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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
926/953

第926話

「……父上、娘相手とは言え、年頃の娘の部屋に大勢引き連れて現れるのは礼儀作法に問題がありませんか? エクシード家当主がそのようでは他の者に示しがつきませんよ」


ジークが下がってしばらくすると勢いよくドアが開き、恰幅の良い男性を先頭に兵士がなだれ込んでくる。

ヴィータは呆れたようにため息を吐くと男性を父上と呼ぶが、父上と呼ばれた男性は彼女の話を聞く気などないようで兵士達に指示を出す。

兵士達はジーク達が逃げ出さないようにドアの前に立ち、ジーク達を囲むように槍を向けた。

その様子にジークは舌打ちをすると魔導銃を腰のホルダから引き抜き構えるが、ヴィータが手で彼を制止する。


「仕方ない。カルディナ嬢」


「……準備は出来ていますわ」


「若輩者ではありますが、少々、苦言を……父上、機を読む事を考えているだけでは何も見えなくなりますよ」


話しを聞く気もない父上の様子にヴィータは呆れ顔でカルディナの名を呼ぶ。

ヴィータの指示があったため、転移魔法の準備はすでにできており、カルディナが頷くと彼女の足元の床から魔法陣が浮かび上がり、ジーク達を包み込む。

その様子に兵士達は慌ててジーク達を捕らえようとするがすでに遅く、ジーク達は白い光の玉に形を変え、部屋から消えてしまう。


「……お前達は何がしたいんだ?」


「ま、まず、話を聞いてからにして貰っても良いですか?」


「まったく、ジークくんを捕らえて手駒にするとしても今、仕掛ける時ではなかったと思わないか?」


転移魔法でエクシード家の屋敷から逃げ出したジーク達はカルディナが転移場所に選んでいたワームにあるオズフィム家の彼女の部屋に到着する。

移動する前にヴィータがシュミットへの面会を求めていた事もあり、カルディナは部屋から出るとしぶしぶながらすぐに執事を使ってラースに連絡を取った。

エクシード家で起きた事があるため、下手にワームの街中を歩くわけにはいかない。

そのため、適当な理由を付けてシュミットとラースがオズフィム家の屋敷に訪れた。

シュミットの眉間には深いしわが寄っており、ジークはその様子に腰が引けているがヴィータは気にした様子もなく、用意された紅茶へと口を付けている。

彼女の様子に怒っていても仕方ないと思ったのか、シュミットはため息を吐くとジークとカルディナに説明を求め、2人はアンリの事や王都の噂の件を話す。


「……ふむ」


「だ、だからな。俺は悪くないんだ」


「まったく、男のくせに言い訳など見苦しいですわ。男なんですから、男らしく自分の責任だと言ったらどうですか?」


説明を聞き、ジークとカルディナだけを責めるだけにはいかないと考えているのかシュミットは眉間にしわを寄せた。

彼の様子に怒られる気しかしないようでジークの腰は完全に引けているが、カルディナはジークに責任を押し付ける気のようである。


「……俺は巻き込まれただけだからな」


「小僧、すまんな」


「いや、最近は少し慣れてきたから、それにフィーナより、マシだから」


ラースは申し訳なさそうに彼に謝るがジークはジークでアンリの部屋で見たカルディナの様子を思いだしたようで強くは言えないようで苦笑いを浮かべた。

しかし、フィーナと比べられるのはカルディナにとってはかなりの屈辱のようで忌々しそうに顔をしかめてしまい、フィアナは落ち着くように声をかけている。


「ジーク、アンリ様の病気は治るんだろうな?」


「俺達もやる事はやるけど、正直、アンリ王女の努力次第。治すと言うよりは病気にかかりにくくする方向だからな」


「そうか……それでも、他にやる方法があっただろ。そのためにわざわざ、フィアナにエクシード家に潜入して貰ったんだぞ」


シュミットは状況を確認するようにジークに問う。

ジークは長期的な治療をする事をアンリが了承してくれなければ何とも言えないと首を横に振った。

その答えにシュミットは少し考え込むとジークとカルディナの行動を浅慮だと言う。

彼の言葉にジークとカルディナは気まずそうに視線を泳がし、フィアナは大きく頷くがヴィータは自分には関係ない事を言いたいのかお茶菓子を手に取るとクーの口元へと運び、クーも嬉しそうに頬張る。


「それについては反省しているけど……おっさん、俺、カルディナ様とアンリ王女が知り合いだったっていう事を初めて知ったんだけど」


「……言ってなかったか?」


「聞いた事なかったぞ。だいたい、カルディナ様がアンリ王女と懇意にしているなら、適当な言い訳をカインが考えてもっと早く診察だってできたんじゃないのか?」


責められている事に耐え切れなくなったのかジークは責任転嫁をしようとラースへと話を振った。

ラースは言ったつもりだったようで首を傾げるとジークは自分達がいろいろと考えていた事がバカらしくなったと大きく肩を落とす。


「ふむ……ジークくん、君はカインくんにすべてを押し付けすぎじゃないかな?」


「そう言うのを考えるのがあいつの仕事だからな」


「今回の件で学んだ方が良い。カインくん1人の考えだけでは1つの考えしか浮かばない事もある。それにカインくんの仕事だと言うのなら、彼が考えをまとめるのに多くの情報を与えるのは君の仕事ではないかな。アンリ王女の症状も君やミレット嬢の中に私が教えた治療法を覚えていたから、治療までの道のりが見えたのではないかな?」


彼の言葉にクーにお茶菓子を与えていたヴィータの手が止まった。

彼女はジークの考えが甘えていると言いたいようだがジークは策を考えるのはカインの仕事だと頼り切っているため、彼女の言いたい事がわからないようである。

その様子にヴィータはため息を吐くともう1度、しっかりと考えるように言う。


「それはそうかも知れないけど……」


「ヴィータの言いたい事もわかるが一先ずはその話は後にしよう。話から言えば、エクシード家はギムレット側に回ったと考えても良いな?」


「一概には何とも言えませんね。実の父親を小バカにするのは気が引けますが自分で何かするほどの器量はありませんね」


言葉を詰まらせるジークにシュミットは助け舟を出すとヴィータにエクシード家の向かう先を聞く。

ヴィータはすぐに父親はまだ決めかねているにも関わらず、ジークを押さえておけば得になると考えているだけだと言う。


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