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第20話

「山口先生、藤井たちがバスケ部を辞めたのは、先生に追い出されたからなんですか」


「えっ、いや、その…それは…」


亜里沙はなんの言い訳もできなかった。

動揺していてまったく頭が回らないし、拓郎の怒りを含んだ目を見て何も言えない。


「對馬先生、その時の事も私達が説明します」


「6月の対抗戦のメンバー発表の時なんですが、やっぱり山咲さん達4人は選ばれませんでした。

その時、今回の試合でオフィシャルズを務めてくれた前キャプテンの沢井先輩が山口先生に言ってくれたんです。『山咲達も2年生になったんだから、試合に出してあげてください』と。

そしたら山口先生は『私は才能も実力も無い者を試合に使うつもりは無い。彼女たちは雑用係がお似合いなんだけど、1年生部員もいるからもう必要ないわね。そうね山咲、藤井、篠崎、相沢、あなた達はもうこのバスケ部には必要のない人間だから部を辞めなさい。あなた達の期末試験の成績を見たけど、学年で最下位の方じゃないの。バスケもダメ、勉強もダメじゃなんの取柄も無いじゃない。せめて勉強くらいは人並みくらいにはなりなさいよ。いいわね、今日限りで退部届を出しなさい』って全員がいる前で言ったんです」


「なんだって、それは本当か」


「はい、さらに山口先生は『何をやってもダメな人は駄目だと思うけどね』とも言っていました。

菜々美、いや山咲さん達はロッカ-ルームで泣いていました。

私達は声もかけられず一緒に泣くくらいしか出来ませんでしたけど」


「そうよね、あの時は悔しくてリサと一緒に大泣きしちゃったわ」


「紀香達がかわいそうで、部員はみんな泣いてたよね」


「でも山咲さん達はこの間の実力テストで学年の上位の成績を収めました。

それに今日の試合で對馬先生に次ぐ得点を挙げたのは彼女たち4人です。

彼女たちが試合に出たのは今回が初めてだったにもかかわらずですよ」


「それに1年の時の期末テストの時、菜々美達は山口先生のせいで風邪を引かされて体調が悪い中、テスト受けるためために登校してきたんだよね。

あの体調でしかもあの精神状態でいい成績を収められるわけ無いよ」


「菜々美達が才能が無いって決めつけた山口先生の見る目が無かったんだね。

本当は山口先生こそ才能がまったく無いんじゃない。ねえ、そう思うよね」


「あんたのせいで菜々美達が棒に振った一年間を返しなさいよ。山口先生」


と言うようにバスケ部員たちが亜里沙を攻め立てている中、拓郎は怒りで震えていた。

なんてことだ、菜々美達はそんな目にあわされていたのかと。


とその時一人の男性体育教師が亜里沙の前に来て言った。


「山口先生、あなたが女性で良かった。もしあなたが男だったら思いっきり殴りつけてるところだ」


「俺も同じ気持ちです。山口先生、俺はあなたを心から軽蔑します」


と、拓郎が言うと亜里沙は泣き崩れた。

5年間も想い続け現在でも恋する初恋の相手に心から軽蔑しますと言われてしまったのだ。

あまりの絶望感に挫折に対して抵抗力の無い亜里沙はこの時、自殺を考えはじめた。


生徒会の岩清水も問題視していた。


「山口先生の発言も大問題ですよ。教師が生徒に言ってはいけないことを言ったんです。

僕達は生徒総会を開催し、山口先生の言った事やいじめの問題を生徒全員に知らしめ協議します。

その際は山口先生にも出席してもらい質問させていただきます。

生徒会としても以前から山口先生のパワハラじみた言行の噂は聞いていました。

今回の事は氷山の一角かもしれません。

ほかにも問題が無かったかを精査したいと思います。

そして結果次第では生徒会として学園に対し厳重な抗議を行いたいと思います」


中沢優奈が教頭に


「教頭先生、ここまで大勢の教師や生徒にこの問題が知られてしまった以上、学園としても都の教育委員会に報告しないわけにはいかないでしょう。それに山咲さんのお母様はこの学園の理事ですし、相沢さんのお父様は司法書士事務所を経営していると聞いています。彼女たちが父兄にこの話をしていなかったとしても、これだけ話が広まれば理事である山咲さんのお母様には知られてしまうでしょう。そうなったら学園が訴えられるかもしれません。それこそ大変なことになりますよ。証人もたくさんいることですし」


