呼び出し
俺は、親友であり幼馴染の沢泉鹿内と板井古の二人とともに、夕日迫る校舎の空き教室で、おまじないをしていた。
昔からこの学校に伝わっているといわれる都市伝説に、興味を持ったのだ。
やり方は単純で、ある言葉を適切な場所で唱えていくということだけだ。
すべての場所で言い終わると、神様が現れて、願い事を何でも1つ叶えてくれるそうだ。
しかし、それを一歩でも間違えたら、その場で死んでしまうというものらしい。
俺たちは、その一番最初の場所である、校舎最上階の一番東側にある教室にいた。
「じゃあ、いくよ。いいね」
俺は、手をつなぎ合っている二人に聞いた。
すでに覚悟は決めているらしい。
俺は二人の目を見てうなづいた。
「ここにいる神霊よ、私たちの声が聞こえたなら、どうか、私たちの願いを聞き届けたまえ。私たちは、そのために必要なことを、いくらでもおこないます」
言うと、風が俺たちを包み、そして一瞬真っ暗になった。
しかし、すぐに明るくなったが、なにか違っていた。
「教室の中、こんなに広かったっけ」
沢泉が俺に聞く。
たしかに、机やいすといった、いつも教室にあるものがなくなっていて、代わりに鉄でできた箱がひとつ、教室にでかでかと書かれた魔方陣の中心に置かれていた。
「紙が出てる」
底の方から、紙が1枚、俺たちに取ってほしそうに見ている。
「いこう」
緑色の光は自然に消えて、魔方陣は床に吸い込まれるように消えた。
それから俺が代表して箱を取り、そこから出ている紙を引っ張って取りだした。
「線に従え」
「なにそれ」
「それだけだよ、線に従えって。何のことか分かんないけど」
俺たちは、その紙を上から下から横から、どの方向を見ても、それだけしかかかれていなかった。
「教室から出ようか。ここにはヒントになるような物はないし」
俺はそう言って、二人と一緒に教室から出た。
廊下には、無数の蛍のような光が飛びまわっていた。
「きれぇ…」
しかし、よくみると、その光はある方向に集中している。
「そうか、これが線なんだ」
俺はそれに気づき、光を追いかけた。
その光は隣の隣の教室へつながっていた。
「開けるよ」
「うん」
二人がうなづくと、光が一瞬で消えた。




