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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
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第91話

「まぁ、そのうち、ノエルにもできるんじゃないかな? ノエルはフィーナと違ってもの覚えが良いし」


「そうでしょうか?」


ジークはノエルの表情に苦笑いを浮かべて彼女をフォローする。ノエルはその言葉に表情を明るくする。


「そ、そうだよ。だから、ノエル、こっちに」


「ふぇっ!? ど、どうしたんですか?」


ジークは彼女の表情が変わったのを見て、恥ずかしくなったようで顔を赤らめると視線を逸らそうとする。その時に何かに気が付き、ノエルの腕をつかむと彼女を引き寄せ、ノエルはジークの突然の行動に声を上げた。


「ノエル、構えて」


「へ?」


ジークの視線の先には2人に場を荒されて怒っているイノシシが鼻息を荒くしており、ジークはノエルを自分の背中に隠すと直ぐに次の行動に移るために魔導銃を抜く。しかし、ノエルはまだ、状況を理解できていないようで呆然と立ち尽くしている。


「ノエル!!」


「は、はい。すいません」


ジークはもう1度、ノエルの名前を呼ぶとノエルは慌てて、杖を両手でしっかりと握りしめ、イノシシへと視線を向けた。


「お、怒ってますよね?」


「だろうな。どうやら、縄ばりに入ったみたいだな」


ノエルはイノシシが見るからに怒っているため、遠慮気味にジークに確認をする。ジークはイノシシから視線を逸らす事なく、返事をする。


「あの。何とか退却するわけにはいきませんか?」


「あの様子じゃ、無理だろうな。サクッと仕留めて、血抜きの間に薬草の回収でもするか!?」


「だ、ダメです」


ジークはイノシシを仕留めて、食糧にするつもりのようで1対の魔導銃を構えて、引鉄を引こうとした時、ノエルが彼の服を引っ張り、照準がずれてしまい、魔導銃から放たれた光はイノシシから外れ、地面を黒く焦がした。


「ノエル、何をするんだ?」


「だ、だって、かわいそうですし、縄ばりに入ったのはわたしとジークさんであって、イノシシさんは悪くないわけですし、殺しちゃうのはどうかと思うんです」


ノエルはイノシシの命を奪う必要はないと主張し始めるが、その行動は野生の中で生きる者にはそんな事は関係なく、イノシシは鼻息を荒くしたまま、2人に向かって突進を開始する。


ジークはイノシシの突撃にノエルをイノシシの進路状況から、押しだす。ノエルはジークの突然の行動に驚き、尻餅を付く。ジークはノエルとは反対の後方に飛び、イノシシの突進を避けた。


「ノエル、そんな甘い事を言っているヒマはない。相手はやる気なんだからな」


「で、ですけど」


ジークは身体を反転させようとしているイノシシに向けて、再度、魔導銃の照準を合わせる。ノエルはジークを止めようとするが、尻餅を付いてしまったためか、彼女の行動は遅れる。


その遅れをジークは待つ事もなく、ジークは片方の魔導銃の引鉄を引くと光はイノシシに向かって一直線に放たれたかのように見えた。


「あれ?」


「ジークさん?」


「ま、間違えた。こっちは壊れている方だ」


長く1対の魔導銃を使用して戦闘を行っていたジークは破損した方の魔導銃をイノシシに向けていたようであり、慌てて、もう片方の魔導銃を構えようとする。


「あ、危な!?」


「……」


その時にはイノシシは身体を反転し終え、今度は明らかな敵意を見せているジークに向かって突撃を行い、ジークは何とか身体を捻り、その突撃を交わすがバランスを崩してしまったようで地面を転がる。


「ジ、ジークさん、大丈夫ですか?」


「問題なし」


ノエルはジークがイノシシの突進を喰らったと思ったようで顔を青くして彼を呼ぶ。ジークは彼女の様子にイノシシの前に立ち、危険な状況にも関わらず、顔の筋肉を緩ませて笑う。


「だけど……身体に戦い方が染み付くくらいに永い間、迷惑をかけてきたって事だよな。持ってろよ。すぐに直してやるから、と、その前に」

ジークに向かいイノシシは三度、突撃を仕掛けてくるが、彼は慌てる事なく、その正準をイノシシの眉間に定め、引鉄を引く。


魔導銃からは光が放たれ、イノシシの眉間を撃ち抜く。イノシシの身体は突進の勢いが付いていたためか、イノシシが絶命したにも関わらず、ジークに向かってくるが命令系統を失った肉塊でしかなくなった身体はジークにぶつかる前にその動きを止め、地面に崩れ落ちた。


「ジークさん、ケガはありませんか?」


「ないない。ちょっと、バランスを崩しただけだから、それより、ノエルは大丈夫か?」


「お尻、痛いです」


ジークの心配をするノエルが、状態としてはジークよりノエルの方が悪いようでノエルは涙目で臀部をさすりながら言う。


「それは悪かったな」


「い、いえ、ジークさんが悪いわけでは」


ジークはノエルの様子に気まずそうに視線を逸らすとノエルは慌てて首を横に振った。


「とりあえず、薬草集めを続けるか? イノシシに踏み潰された分も集め直さないといけないし、ノエルは先に始めてくれ。俺はこっちの下処理に入るから」


「わ、わかりました」


ジークはイノシシの突進を交わした際に落してしまった薬草を見て、ため息を吐くと倒したイノシシに向かう。ノエルはジークの行動を理解したようでイノシシに1度、視線を向けた後に薬草集めに戻って行く。


「ノエルが優しいのは良い事なのか? ノエルの考えは素晴らしいものかもしれないけど生きて行くのに命を奪う事は必要なんだから、行きすぎているよな? まぁ、その事に関してはちょっとは安心するけど……悪いな。無駄にしないから、成仏してくれよ」


ジークはノエルの様子に頭をかくが、ドレイクである彼女が生き物の死を見る事で本能に火が点く事も考えられるためか彼女の優しすぎる正確に苦笑いを浮かべるとイノシシをルックルまで持って行く事も考えると1度、イノシシに向かって手を合わせた後に下処理を行って行く。


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