それを聞いた亜里沙はそれこそ血の気が引いた。

部員たちが証人としている以上、言い逃れは出来ないかもしれない。

亜里沙は部員たちの父兄の事など何も調べていなかった。

もし判っていたらあのような事はしなかったかもしれない。

今更自分の迂闊さを呪ってもやってしまったことは仕方がない。



青木智子も


「ここにいるだけでも全生徒の半数近くになります。すぐに学園全体に広まるでしょう。

その生徒たちの中で一人でも、この問題をマスコミにリークしたりインターネットで広めたりしたら最悪な事態になります。早急に都の教育委員会に報告するべきです」


他の教師たちも騒ぎ出す。


「十分にあり得る事態です。

今の高校生はインターネットに詳しく、誰でもそのくらいのことは出来ます。

今現在でもこの場面を携帯で録画している生徒が多くいるみたいですよ。

動画を添付して新聞社やテレビ局にリークされたり、YouT○beなどの動画投稿サイトに投稿でもされたらとんでもないことになります」


「そうですね、山口先生は男子生徒からは人気がありましたが、女生徒達には嫌われているようです。

それに山口先生に振られて恨んでいる男子生徒も多少いると聞いています。誰かがやるかもしれません」


亜里沙はそれを聞くと、もう死ぬしかないと思い始めた。

試合終了後の有頂天になっていた気分から、今は地獄の釜の中に突き落とされたような気分だ。


教頭は事態を重く見て、生徒に携帯で撮影するのを辞めるように指示し、さらに動画を撮った者はそれを削除するように指示した。

だがおそらく効果は無いものと思われた。全員の携帯を調べるわけにもいかない。



「すぐに緊急職員会議を開きます。職員はすぐに会議室に集まってください。

それから女子バスケ部と山咲さん達4人も会議室に来てください。

引退した3年生の元女子バスケ部の方も生徒会役員も来てください。

今回は校長先生にも出席していただきます」


コートにジャージ姿でうずくまる亜里沙も教頭に促され体育館を出て行った。

体育館に残った生徒は生徒会に頼まれ、後かたずけを手伝うものも多かった。

そして勝手な噂話をしている。


「やべえ、山口先生、学園を辞めさせられるかもしれねえ」


「いやあ、自分から辞めるだろ、こんなに大勢の前で恥かかされて、完全に吊るし上げだし」


「これからも職員会議で吊るし上げか。女ってのは吊るし上げが大好きみたいだな。

中沢先生とか青木先生までバスケ部員と一緒になって山口先生を吊るし上げてたもんな」


「まあ、山口先生は女性陣に相当嫌われてたしな。あの相手を見下す視線とか態度が気に入らなかったんだろう。俺たちは逆にそれが良かったりするんだけど」


「だけど、まさか山口先生があんなひでえ事するなんて、信じらんねえ」


「いや、結構山口先生のパワハラの噂は聞いてたぜ。特に女生徒には酷かったみたいだ」


「とにかく辞めるにしろ、残るにしろ山口先生の立場はかなり悪くなるはずだよ。

おい、逆にチャンスかもな、こういう時優しくされると女は弱いからな」


「そ、そうかな、告白するチャンスかな」


「お前じゃ無理だと思うけどな、ただ對馬先生は相当怒っていたぞ。

あんな對馬先生は見たことない。かなり怖かったよな。山口先生の事を親の仇みたいな目で見てた。

間違いなく對馬先生と、山口先生は破局だな」


