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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
894/953

第894話

「ナニガアッタ? ……ジーク、ノエルサマ、イジメタ」


「……いじめてない。斧を向けるな」


しばらくするとセスがゼイだけを連れて帰ってくる。

彼女は魔法で人族の姿になっており、ヴィータは人を増やす理由がわからずに首を傾げた。

ゼイは書斎に入ってくるなり、不安そうなノエルの顔を見つけると持ってきていた斧を抜き、ジークを威嚇する。

その威嚇はジークにとってはいわれのない物であり、ジークは無罪だと言いたいのか大きく肩を落とす。


「セス、ギドは?」


「いろいろと忙しいそうです。簡単な説明をしたら、ゼイさんだけでも問題ないだろうと言う話になりました」


「確かに問題はないんだけどね……ゼイだけだと話しが進まないような気がするんだよね」


ギドの姿がない事にカインは首を捻るとギドは集落の方でやる事があるようでフォルムには来られないようである。

セスの言葉にカインはゼイを制御できる自信がないようで眉間に深いしわを寄せた。


「カイン=クロークを困らせるとはなかなか……」


「ゼイ、斧をしまって話が進まないから」


「ワカッタ……ダレダ?」


カインの困り顔はヴィータには珍しい物に見えたようで小さく口元を緩ませる。

彼女の言葉にカインが肩を落とすとゼイに声をかけて座るように言う。

カインがゼイの事を苦手にしているように彼女のもカインの事を苦手にしており、警戒したような態度を見せるとソファーに腰を下ろす。

腰を下ろした彼女の視線にはヴィータの姿が目に映り、初めて見る彼女の姿にゼイは首を傾げる。


「しかし……」


「何ですか?」


「……ここは楽園か?」


ゼイの姿はゴブリン族ではなく魔法で人族に変えられている事もあり、無邪気な小さな女の子にしか見えない。

ヴィータはそんな彼女の様子がツボにはまったようで口元を緩ませ始めた。

その様子にジークは何があったかわからずに首を捻ると年長者のヴィータから見ると可愛い年下の少女ばかりが集まっている事に感動を覚えたようで拳を握り締める。


「……やっぱり、変態ね」


「いや、ゼイの姿に関して言えば、セスさんも同類だ」


「……お願いです。一緒にしないでください」


ヴィータの発言にフィーナは眉間に深いしわを寄せて言い、ノエルはジークの腕にしがみついたままこくこくと頷いた。

ジークはノエルの怯えた様子にどうにかしないといけないと思ったようでセスにゼイがゴブリン族だと話した時の事を思い出すように言うが、セスは一緒にして欲しくないと眉間に深いしわを寄せる。


「えーと、説明しても良いですか?」


「ああ、すまない。取り乱したようだ」


「……平静を保とうとしていますけど、危ないですね」


カインは力なく笑いながらヴィータに話を続けて良いか許可を取る。

ヴィータは1つ咳をすると説明を求めるがその視線はゼイに釘づけであり、シーマは大きく肩を落とす。


「本題に入る前に1つ、ヴィータさんは魔族についてどのように考えていますか?」


「魔族についてか……可愛い娘なら何も問題はない」


「……ダメだ。話がかみ合わない」


カインは魔族についての質問をするがヴィータからは質問に対する答えが返ってこない。

その様子にジークは大きく肩を落とすがカインはシーマの答えをジークとは違った解釈で捉えたようで口元を緩ませた。


「何で、笑っているのよ?」


「だって、ヴィータさんの判断基準は人族や魔族だって事じゃないって事だろ」


「それは歪曲した答えではありませんか?」


彼の表情にフィーナは眉間にしわを寄せて聞くとカインはヴィータが魔族相手であっても偏見を藻谷と判断したと言う。

しかし、その言葉は彼にとって都合が良すぎるように解釈されたものに聞こえ、セスは大きく肩を落とした。


「先ほどのカイン=クロークの話しから推測すると少なくともここに居るメンバーの中で3人が魔族、もしくは混血と言ったところか」


「そうなりますね」


「……なんか、話が進んで行っている?」


カインが何か言う前にヴィータはカインの質問の意味を自分なりに理解したようで確認するように聞く。

その質問に書斎には妙な沈黙が起きるがカインは気にする様子もなく頷くとジークは状況が上手く整理できないのか頭をかいた。


「それで、この娘を呼んできたと言う事はもんでも問題ないと言う事か?」


「コイツ、コワイ」


「ゼイも恐怖を覚えるのね」


ジーク達の心配を余所にヴィータはゼイの筋肉を揉みほぐして良いと考えているようで目を光らせてゼイを見る。

その視線にゼイの背中には冷たい物が伝ったようで彼女は立ち上がるとソファーの後ろに隠れてしまい、フィーナは眉間に深いしわを寄せた。


「ゼイ、協力してくれないかな? ノエルのために」


「ノエルサマノタメ?」


「そう、ノエルのため」


ゼイが怯えていようがカインには関係ないため、彼女を説得しようとノエルの名前を出す。

ノエルの名前が出されると彼女を慕っているゼイは断る事ができないため、ソファーの後ろから顔を出した。

カインは笑顔を浮かべながらもう1度、ノエルの名前を強調して言うとゼイはノエルへと視線を向ける。

ノエルはジークの腕をつかんで震えており、ゼイは彼女を守らないといけないと考えたようでゆっくりとソファーの後ろから出てくると斧を構えた。


「……斧は必要ないかな。と言うか、危ないから室内で振り回さないでくれるかな」


「ノエルサマ、フルエテイル、ゲンイン、テキ」


「ゼイ、落ち着け。今、味方になって貰うための話し合い中だから」


彼女の様子にカインは大きく肩を落とすがゼイは斧を構えたまま、ヴィータを威嚇する。

ジークはヴィータの機嫌を損ねてはいけないと考えており、彼女に落ち着くようにと声をかけるがゼイが斧を収める気配はない。


「どうするのよ?」


「困ったね……ヴィータさん?」


「危ないですよ」


このままでは話し合いが続かないため、フィーナはカインに何か考えろと言いたげに視線を向ける。

カインもどうするべきかと苦笑いを浮かべた時、ヴィータはゆっくりとソファーから立ち上がった。

セスはヴィータを引き止めようと手を伸ばそうとするが彼女は怪しい光を放っており、その様子に怯んでしまったようで手を止めてしまう。


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