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溢れる光
旧校舎は、電気が通っていないかのように、真っ暗だった。
窓からあふれ出る星や月の明かりが、やっと歩くことを可能にしていた。
「ここ、怖いね」
沢泉が俺に言う。
俺を先頭にして、二人はすぐ後ろにひっついている。
息も体温も感じれるほどすぐ後ろだ。
俺らの足音だけが、何も音のしない空間で、不気味なほどはっきりと響いて聞こえてきている。
「あれ」
俺は、階段を上がってすぐのところにある音楽室の扉が光っているのを見た。
「この部屋だけ、光が出てる」
板井が俺が気付いたことに、すぐに言った。
「ここ、音楽室だよね」
沢泉も俺の後ろから顔をのぞかせて、音楽室の扉を見ながら言った。
「開けてみようか」
俺が二人に振り返って聞いてみる。
二人とも、うんと答えてくれる。
それを聞いてから、俺は音楽室の扉を一気に開けた。
何の抵抗もなく開けたその扉から、一瞬で光があふれてきた。




