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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
904/953

第904話

「本当に君達は良い仕事をしてくれる」


「……いや、俺達がしたわけじゃないから」


「フィ、フィアナの視線が痛いわ」


フィアナを丸め込んでから数日が経った頃、ヴィータがフィアナの転移魔法でフォルムを訪れた。

ヴィータはフィアナを気に入ったようであり、彼女と引き合わせてくれたジーク達に感謝すると言いたげに笑う。

ご満悦な彼女とは対照的にフィアナは恨み言を言いたいのかジークとフィーナを見ており、フィーナは気まずそうに視線をそらす。


「みなさん、知っていたんですよね?」


「ヴィータさんは筋肉とか血行を良くする医療方法の専門なんだよな。疲れも残らないだろ」


「……確かに疲れは残りません。肌もつやつやです。ですけど、乙女の尊厳が傷つけられた気分です」


ジークとフィーナの反応でフィアナの考えは確信に変わったようで2人を睨み付ける。

あくまでジークはヴィータの変態性を知らなかったと言いたいようで彼女の専門について話す。

フィアナはヴィータの治療はくせになりそうだと言うがそれでも何か耐えられない物があったようで大きく肩を落とした。


「……それに関して言えば、同感ね」


「後は」


「……」


毒牙にかかった事もあるフィーナは大きく肩を落とす。

ヴィータはまだ身体を触っていないノエルとミレットの身体の感触が気になるようでそばに居る2人へと視線を向ける。

ミレットはその視線など気にした様子も見せずに紅茶を飲んでいるが、ノエルは完全に怯えているようでジークの腕を握り締めた。

怯える彼女の姿にヴィータの視線は怪しい光を放ち始め、その光がさらにノエルの恐怖心をあおる。


「ノエル、その行動は逆に自分の身を危険にするよ」


「で、ですけど」


「ノエル、あなたはキッチンに行っていてください。このままでは話が進みそうもありませんから」


ノエルが怯えるほどにヴィータの瞳の奥の輝きは色濃くなっており、カインは苦笑いを浮かべた。

彼の言葉にノエルは深呼吸をして自分を落ち着けようとするが、彼女の中ではヴィータは完全に異色の存在であり、向き合う事はできない。

その様子に話し合いにもならないと考えたセスは大きく肩を落とすと下がっているようにとキッチンを指差し、ノエルは彼女の提案に大きく頷くと逃げるようにキッチンへと移動してしまう。


「のどが渇いたな。水を貰ってきても良いかな?」


「紅茶をどうぞ」


「いや、紅茶も良いが、これほどの味を出すなら、水も相当の何だろう。水のみの味も楽しんでみたいと思うんだ」


逃げたノエルを追いかけるようにヴィータはソファーから立ち上がった。

彼女の目的は誰の目から見ても明らかであり、カインは笑顔で用意されている紅茶を勧める。

ヴィータは適当な言葉を並べ、ノエルを追いかけようとするがクーがパタパタと飛んでキッチンに行き、水が注がれたカップを抱えて戻ってきた。


「クーちゃん、偉い、偉い」


「クー」


「……」


ミレットはクーが持ってきたカップを受け取るとヴィータの前に置く。

クーは役に立ったと言いたいようでジークの顔を見上げており、ミレットはその様子にくすりと笑うとクーの頭をなでる。

頭をなでられてクーは嬉しそうに鼻を鳴らすが本命はジークのようで彼へと視線を向けた。

ジークは苦笑いを浮かべると膝の上に乗るようにクーを手招きし、クーは嬉しそうにジークの膝の上に乗る。

しかし、ヴィータはノエルを追いかける事ができなくなった事に恨めしそうな視線をクーに向けた。


「それで、本日は何の御用ですか? もう、エクシード家をシュミット様の味方に引き入れる事ができましたか?」


「流石にそんな速くに事は進まないでしょう」


「そうですね」


カインはヴィータの様子に苦笑いを浮かべると今回の訪問の理由を聞く。

セスとミレットもヴィータが訪問した理由がわからないようで彼女の次の言葉を待つがヴィータはノエルの事を諦めきれないようでキッチンへと視線を向けた。


「えーとですね。ジークさんがヴィータ様に頼んでいた種や苗が手に入りましたのでそれを運んできました。種はヴィータ様が持っていますけど、苗の方は玄関に置いてあります」


「そうか。ちょっと、苗の出来を見てくるかな?」


「そうね。ここに居ても意味なさそうだし」


フィアナは現在の雇い主であるヴィータの姿に苦笑いを浮かべるとフォルムに来た理由を話す。

その言葉にジークは興味が湧いたようでクーを抱いたまま、ソファーから立ち上がると玄関に向かって歩く。

フィーナは難しい話を聞くよりはジークについて行った方が楽と考えたようで彼の後を追いかける。

ノエルだけではなく、フィーナにも逃げられた事にヴィータの表情はさらに暗くなって行き、カインは困ったように笑う。


「フィアナ、ヴィータさんの扱い方ってわからないの?」


「流石にそこまではわかりません。カインさん達の方が詳しいんじゃないですか? いろいろと知っているようですし」


「俺は噂をフィアナに教えただけじゃないか」


ヴィータがこの調子では話にならないと考えたカインは彼女の身の回りを世話しているフィアナに話を振る。

フィアナもそこまでヴィータの生態を理解できるほど世話していないと言いたいようだが、カインへと文句を言いたいようで唇を尖らせた。

彼女の様子にカインは悪びれる事無く、このままでは話が進まないと言いたいのか大きく肩を落とす。


「絶対に嘘です」


「信用ないな。それより、フィアナ、逃げないと危ないよ」


「へ? ヴィ、ヴィータ様、落ち着いてください!? カインさん、助けてください!?」


フィアナの目はカインへ疑いの視線を向けたままであり、カインは苦笑いを浮かべると何かに気が付いたようで彼女に忠告をする。

カインの忠告に首を傾げたフィアナだが、自分の身に近づく危険を感じ取ったようで顔を引きつらせた。

その瞬間に、ヴィータはフィアナに襲い掛かり、彼女はソファーの上に押し倒されてしまう。

抵抗を見せるフィアナだが、魔術師である彼女は非力であり、ヴィータを振り払う事はできずにカインへと助けを求める。

2人の様子にカインとミレットは苦笑いを浮かべているが、セスは話が進まない事に頭が痛くなってきているのか、額を手で押さえてため息を吐いた。


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