表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
939/953

第939話

「カルディナ様を置いてきて良かったのか?」


「アンリの相手もあるからね。問題ないよ。ただ、クーがカルディナに捕まらないかが心配だね」


「それも心配なんだけど」


ミレットの提案通り、ティミルに話をしてみようと考えたジーク達はカルディナとクーを王城に残してオズフィム家の屋敷へと向かう。

ジークはカルディナを残してきた事が心配のようで頭をかくがエルトは心配ないと考えているようで苦笑いを浮かべた後、冗談めかして言う。

確かにクーの身の安全の方が心配であり、ジークの眉間には深いしわが寄った。


「大丈夫だよ。リュミナやリアーナもいるし」


「あの幼竜も賢いから、問題ないだろう」


「確かにクーは賢いね。元々、ドラゴンは賢い生物だから、カルディナ相手でも問題はないだろう。ただ、もう少し、カルディナの事を気にかけてくれると良いんだけど、必要な時に落ち込んでいて使い物にならなくなると困るから」


心配いらないとジークの肩を叩くエルトにヴィータがその言葉に続く。

エルトはクーが相手を選んで態度を変えている様子に感心しているようであるが、カルディナを使う上でもう少し、クーに態度を軟化して貰いたいようで大きく肩を落とした。


「それに関して言えば、カルディナ様が落ち着いてくれないと何とも言えないからな。俺達は頑張っているし」


「そうですね。ジークはカルディナがクーちゃんから逃げられないようにと気を使っていますよ。もちろん、私も言い聞かせてはいるんですけど、どうしてもクーちゃんがいると周りが見えなくなってしまうみたいで」


「あれはオズフィム家の血かな? ……いや、でも、話を聞くとティミルも昔は周りが見えなくなっていたと聞いた事もあるし、どっちに似たのかな?」


ジークとミレットは普段からカルディナに言い聞かせているためか、変わらない彼女の態度に困ったように笑う。

2人が苦労しているのを見ているせいか、エルトは苦笑いを浮かべるが彼女の性格はラースのみから受け継いだものではないのではないかと首を傾げる。


「……噂の大恋愛か」


「ジークは聞いたのかい?」


「いや、ただ、ノエルとフィアナ……後はアノスも聞かされたんじゃないか?」


ジークはエルトが何を言っているのか理解できたようで眉間に深いしわを寄せた。

その様子にエルトは疑問を持ったようであり、ジークはその話には深く関わり合いたくないようで視線をそらす。


「アノスも大変だね」


「……熱くなると話を聞かない人間が多くて困りますよね」


「そうだな……エルト王子、カルディナ様に言い聞かせてくれよ。流石にエルト王子の言う事なら聞くだろ」


エルトはその時の様子が目に浮かんだようで苦笑いを浮かべるとミレットはフォルムにいるメンバーの性格を考えて大きく肩を落とした。

ジークはミレットもその1人だと思っているようだが、ここで言っておかしな空気になっても困るため、話をカルディナへと戻す。


「私が?」


「ほら、良くわからないけど、エルト王子は初対面だったのにクーと仲良くしているだろ。コツでも教えてやってくれよ」


「コツ? ……私も何か気にかけてやっているわけではないんだけど、むしろ、カルディナがあそこまで嫌われている方が凄いと思うんだ。ヴィータだって、クーに何か特別な事をしたわけではないだろう?」


意味がわからないのか首を傾げるエルトの様子にジークはクーがエルトの事を気に入っているため、仲良くなる方法を教えて欲しいと言う。

それでも、エルトは良くわからないようで首を傾げるとヴィータにも何かクーと仲良くなる方法は無いかと聞く。


「ふむ……特に何か、気にかけた事はないのでわからないな。それに私としてはクーくんに冷たくされて落ち込んでいるカルディナ様の表情もそそられるからこれでかまわないんだが、落ち込んでいる時の隙間には入り込みやすいしね」


「……ライオにも聞いてみるよ。研究も手伝って貰っているようだし、私達の中では1番、カルディナの扱い方を知っているだろうし」


「何が私にも聞いてみるんですか? それと兄上達はどこに行くつもりですか?」


ヴィータは少し考えると自分としては今とカルディナとクーの関係性の方が望ましいと口元を緩ませた。

彼女の様子にエルトはカルディナの身の危険を感じ取ったようで、ライオにも相談してみると約束する。

その時、護衛を付けたライオがジーク達を見つけて駆け寄ってくる。

彼の耳には会話の最後しか聞こえていなかったようで首を捻るが、それよりもジーク達の目的の場所が気になるように見える。


「私達はティミルに会いにオズフィム家に顔を出そうと思うんだ。ライオは王城に戻るのかい?」


「何を言っているんですか。私も当然、付いて行きます」


「……あんまり、人が増えると迷惑にならないか?」


彼の考えている事がエルトには手に取るようにわかるのか、ライオを王城に戻そうとする。

警護に付いていた者達は大きく頷くがライオは帰る気など無いようで付いてくると言い、ジークは突然の来訪のため、ティミルの迷惑になるのではないかと言う。


「……普通は断れないと思いますよ」


「王子の訪問を断るのなら、それ以上の人間の相手をしていると考えるのが妥当だろうしね」


「それはそうかも知れないけど……地味に世話になっているから、迷惑かけたくないんだよな」


エルトとライオの相手を断る事などできないとミレットは苦笑いを浮かべ、ヴィータは同調するように頷く。

ジークも理解はしているようであり、困ったように頭をかいた。


「ジークは私の事を迷惑だと思っているのかな?」


「……最近、エルト王子より、ライオ王子の方が厄介だと思ってきた」


「それは少し、理解できますね」


ライオはジークの言葉に不満げな表情をするがジークはエルトがメンバー次第ではまとめ役も受け持ってくれるため、ライオの方が扱いにくいと感じているようである。

それはミレットも同感のようで苦笑いを浮かべて頷くとライオは眉間にしわを寄せるがエルトと彼の警護に付いていた者達は小さく頷く。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