせいぜい2日か3日に一回行き来できる程度ですね  ふっ


奈々美はトーコが最後に鼻で笑ったのを聞き逃さなかった。


「ねえ、霊力を上げるにはどうしたらいいの」


――それはその人の資質ですからどうしようもないですね

まあ たくろうさんと10年も一緒に暮らせば上がるとは思いますけど


「ふーん、じゃあ、精霊と融合したらどうなるのかな」


奈々美は拓郎の周りに大勢の精霊がいると聞いていた。

よく目を凝らしてみるとうっすらと何かが見えてきた。

さらに見つめているとぼんやりと少女の姿が浮かんできた。


「ねえ、あなたは精霊なのね」


――そう わたしはあの森の精霊の1柱だけど 私が見えるの


「もちろん見えるよ、ねえ、私と融合してくれない」


――あなたと一緒になったら 光の精霊様と交わうことができるの


「うん、わたし達はまだ肉体を持ってるし、いくらでも気持ちよくなれるんだよ」


――気持ちいいの うん あなたが受け入れてくれるのなら一緒になりたい あなたは綺麗な魂を持ってる


「いいよ、受け入れるよ。でもどうすればいいの」


――じゃあ うけいれて


その瞬間奈々美は身体に大きな活力のようなものを感じ、森の中の四季折々の景色や知識が頭に入ってきた。


――ねえ 約束だよ あの光の精霊様と交わいたい そうしたらわたしは満足してあなたの中で眠りに付くから


「わかった。かならず約束は守るよ」


奈々美は身体からぼんやりと光を発していたが、その光が収束し奈々美の身体に吸い込まれていった。

奈々美はあきらかに雰囲気が変わった。落着いた柔らかいオーラを放っているようにみえる。

外見はさらに美しさを増し、聖母のようなまなざしに変わっている。


「奈々美っ、いったい何をしたんだ。なにか独り言を話していたようだが」


「先生、私も精霊と融合したんです」


「なにぃ」


「「「「「ええっ」」」」」


「小さな女の子の精霊で『あの森の精霊の1柱』だと言ってました」


――なんてことを ひとつ間違えば意識を精霊に乗っ取られたかもしれないのに


「でも、融合した精霊は約束してくれました。先生と交わりたいと。

そして交わることができれば自分は眠りに付くと言ってました」


「そうか、わかった、だが心配だからすぐにその精霊との約束を果たそう」


――たくろうさん まってください たくろうさんなら奈々美さんと融合した精霊を強制的に離脱させることもできます すぐにでも離脱させてください


「待ってよ、約束を守れば眠りに付くと言ってるんだよ。それに私の精霊力も上がったでしょう」


――うっ それはそうですが ですが 精霊がかならず約束を守るとは限りません


「精霊が約束を破るの、そんなことは無いと思うけど。精霊が約束を破ったら先生に頼めばいいんだし、

精霊が約束通り眠りに付いたら先生みたいに精霊の力を私の物に出来るのでしょう」


トーコが黙り込んだのを見て里奈や紀香も精霊を見つけようと目を凝らしている。

拓郎の周りにいる精霊達はほとんどが光の大精霊である拓郎との交わりを希望していた。

だが精霊達のなかには異形の物もいたし、約束を果たした後、眠りに付くとはなかなか約束してくれない。

里奈はフーコの勧めで花の精霊と融合することが出来た。

紀香も交渉が成立し、水の精霊と融合した。

他のメンバーは精霊を見ることが出来なかった。


「いつか必ず精霊と融合してみせるよ」


「頑張る」


と、諦めてはいない様子だ。


その様子を見たトーコとフーコは満足そうに微笑んだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「へーえ、本当に俺んちそのままだな。畳とか新しいけど、風呂も昔のままの子供のころ入っていた風呂だし、台所は土間でかまどもある。懐かしいなあ」


