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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第890話

「……何か用ですか?」


「そうだね」


カインの案内でヴィータをシーマのいる部屋まで案内するとシーマはフォトンとともに領地運営の仕事を手伝っている。

シーマはカインの顔を見て露骨な嫌悪感を示し、フォトンは申し訳なさそうに頭を下げた。

彼の態度を見て、シーマはしぶしぶカインに用件を言うように聞くがその態度からは厄介事を速く終わらせたいと言う考えが簡単に見て取れる。

その様子にカインは苦笑いを浮かべるとヴィータへと視線を向けた。

彼女はシーマを見て、目を輝かせており、その様子からシーマが生贄に充分な事は簡単にわかる。


「速く用件を言ってくれませんか? 働かない悪徳領主がいるせいか忙しいんです」


「シーマが忙しいのは知っているよ。だから、俺とジークがシーマを労う方法を用意したんだ」


「……俺を巻き込むな」


カインの視線の先にいるヴィータにシーマは気が付いたようだが厄介事に巻き込まれたくないようで見ないふりをしている。

その反応にカインは口元を緩ませるとジークを巻き込もうと彼の名前を出す。

ジークはカインに名前を呼ばれた事に心外だと言いたいようで大きく肩を落とした。


「……むしろ、あんたが主犯じゃない」


「そんな事はない」


「……」


彼の態度にフィーナは冷ややかな視線を向けるが、ジークはすぐにとぼける。

フィーナの声はシーマの耳にしっかりと届いていたようでシーマはジークを睨み付け、ジークは困ったように笑う。


「疑わないでよ。シーマも肩こりが酷いだろ。筋肉をほぐしたり、血行を良くしたりする専門の人を連れてきたんだよ。効果は実証済みだよ」


「……確かに実証済みね」


「……」


カインは苦笑いを浮かべたまま、ヴィータをワームの有力者の令嬢とは言わずに、彼女の変態性を隠して紹介する。

シーマは疑っているようであり、ヴィータへと視線を向けるとフィーナは彼女の診察を経験した事もあり、小さく頷いた。


「……わかりました。少しだけ付き合いましょう」


「うん。ヴィータさん、了承が出たから問題ないよ」


「そうか……この時を待ちわびたぞ」


シーマはカインの言葉を信じきれないようで難しい表情をしているが確かに肩こりはあるようで治れば良しとしようと考えたようでため息交じりで承諾する。

その言葉にカインはヴィータに視線で合図を送ると彼女の表情は歓喜に満ち、両手を滑らかに動かしながらシーマとの距離を縮めて行く。


「こ、この人は何なんですか!?」


「何って、さっき、言った通りだよ。ヴィータさん、立ったままでも問題ないですか?」


「うむ。やはり、全身揉みほぐさないといけないだろう。そうなると……」


ヴィータの手の使い方にシーマは何か恐怖を覚えたようで後ずさりをするとカインにヴィータの正体を聞くが、カインは当然のようにとぼけるとヴィータ側についた。

彼の言葉にシーマは助けを求めようとフォトンへと視線を向けるが彼はカインが無駄な事をしないと考えているため、首を横に振る。

ヴィータはカインの提案に少し考えるような素振りをすると部屋にあったソファーへと視線をむけて口元を緩ませた。


「や、やっぱり、なしの方向で」


「もう遅いよ。ね」


「……諦めてください。これもフォルムのためです」


その頃にはシーマの危険察知能力は完全にヴィータを危険人物と判断しており、逃げ出そうとする。

しかし、ヴィータの機嫌を取れるかでワームの有力者であるエクシード家とのつながりができる事もあり、ジークとカインは彼女の両脇に移動して彼女を捕まえた。


「は、放しなさい!? あの人は危険です!!」


「大丈夫ですよ……性的には普通らしいんで新しい世界は開けないと思います」


「さあ、診察を始めよう」


2人に取り押さえられたシーマは首を大きく横にするが、ジークとカインは彼女をソファーの上に運ぶ。

ソファーに座らされたシーマは顔を引きつらせるとヴィータは口元を緩ませながら彼女の上に覆いかぶさり、部屋にはシーマの悲鳴が響く。


「……カイン様」


「問題ないよ。ジーク達の報告だと見た目は変態そのものだけど腕の良い人らしいから、後、この人次第でこの間、豊かになった土地が使えるかどうか決まるから」


「どう言う事ですか?」


シーマに覆いかぶさるヴィータの姿は明らかにおかしく、フォトンは眉間い深いしわを寄せた。

カインは問題ないと笑うと彼女の機嫌を取る事は必要な事だと言うがヴィータの正体を知らないフォトンの眉間にはしわが寄ったままである。


「えーと、簡単に説明します」


「……あなた達は何をしているのですか? カイン、遊んでないで仕事に戻ってください」


「そうだね。ジーク、説明とかは任せるよ。俺は忙しいから」


フォトンの疑問に答えようとジークが手を上げるとその時、ドアが開き、騒ぎは廊下まで響いていたようで眉間にしわを寄せたセスが入ってくる。

セスはシーマに襲い掛かっているヴィータの様子に状況がつかめないようで彼女の眉間のしわはさらに深くなるものの、カインに領地運営をさせなければいけないと判断したようで口から言葉を捻り出す。

彼女の言葉にカインは逃げる口実を手に入れたと思ったようでジークに厄介事を押し付けると早々に部屋を出て行き、セスとフォトンの視線はジークに集まった。


「……あいつ、逃げやがったな」


「ジーク、説明していただけますね」


「わかっています。シーマさんに襲い掛かっているのはヴィータ=エクシードさんです」


閉まったドアを見てジークは大きく肩を落とすとセスは大きなため息を吐いた。

セスの追及にジークは困ったように頭をかくとヴィータの名前を2人に教える。

フォトンは初めて聞いた名前に首を捻っているがセスは彼女の事をミレットから聞いているため、顔を引きつらせてしまう。


「リックさんの言葉を信じれば問題ないそうです……そうであって欲しいです」


「……ノエルもセスさんもきっと、目を付けられるからね」


「わ、わたしは遠慮します」


セスの表情にノエルはシーマの安全を保障すると言うが彼女自身、信じ切れて居ないようでその表情は引きつっている。

フィーナは1度、体験しているせいかどこか余裕があるようで次は2人の番だと笑うとノエルとセスは大きく首を横に振った。


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