2/11
隔たれる壁
20xx年
"厳守の誓い"と言う絶対的な法律が定められてから早15年になる
今年、私は20才になる
私は"聖なる清浄"を今でも忘れられない。
ただ、生まれがあの年以降だっただけで全てを奪われたもの達、
その発端となる場に私は居たから・・・・
あの目が私を蝕んだ、あの表情が、
謝りたかった。
何度でも許しを乞うべきだった
彼はどうしているのか、
そもそも生きているのか・・・
もし生きているのなら、必ずこの
<向こう側>場所に・・・
<檻の中の哀れな雛鳥>
彼らはその殆どが拘束され更正される。
人間ではない扱いをされる者も多かった
無惨な行為をされる者も数多く居た
そして、一人がその想いを感じ
彼らは皆壁の向こう側へと消えた。
何者も寄せ付けない、絶対の壁。
人間のみを寄せ付けない、拒絶の壁
今から5年前に拘束、施設送りは無くなり
この5年間に生まれたものは皆こちら側にいる、
私は何処までも伸びるその壁を見上げ思った
"私達は果たして同じ空を見ているのだろうか?"
私はマグカップに入っているコーヒーを飲みながらその場所を後にした