――ぼくたちがたくろうと10年以上暮らした家だよ、わすれるわけないよ


「うん、さっそく風呂に入りたいな。だけど薪が無いから無理か」


――火の精霊に頼めばすぐに入れるよ。トーコに水を張ってもらおう


トーコは3人くらい入れる大きな檜の風呂に一瞬で水を張ってしまう。

そして大きな風呂釜には火がはみ出るほど勢いよく燃えていて、すぐに適温になった。


「めちゃくちゃ、便利って言うか…すごいね」


「うん、初めて魔法とか見たよ」


「魔法っていうか精霊の能力なんだろうね」


と、里奈達は驚くやら感心するやらしていた。

拓郎は精霊たちに連れられて風呂に入っていた。


――ああ ひさしぶりです たくろうさん


――たくろう たくましくなった ねえ いっぱいしよ


それを覗いてみている純とリサと詩織は怒っていた。


「なにあれ、私たちの事を散々変態呼ばわりしてたくせに。自分達のほうがよほど変態じゃない」


「ねえ、あんな恥ずかしいカッコでするなんて」


里奈達は屋敷を探索していたが、ふとん部屋を見つけてそれぞれ部屋に布団を敷いて拓郎を待つことにした。

卓郎はトーコとフーコが十分に満足するまで頑張った。


――たくろう うれしかった まんぞくだよ

――たくろうさん すばらしかったです


「なんだか少しも疲れないし、衰えないんだがなんでだろう」


――ああ、それは この精霊界は霊気が満ちています

たくろうさんは その霊気を自然に吸収してしまいますから疲れないし元気いっぱいなんです

だからここにいれば精力は衰えることなんてありません


目を皿のようにして覗いていた純とリサと詩織は、それを聞いて服を脱ぎ捨て風呂場に突入していった。

純とリサと詩織を失神するまで満足させた拓郎は、里奈・奈々美・紀香を順番に抱いていった。

彼女達と融合した精霊達も十分に満足したようで、どうやら眠りに付いたようだ。

そして里奈・奈々美・紀香は低位の精霊にまで昇華した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



その後、囲炉裏を囲んで全員が集まっていた。

誰も服を着ていないからというのではない。

まったく寒くは無いのだが雰囲気作りである。


「じゃあ、これからどうすればいいのか考えよう」


全員、機嫌は最高潮のようだ。現金なものである。


――まず今後の皆さんの行動についてですが この精霊界に世間の人々の記憶から皆さんのことを消すことの出来る魔方陣があります


「ええーっ、そんな便利な魔方陣があるの」


――はい 以前から妖精や精霊が世間で事件を起こした時などに使われて来ました

ただし 今までは関係者だけで少人数にしか使用してきませんでした

皆さんは日本中の人に知られていますから 精霊力を大量に消費しないと不可能です

その精霊力が溜るまで人間界の時間で5年と試算されています

こちらの時間では60年ですね


「じゃあ、5年したら私達は誰にも知られない人間になるわけ」


――精霊力が溜り次第 魔方陣を起動しますからそうなります

それからはこの精霊界に棲んでください

ですがそれまでは出来るだけ目立たないようにしてください


「うん、もうCMには出ないし、もちろんテレビにも出ないようにする。

大学でおとなしく勉強してるよ」


――そうですね 出来るだけ人前にも出ないようにお願いします

たくろうさんもですよ


「わかった、俺も5年後には教師を辞めてここで暮らすようにしよう

だけどそれまでバスケ部の監督を辞める訳にはいかないなあ」


――そうですね これで大方の問題も解決しますし大丈夫でしょう


「でも先生とはここで毎日会えるんだよね」


「そうだな、毎晩11時になったらここに来るから、みんなも来てくれ」


「「「「「うん」」」」」


里奈達は満面の笑みだ。

だがこれから彼女達の機嫌は下降線を辿るようになる。



――次にたくろうさんに夢中な女性達のことですが


「ああ、優奈先生とか結衣達の事ね」


――はい 中沢優奈や進藤結衣 柊美沙など数人はすでに半妖精になっています


――たくろうが精霊力を注ぎ過ぎたんだ その所為で半分妖精になった


「あのマッサージでしょう」


「先生には何度も辞めるように言ったのに」


「だいたい、大胸筋が筋肉痛とかなるわけないのに。

先生はみんなの言うことを真に受けて、丹念におっぱいを揉んでたよね」


「そうそう、優奈先生が

『先っぽが凝り固まっているのです。摘んで揉んで解してください』

なんて言うから、全員のを摘んで揉んでたよね。

みんな感じてしまって、身体全体ですっごく悶えてたよ。

先生っ、ほんとは楽しんでたんじゃないですかっ」


「いや、そんなことは……ない」


――たくろうさんは楽しそうでした

――うん、たくろうはこころのなかではすごくうれしがってたみたいだ


「……」


「それに股関節が痛いってなにさ。そりゃそういう事もあるけど、お股を揉んでくれなんておかしいでしょ」


「ねえーっ、あんなに足を開いてさ。しかも下着姿だよ。

先生もあんなに丁寧に時間をかけていじらなくてもいいでしょ。

見てるこっちが恥ずかしくなるほど、すごい格好してみんなすごく悶えていたよね」


「おいおい、いじるってなんだよ。マッサージだってば」


――いいえ たくろうさんは部員達の割れ目の奥までいじっていました


「「「「「やっぱりねっ」」」」」


だんだん里奈達の顔が強張ってきた。

般若と言えばいいのだろうか。


――皆さんがバスケ部を引退してから 中沢優奈さんや部員のみなさんは部室では下着もつけずにたくろうさんにいじられています たくろうさんは胸とあそこは丁寧に時間をかけていじっていますし 身体の隅々までいじられるようになりました

