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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第915話

「ジーク、何かしたんですか?」


「別に何もしていませんけど」


「そうですか……ジークも隅に置けないですね」


カルディナを屋敷に連れて帰ると彼女はクーを抱きしめてソファーに静かに座っている。

クーは不満そうだがいつものように感情のままに突っ走ってこないため、逃げづらいようにも見えた。

カルディナの様子がいつもと違って見え、ミレットは首を捻る。

ジークも特におかしな事をした記憶もないため、苦笑いを浮かべるとミレットは何か心当たりがあるのかくすくすと笑う。


「何かわかったんですか?」


「ジークは気にしたらダメですよ。そのままで」


「意味がわかりません」


彼女の様子にジークは何かわかったのなら教えて欲しいと言うが、ミレットはくすくすと笑ったままである。

ジークは納得が行かないとため息を吐くとカルディナに出す紅茶とお茶菓子を持って居間に向かい、ミレットは彼の後を追う。


「今日はお休みですか」


「は、はい。急に訪問してしまい。申し訳ありません。ミレット様」


ジークが紅茶を並べるのを見ながら、ミレットはカルディナに声をかける。

カルディナはミレットに声をかけられ、緊張した様子で頷くとジークへと視線を移す。

ジークは彼女の視線に気づく事無く、紅茶を並べ終えるとソファーに腰を下ろした。

彼の様子にカルディナは少しだけ、不満げに頬を膨らませるがすぐに何もなかったかのように紅茶へと手を伸ばす。

カルディナが手を伸ばした事でクーは自由になった事もあり、お茶菓子を狙っているのかテーブルの上に飛び乗る。


「……美味しいですわ」


「何で、不満そうなんだよ?」


「別に不満とは言っていませんわ」


紅茶を一口飲んだカルディナはほっと息を吐くがその目は不満そうであり、ジークはため息を吐く。

カルディナは何でもないとそっぽを向くとお茶菓子を手に取り、クーの口元に運ぶ。

クーはお茶菓子を食べたいようだが、狙っていたものではないようで首を横に振ると新しいお茶菓子を手に取ってクーに確認するように見せる。

見せられたお茶菓子にクーは頷くとカルディナの手からお茶菓子を頬張った。


「意味がわからない」


「ジークはわからなくても良いんですよ。ですけど、王都に戻ったらフィリム先生に見つかったんですか。それはそれで大変でしたね」


「フィリム先生、自分で転移魔法を使ってフォルムに来ることができるんだからカルディナ様を連れてこなくても良かったんじゃないのか?」


彼女の様子にジークは納得がいかないようで眉間にしわを寄せるとミレットは気にしなくて良いと笑う。

カルディナが休日のため、フィリムに見つかった事に同情を見せるとジークはフィリムが彼女を連れてきた理由に疑問を持ったのか首を傾げる。


「それは確かにそうですね。フィリム先生は何の目的があったんでしょう?」


「あの人も特に計画性とかない人ですからね」


「……まったくその通りですわ。ただ、フィリム教授がいたからクーちゃんと遊べる状況になった気がします」


ジークの言葉にミレットはその通りだと思ったようで首を傾げた。

フィリムに何度も振り回されているジークは眉間にしわを寄せる。

カルディナはその言葉に頷くものの、フィリムがいなければクーが相手をしてくれなかった事も考えられるため、文句はあまり言えないようでため息を吐いた。

そんな彼女の表情など気にする事無く、クーは新しいお茶菓子を要求し、カルディナはクーが何を食べたいのか探すようにお茶菓子を覗き込む。

その様子にジークは苦笑いを浮かべるとカルディナに見えるようにお茶菓子を指差す。

カルディナはジークが何かを企んでいるのではないかと疑いながらも、ジークが指差したお茶菓子を手に取るとクーはこくこくと頷いた。


「可愛いですわ」


「そこで落ち着かないと逃げられるぞ」


「……わかっていますわ」


手からお茶菓子を頬張るクーの姿にカルディナの目は輝き始めるがジークはその様子にイヤな予感がしたようでため息を吐く。

彼に止められて何とか踏みとどまったカルディナは大きく深呼吸をすると彼女の様子にジークとミレットは苦笑いを浮かべる。


「こうやっていれば、クーちゃんも懐いてくれるんですけどね」


「ですね。だけど、フィリム先生は本当に何しに来たんだ? 用があったのにアーカスさんの手伝いをしていて良いのか?」


「確かにそうですね……あれ? そう言えば、どうして、フィリム先生はアーカスさんがフィリムに居るって知ったんでしょうね?」


ミレットはカルディナにこのようにしていれば良いと言うとカルディナは小さく頷いた。

その様子にジークはくすりと笑った後、フィリムの用件が何だったのかと首を捻る。

ミレットは頷くもフィリムとカルディナがジーク達のいた場所に現れた事に疑問を抱く。


「それなら、あちらのお屋敷に魔術学園の研究者達がいるでしょう。その人達からあのハーフエルフの事を聞いたら有無を言わせずにクーちゃんがあそこにいたから良いものの」


「確かにいた。あんまり関わらないからすっかり忘れていた」


「カインさんに聞いたんじゃないんですね」


カルディナはお茶菓子を頬張るクーを見て、表情を緩ませているがミレットの疑問に答えてくれる。

ジークはフォルムにいる研究員達の事を思い出して苦笑いを浮かべるがミレットはカインが何か企んでいると思っていたようで気まずそうに笑う。


「……まったく、用件があったと言う割にあのハーフエルフに何があるんでしょうか」


「仕方ないですよ。アーカスさんはフィリム先生の先生なんですから」


「フィリム教授の先生? あのハーフエルフが?」


カルディナはフィリムとアーカスの関係性を知らないようで呆れたようにため息を吐く。

ミレットはその様子に苦笑いを浮かべて2人の関係性を話すとカルディナは不思議そうに首を捻った。


「どうかしたのか?」


「アーカス=フィルティナさんです」


「私、そんな名の教授が魔術学園にいたと言う話は聞いた事がありませんわ。フィリム教授の先生の名前はたしか……ダメですわ。思い出せません」


アーカスの名前を聞いたカルディナはアーカスの名前を魔術学園では聞いた事が無いと言う。

彼女の言葉にジークとミレットは首を傾げるが答えが見つかるわけもない。


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