「最初から對馬先生は山口先生の事を何とも思ってなかったんじゃないか。

相沢さんがそう言ってたよ」




職員会議の会議室では亜里沙に対して集中攻撃が行われていた。

紀香達の事だけじゃなく、亜里沙の部員に対する暴言や尊厳を傷つけるような発言も証言された。

また亜里沙の自分勝手な行動や、相手の都合さえも無視する行動も暴露されていた。

亜里沙はその都度事情を聴かれたが、すべての言い訳には矛盾があり、それも追及され攻撃された。

こうした状況では追及する側は、相手が言い訳をすればするほど興奮して過激になっていくものである。

女性陣は普段の亜里沙に対する鬱憤を晴らすが如く強い口調で亜里沙を攻め立てた。

亜里沙の人間性をも否定する発言も出てきたことから、さすがに校長も教頭も話題を変えた。


「それで被害者である山咲さんや藤井さん達はこれからどうしたいと考えているのですか」


これは都の教育委員会に提出する報告書を書く上で、被害者の意見を取り入れるために質問したのである。


「はい、それはこれから学園が山口先生の事をどのようにするのか、そして山口先生の行動を見て決めたいと思います」


菜々美は堂々と答えた。

すると亜里沙が立ち上がった。


「私がこの学園を辞めればいいんでしょう。辞めてやるわよ。これで気が済んだ?」


と亜里沙が目に憎しみを込めて菜々美や部員たちに叫んだ。

バスケ部員たちは大喜びで手を取り合い笑顔になった。

だが菜々美達はそうでは無かった。


「それなら私達は親に集まって貰って、山口先生とこの学園を訴えたいと思います」


と冷静に菜々美が言うと、部員たちも叫んだ。


「そうよ、私達だって山口先生のやった事を世間に訴えていく手段は持ってるもの。

マスコミの取材にも事実を伝えてやるわ」


亜里沙は悔しそうに部員たちを睨むみながら怒鳴った。


「好きにすればいいじゃない、やってみなさいよ」


亜里沙は激高しており全く冷静な判断が出来なかった。

今まで散々責められ拓郎の前で恥をかかされ続けた亜里沙はもう、どうにでもなれと自棄になっていた。


だが教頭は以前から部員たちの訴えを聞いており、それに対して学園は何の対策も取ってこなかったことを校長に告げた。

校長は立ち上がって話し出す。


「お話はよく分かりました。山咲さん、藤井さん、相沢さん、篠崎さんそれにバスケ部員の皆さん、学園を代表して謝りたいと思います。長い間辛い思いをさせてしまった。本当に申し訳ない気持でいっぱいです」


と深々と頭をさげた。

それを見た教頭も


「みなさん、皆さんの訴えを聞いていながら何の対策もとれなかった私達を許してください。

本当に申し訳なかった」


と頭を下げた。

拓郎と亜里沙以外の教師が立ち上がり菜々美達に向かって頭を下げていた。

亜里沙は立ち上がったまま呆然とそれを見ている。


「確かに山口先生は酷い人でした。今でも恨む気持ちは変わっていません。

ですが私達は對馬先生に会う事が出来ました。

先生に勉強会を開いてもらって成績も上がり、バスケも先生に教えてもらって上達しました。

山口先生に代わって對馬先生がバスケ部の監督になってくれたら私達もバスケ部に戻って、またバスケをやりたいと思います。たぶん和葉達も戻ってくれると思いますし、これからは充実した学園生活になると思います。先生方も謝ってくれました。もう学園は恨んではいません」