だれも止める人がいなくなりましたから


「おいっ、トーコ、な、何を言うんだ。いじるって言うな、マッサージだよ」


「全員が全裸で……それって本当なの」


――本当のことです その所為で中沢優奈さんを含めて 半妖精8人も生まれてしまいました 

里奈さん達がバスケ部を引退してからバスケ部の風紀は酷く乱れてしまいました ですが部員のみなさんは大喜びで裸になっています 


――たくろうは女の子が悶えるのをこころではすごく楽しんでる。

このあいだは2年生部員に括約筋が痛いと言われてお尻の穴まで揉みほぐしていた そのときはお尻を突き上げるような格好をさせていじってた


「先生っ、お尻の穴までですか、私だってそんなにいじって貰ってないです」


「そういう問題じゃないでしょ。先生っ、もう絶対にやめてください」


「だがな、部員達がどうしてもって…俺は嫌なんだが…」


――たくろうさんはこれからも続けたいって思ってます 


――たくろうはすけべな気持ち


「トーコっ、フーコっ さっきから俺の心を読むなっ」


「もう先生がスケベなのは分かったけど、これからは絶対止めて下さい。

その分、私には何をしてもいいですから」


「先生の事は、これからはべーすけって呼ぼう」


「おい、なんだよベースケって」


「「ベースケは黙ってて」」


「・・・・」


「先生がすけべなのはもうしょうがないよ。それより魔方陣が起動すれば優奈先生達も私たちや先生のこと忘れるんでしょ。あっ、だけど5年先か」


――いいえ 魔方陣は人間だけにしか効果はありません

たとえ半分とはいえ妖精になってしまったら無理です

それに今いるバスケ部員のほとんどはたくろうさんに心から依存しています

あのマッサージという身体を弄り回すことをたくろうさんに止めさせる筈がありません

部員達は心の底からあのマッサージを望んでいるのです

もう現在いるバスケ部員全員が妖精になるのを止めるすべは無いとおもっていいでしょう

いえ これから入ってくる新入部員も妖精になっていくと思われます


「「「ええーっ」」」


「「「…………」」」


――でもそれも仕方の無いことなのです たくろうさんは光の大精霊です

本能で精霊を増やすように行動してしまうのです

たくろうさんの魂に惹かれて集まる女性は精霊になる素質を持った魂を持つ人ばかりです

ですから精霊界のことを考えればたくろうさんのしていることは正しいのです

この数百年で人間はずいぶん変わりました

邪悪な魂を持つ人間が増えてこの世界の魔族も増え続けています

その魂を浄化して輪廻の輪に戻すのが精霊の役目です

ですが高位の精霊の数が足りないのです

ですから精霊界でもあなた方には大いに期待しているのです


「そうなんだ、でも魔族って本当にいるの」


――はい 残念ですが増え続けています

この世界はわたし達の棲む精霊界と獣人やエルフなどが住む妖精界 それと魔族が住む魔界の三国に別れています 以前は魔族は少数派だったのですが、いまでは盛り返してきています


「このまま魔族が増え続けたらどうなるの」


――人間界に大きな災いが降りかかるでしょう

ですから高位精霊を増やして魔族を浄化しなければなりません

一柱の高位精霊は1年で魔族を1万体は浄化できますから 二百柱くらいいれば世界は安定します


「じゃあ、先生がしていることは精霊界というか人類のためなの」


――そうですね たくろうさんがすけべと言う事もあるでしょうけど そうなりますね


「ほーらな、俺のしてることは正しいんだ」


「「「「ベースケは黙っててっ!」」」」


「・・・・」


「じゃあ、仕方が無い。先生にはそのまま続けてもらおう。あっそう言えば勉強会はどうなった」


「ああ、あれから申し込みが殺到してな。仕方が無いからバスケ部の3年生部員7名を勉強会に入れた」


「先生、まさか手を出してないですよね」


「……もちろんだ」


「すぐに否定しなかったよね」


「どうなのトーコさん」


「なんでトーコに聞くんだよ」


「「「「「「ベースケは黙っててっ!」」」」」」


「…おい…」


――そうですね 今はまだですがマンションで全裸マッサージはしています もうすぐだと思われます

それに彼女達はもうたくろうさんに抱かれなければ暴走してしまうでしょう

狂った妖精は消滅させなければなりません そうなる前にたくろうさんが抱いてあげるしかありません

中沢優奈さんは すでにたくろうさんのマンションに入り浸っていますし


「そうして妖精になった女の子はここに住むの」


――もちろんそうなります そして肉体から解脱して霊体になり高位精霊にまで昇華するよう修行を積むことになります あなた方もですよ


「それで霊体になるとどうなるの」


――感覚的には肉体があったときと変わりません 精霊力が皮をかぶった状態とおもってください

ですが身体能力は人間の数百倍・数千倍になります

魔族など瞬時に浄化できるようになります


「ねえ、修行って先生に抱かれ続けるって事かな」


――そうです たくろうさんのお役目は精霊達を高位にまで昇華させることが重要なのです

たくろうさんの精力はここでは無限ですから 何も問題ありません


「そんな修行なら大歓迎だよ。最高に楽しい修行だね。すぐにでもここに住みたいよ」


里奈達は大喜びである。拓郎は大変だがべーすけだから良いのだろうか。


――そうですね ですが私たちを含めて大勢の修行中の精霊がいますから 競争になります

たくろうさんの寵愛を求めての闘いが続きます 毎日が戦いですよ

そろそろこの家も拡張しなければなりませんね

最低でも300人は住めるようにね



終わり

なんだかくだらない終わり方になってしまいました。

今まで読んでくれた方に最大の感謝を。

では、またお会いしましょう。





最後に卓郎から一言


「ベースケってなんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