プロローグ "前半戦"
ひた向きなその視線は何処を見ていたの・・?
普通の場所で、彼女は出会った
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情報規制により、あの年を境に生まれた人間は壁の事も、何があったのかさえ知らなかった。
それに、なんの疑問もなく私達は今を生きていた。
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「詩~望<しの>....、今日の放課後時間ある?」
2時限目の"国語"が終わり。
ノートに何時ものように、教師のちょっとした話を織り交ぜ自分なりに書いている時、
反対側の席に居た"草実さん《くさみ》"が少し迷ったような顔で聞いてきた。
「う・・・ん。ごめんなさい、今日は大切な用事があって・・・」
その表情で、大体。恋愛系.....(この時期になると私だって少しは気にする)の話だと言う事は嫌でもわかった。
草実さんとは以前も、恋愛の相談をしたりされたり一緒に買い物に行くなど私の唯一の大切な理解者だった・・・つい最近まで。
「.........ッそう、わかった。」
そう言い残し、彼はクラスから出ていった。
時計を見ると、次の授業まで後数分しかない
確か...次の授業は来月ある"体育祭"の練習。
主にと言うか、男子がメインなので私達は応援するだけなのだが....。
書きかけのノートをしまい。
体育館へと私は足を向けた
#1「前半戦」
ヘイ!ヘイ!....パス
ダンダン....シュッーーー
このシュートは起動をそれてリングの右側に逸れる....
クラスの女子、男子から溜め息が漏れる。
私はそんなクラスの言葉に耳を貸せる余裕もなく、ただコートを走っていた。
「しの!....ドンマイ!気にすんなよ!
俺がカバーするから。
ほら!皆も諦めるなよ、一緒にこの1ヶ月練習しただろ?」
ファイー....ゴー!
"体育祭"当日予選Aチーム
男子3人(バスケ部員一人)
女子2人の変則マッチ
10×4セット
現在のスコア 38対52
ハーフタイムまで後3分ちょっと。
試合時間残りも10分×2(変則セット)なのでこの点差は厳しい。
コートで、キャプテンマークの赤色の服を来ている15番の彼は声をあげて一人敵陣にドリブル突破をしてレイアップを決める。
他の私以外の3名はもはや、ヨロヨロで
ハーフコートの前で守備のみに徹し
肩で息をしながら彼を見守っている。
敵のクラス以外のチームも皆、誰もがこの試合を魅せられていた。
何せ、バスケ部員とは言え、彼は中学までバスケをやっていない初心者で何故かレギュラーを勝ち取りいつの間にか期待の新人となり、しかも去年、神奈川から急遽こんな辺境の地に転入してきた。学校でかなり色んな意味で目立っているあの"想希"なのだ
しかし、皆が思うのは彼のプレーだった。
想希はクラスでは評判が別れている。
それもかなり私達女子の間では....
凄い、クラスの大半は
自己中で、協調性がなく。かなりナルシスト気味で付き合いが悪い上にで何を考えてるのか分からない奴と特に同姓の男子からは彼の親友及びバスケ部のみ以外は口さえも聞かないそんな状態だった。
実際、彼に好意を寄せるのは、同じ部活動をしている女バス部(女子バスケットボール部)と吹奏楽部が多い、つまり実際話したり長く観察しなければ彼のよさが分かるとは言えない、そんな評価だった。
ただ、クラスの、いや学内で彼の事を知らない者はいない・・・
彼はとにかく目立つ・・・・良い意味でも悪い意味でも。
実際はそこまででは無いとは思っていが....
私自信かなり驚いていた。
<絶望的な状況・追い詰められた時とき人のとる行動は本来のありのままの姿を写す>
ピー。
彼がペナルティエリア内で倒された
クラスで彼の一番の仲間であろう"卓也"が
声を上げた
「ナイス!・・・落ち着いていけ!"想"」
フリースローは二回。
先程入れたスリーポイントと合わせて
いまのスコアは 41対52
ハーフタイム終了まで・・・・4秒。
しかし、前半からこの方法と速攻で確実に点を取るこの私達のチームの戦法は全て"想希"
一人でやっていた。
他のメンバーもうすうす先程から"想希"がたまに顔をひきつらせるのを見ていた。
タイム!
私はついそう言い、この"馬鹿"の背中を引っ張りベンチに座らせた。
「どうした?・・・・あ!
成る程!そっちか!プランBねー了解!」
「・・・・・はぁ?」
何やら"馬鹿"は勝手に解釈して
審判にこう言った。
「審判、フリースロー。のぞ・・・・ミス。
"しの"に交代します~。
俺足痛めたんで・・・・良いですか?」
何を・・・今、"のぞみ"って・・・
相棒事"卓也"がいち早く反応し言った。
「お前・・・今、"のぞみ"って言わなかった?
まさか・・・・・てめっ!俺との交わした友情はどこへ言った?約束しただろ?
今年も俺ら男で<ネズミ~ランド♪>行こうぜって!!!!!」
回りの大爆笑と冷やかしにより
私は初めて顔を赤くして、恥ずかしい気持ちになった。
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普通に生きること?
普通って何? ーーーーーー