と紀香が言うと部員たちから拍手が沸いた。

教員達も拍手をしている。


「山口先生は許すことは出来ません。ですが学園に対しては私達も恨む気持ちはもうありません。

山口先生には相応の処分が下されると思いますので、今、私たちが望むことは對馬先生がバスケ部の監督になってくれることだけです」


と里奈も言っていた。


「わかりました。それではこれからは学園で山口先生について協議します。

生徒の皆さんはここでお帰りください。皆さんありがとう。

きっと皆さんの望むように、そして納得できるようしたいと思います。

都の教育委員会に報告するのはもちろんの事、警察にも相談しようと思っています」


と、話した校長の言葉には全員が驚いた。

亜里沙はまさかといった顔で立ちすくんでいる。


「け、警察にも話すのですか」


と教頭が言うと校長は強い口調で言った。


「当たり前です。真冬のみぞれが降る寒い雨の日に校庭を走らせたんですよ。

風邪で三日間も休むような事をさせたんです。肺炎にならなかったのは本当に良かった。

だが、可愛い生徒達にそんなことをさせたのは許せません」


校長は呆然と立っている亜里沙を睨むと


「それに山口先生はあの子らに謝罪する気持ちは無いようだし、反省する気も無いようです。

私は断固たる気持ちで処置したいと思っています」


さらに校長は


「教育委員会に報告するのは明日になります。報告書の作成を事務局の方で作らなければなりません。

ですが警察にはこの会議が終わり次第、山口先生を連れて行こうと思っています」


がっくりと項垂れる亜里沙。


「さあ、皆さんもうお帰りなさい。山口先生の処分やその他の事は明日全体集会を行い報告します」


「對馬先生、今日の祝勝会はどうします」


「ああ、そうだったな。だけど会議が長引くかもしれん。別の日にしよう」


「そうですね。新しく生まれ変わったバスケ部の発足会にしましょう」


里奈をはじめ部員たちは本当にうれしそうだ。

亜里沙は絶望的な表情をしている。

まさに対照的だった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




拓郎がマンションに帰って来たのは夕方の7時を過ぎていた。

マンションの前で紀香達が待っていた。


「先生おかえりー、遅かったね」


「ご飯食べて来なかったでしょ。

お母さんが五目ちらし寿司作ったから食べてくださいって持ってきたよ。

みんなで一緒に食べよう」


菜々美は大きな包みを持っていた。

そうやら3個の御重におかずと五目ちらし寿司が入っているようだ。


「そうか、いつもすまないな、お母さんに良くお礼を言ってくれ」


「うん、お母さんもいつも喜んで貰えて嬉しいって言ってたよ」


菜々美達はよく拓郎のために夕食を準備してくる。

どうやら交代でそれぞれの家の母親に頼んでいるようだ。

拓郎は彼女らを送っていくたびにきちんとお礼を言っている。


彼女らの母親は自分の娘が拓郎の勉強会に参加するようになってから、見違えたようによく笑い元気よく学校に通うようになったことに気付いて拓郎に感謝していた。

彼女たちも全部拓郎のおかげと話していたし、母親たちも拓郎の変身後は好感度が大幅にアップしていた。

それまでの菜々美や紀香は暗く沈んだ雰囲気で元気もなく、親として心配していたのだ。

だが今は、短期間のうちに年頃の娘らしくよく笑う明るい性格になっていた。

だからこそ、勉強会をしてくれる拓郎に食べてもらいたいと人数分の食事も用意するようになったのだ。

もちろん自分も娘たちの成績が考えられないくらい良くなったというのもある。


父親たちは自分の娘が明るい性格に代わったのは喜んでいたが、ここまで短期間に美しく自信に溢れた女に変わったのを不思議に思っていた。それが拓郎のおかげと聞いて訝しんでもいた。

だがまさか担任の拓郎と娘が男と女の関係になるとは夢にも思っていなかった。

いつも4人で拓郎の勉強会に参加していると聞いていたからに他ならない。


夕食を始めてすぐに職員会議の話題になった。


「それで亜里沙先生はどうなったの」


「ああ、学園を辞めると言い出したんだが、そうするとお前たちが訴えるって言ってただろ。

校長が辞めても責任の追及は終わりませんよって、それに訴えられたら警察も動きますよとも言ってたな。

随分と脅されて山口先生は考え直したみたいで、どうすればいいんですかって聞いていた」


「本当は訴える気なんて無いんだけど」


「まあな、俺はそう思ったけど、先生方は本気と受け取ったみたいで結構心配してたぞ。

結局山口先生は辞めないで学園に残ることになった」


「ふーん、それは残念、それで、どうなったの」


「ああ、山口先生はクラス担任と部活の顧問を辞めさせられて、お前たちが許すまでバスケ部の部活が終わった後、コートの清掃とボール磨きを毎日やることになった。要はお前たちがやらされていたことを山口先生がやるわけさ。お前たちが許すまでな。ああ、それと明日全体集会で生徒全員に校長が話した後、山口先生がお前たちとバスケ部員、辞めさせられた元部員に謝ることになった」


