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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第901話

「フィーナをバカにする必要性はまったく感じませんが、王都から離れてしまうと文字の読み書きができる人間は少なくなります。冒険者をしている人達でも魔法を使う者とそうでない者でも差があると聞きますし」


「まあ、必要性を解いてくれる人が居るかどうかで決まってくるね。フィアナも村長が教えなければ文字の読み書きは出来なかっただろうし、人の出会いって大切だね」


「確かにその通りなんだけど、どうして、お前が言うと胡散臭くしか聞こえないんだろうな」


セスは2人の会話にため息を吐くとカインを睨み付けながらノエルの援護をしようと思ったのか補足を続ける。

彼女に睨まれたためか、カインは苦笑いを浮かべて話を終わらせようとするが、彼の日頃の行いのせいか周囲から疑いの視線が突き刺さった。


「流石に酷くないかな?」


「酷くないわよ……ねえ、フォルムの人達はラミア族の文字は書けるのよね。それなら」


「シーマさんとかフォトンさんとかに丸投げは無いからな」


カインは大きく肩を落とすがフィーナは言われるだけの事をしてきただけだと言うと何か考え付いたようで笑みを浮かべる。

その笑みは自分だけが考え付いたと言う確信があるようで自慢げだが、ジークはすぐにフィーナが考え付いた事に予想がついたようで首を横に振った。

彼の言葉はフィーナが考え付いた事を言い当てていたようであり、フィーナは言い当てられた理由がわからないようで眉間にしわを寄せる。


「どうして、わかったのよ?」


「誰だって考え付く」


「何で、ダメなのよ?」


ジークは呆れたようにため息を吐くとフィーナは自分の考えを否定するだけの証拠を見せろと言う。

フィーナの様子にジークとカインは彼女の様子に呆れているようで眉間にしわを寄せ、ミレットは苦笑いを浮かべている。


「ただ、畑に植えて水を上げていれば良いと言うものでもないですからね。専門的な知識を必要とするものも多いですからね」


「俺やミレットさんはラミア族の文字も書けないからな」


「ラミア族の文字に翻訳するならジークかミレットにラミア族の文字を書ける人を付けるのが良いかなと思うけど……」


2人の表情に不満そうな表情をするフィーナ。

彼女の様子にこのままではまたフィーナがジークやカインに殴り掛かると思ったようでミレットは苦笑いを浮かべたまま、専門知識が必要だと話す。

ジークは文字の大切さを実感しているようでため息を吐くとカインは考える人選を放し始めようとするが何かあるのかジークの顔を見てため息を吐いた。


「何だよ?」


「ジークがシーマと仲良くやっていてくれればな」


「……悪いの。俺か? と言うか、俺より、お前の方がシーマさんと仲悪いだろう」


ため息を吐かれる理由がわからないジークは眉間にしわを寄せるとカインはもう1度、ため息を吐く。

彼の言葉に言いがかりだと言いたいのかジークは肩を落とすとシーマと険悪なのはカインではないかと言い、フィーナは大きく頷いた。


「シーマさんを使いたいなら、いつも通り、せっかく手に入れた弱みで脅迫すれば良いじゃない」


「きょ、脅迫とかはダメだと思います」


「しないよ。だいたい、公然の事実になった弱みなんて弱みでもなんでもないから」


フィーナは仕返しだと言いたいのか、カインに向かいいつも通り人道から離れた方法を使えと言う。

その言葉にノエルは大きく首を振り、カインに脅迫だけはだめだと詰め寄って行く。

ここまで疑われる理由がわからないと言いたいのかため息を吐くがその言葉は疑われるだけには充分であり、カインには再び、疑いの視線が突き刺さる。


「それなら、ミレットさんとシーマさんでやって貰ってはどうでしょうか? 森の方は私達でどうにかしますから」


「それも考えたんだけどね」


「植物の育成方法とかはジークの方が詳しいですから」


レインはこのままでは話が進まないと考えたようでシーマの今の仕事を受け継ぎ、シーマの負担を減らすと手を上げた。

それはカインも考えたようだが言葉を濁してしまい、ミレットはカインが何を飲み込んだのか理解したようでバツが悪そうに答える。


「そうなんですか?」


「どうやら、そうらしい」


「……そうらしいって、どう言う事よ?」


ノエルは意外だったようで首を捻るとジーク自身も実感が薄いようで首を捻った。

彼の態度にフィーナは意味がわからないようでため息を吐く。


「そのままです。私はレギアス様の元で医師としての知識を学びましたし、薬草畑の手伝いもしましたけどそちらの方はあくまで手伝いの域を出ませんから、アリアさんと一緒に薬草畑を作り上げたジークには敵いません」


「そうらしい」


「そうらしいって、はっきりしないわね」


ミレットは苦笑いを浮かべながら、ジークには経験が蓄積されていると言うが、それでもジークには実感がないようで首を捻ったままである。

その様子にフィーナはイライラしてきたようで舌打ちをし、ノエルはどうして良いのかわからずにオロオロしている。


「ジークが実感ないのは仕方ないとして、ジークとシーマ、仲悪いからどうしようか?」


「……だから、お前に仲悪いと言われる理由がわからない。と言うか、シーマさんがダメならフォトンさんに手伝って貰えば良いだろ」


「フォトンにはやって貰う仕事が多いから」


カインはもう1度、ジークとシーマの事を不仲だと強調して言う。

ジークは納得が行かないと眉間にしわを寄せるとフォトンに協力して貰えば良いと手を上げた。

仲は悪くないと言っているもののジークもシーマと組むよりはフォトンとの方が楽だと言う思いもあるようである。

ジークの提案にカインは口元を緩ませながら首を横に振った。

その表情は明らかにまたおかしな事を企んでいるようにしか見えず、ジークとセスは眉間に深いしわを寄せる。


「……確かにフォトンさんは忙しんですが」


「カ、カインさん、いったいどういう事ですか!? 何があったか教えてください!!」


「フィアナ、久しぶりだね。でも、不法侵入だよ」


セスはカインが何を企んでいるか聞き出そうとしたようで口を開いた時、ドアが開き、慌てた様子のフィアナが駆け込んでくる。

フィアナがフォルムに顔を出した理由はこの場にいる全員が察しがついているようだが、カインはとぼけ顔で笑う。


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