「ふーん、あの人が心から私達に謝る訳ないと思うけど」


「それはどうかな、早く許してもらえるように頑張りますって言ってたぞ」


「先生は甘いなあ。あの人の性根は腐りきっているんだよ。私は絶対に許しません」


「そうか、それならお前たちが卒業するまで山口先生は雑用係だな」


「ふーんだ、それなら精々こき使ってやるわよ。きっとすぐに切れて学園を辞めていくと思うよ」


「いや、そうもいかないだろう。俺も校長と山口先生を連れて警察に行ったんだが、今回はお前たちから被害届が出て無いから処分保留になったんだ。だが被害届が出たら警察も動くと言っていた。そうなったらマスコミにも知れるし大変なことになる。おそらく教員免許も取り消されるだろう。山口先生は追い詰められているんだ。簡単には辞めないと思うぞ」


「それで先生はバスケ部の監督になったのよね」


「ああ、明日付けで俺は女子バスケ部の顧問になる。考古学部は古文の寺尾先生が顧問になった」


「まあ正直言って考古学部は廃部になると思うよ。あははは」


「そんなことはないさ、あれだけ入部希望者がいるんだから。

それに俺も週に一度考古学部で講義することになったんだから部員が少ないと寂しい」


「ええーっ、そうなんですか」


「ああ、青木先生も中沢先生も嫌がって、押し付け合いになってさ。

無理やり寺尾先生が顧問をやることになったんだけど、寺尾先生が顧問を引き受けるに当たって条件を出してきたんだよ。それが俺に週に一度だけ考古学部で講義するってことなんだ。仕方ないから引き受けた。

だから俺は考古学部の副顧問でもあるんだ。ただしバスケ部の活動に支障がない程度ってことでな」


「えっと、週に一度だけなの」


「いや、他に月に一回程度、部活動として日曜日に博物館や遺跡を見学に行くことになった。

俺はその時の案内って言うか説明をするため一緒に行くことになったんだ。

そしたらさ、急に青木先生も中沢先生もやる気になってさ。

今度は取り合いになったんだ。

流石に参ったよ。結局、寺尾先生に決まったけどな」


「……寺尾先生、喜んでたでしょう」


「ああ、大喜びだった。俺もうれしくなってさ、つい寺尾先生の手を握ちゃったよ」


「はぁ、先生、罪作りなことは今回限りにしてね。お願いだから」


「なんだそれ、まあとにかく俺はバスケ部の顧問になった。

お前たちも部に戻ってくれ」


「うん、明日にでも考古学部に退部届を出してバスケ部に入部するつもりだよ」


「おう、これからバスケ部で頑張っていこうな。俺も精一杯頑張るから。

お前たちがいれば結構いい線まで行けるかもな」


―――お前たちがいれば結構いい線まで行けるかもな

紀香達はこんなこと言ってもらったのは生まれて初めてだった。

それも先生が言ってくれたのだ。涙が出るほど嬉しかった。

たまにだけど、先生は私を泣かせるようなことを言ってくれる。

今度こそ真剣にバスケに取り組もう。先生のためにもがんばろう。

4人とも心に誓うのだった。


「先生有難う。まずは高校ウィンターカップに出たいね」


「そうだな、まあ、そういった事が部活の目的じゃないが、目標にするのは良い」


「ところで、里奈たちの事ですがどうするの」


「ああ、そうだな、とりあえず佐々木たちの親御さん達に勉強会の事を説明して許可を得ないとな。まずそこからだな」


拓郎は里奈たちをハーレムに入れることで、松濤学園女子バスケ部が全国制覇を成し遂げることになるとはこの時は夢にも思わなかった。



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