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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第886話

「ヴィータ=エクシード? ……ヴィータ=エクシード、何だろうね。おかしなところでいろいろとつながるね」


「……何だ。その何かありそうな言い方は」


アノスと合流してフォルムに戻ったジーク達はカイン達にリックが頼み事を聞いてくれた事を話す。

その中でリックの友人である『ヴィータ=エクシード』の名前も伝えた。

その名前にはカイン、セス、アノスの眉間には深いしわが寄り、ジークは何かあるのかと首を捻る。


「エクシード家はエルア家に次ぐ、ワームの名家ですよ。現当主はレギアス様ともギムレット様とも付かず、離れずと言う感じですね」


「……リックさん、ずいぶんと大物と知り合いだったわね」


「ジークとフィーナは忘れているかも知れないけど、リック先生は医者にならなかったらルッケルの領主様だからね」


ミレットはヴィータの名前に聞き覚えがあるようでジーク達にエクシード家の事を説明するとフィーナは眉間に深いしわを寄せた。

フィーナの言葉にジークも同じ事を思っているようで苦笑いを浮かべているとカインは2人の様子に大きく肩を落とす。


「そうなんだけど……ほら、威厳とかまったくないだろ」


「……それに関して言えば、お前達の周りに居る人間のほとんどが威厳など見せていないだろう。しかし、あの医者が領主だったかも知れないのか」


「そうなるね……まぁ、向いてないだろうけど、領主としての適性を考えるとアズさんの方が向いていると思うよ」


カインに指摘されてジークは気まずそうに視線をそらすと自分のせいではないと言う。

彼の言葉にアノスはため息を吐くが、ジークの周囲の王族や有力者達が特殊なのだと言い、カインはアズが領主を継いでくれた方がルッケルにとっては良かったと意見する。


「……それに関して言えば、同感だな。自分の事もできないから、すぐに死にそうだ」


「もう少し、自分の身を省みて貰いたいよね」


「それに関して言えばカインも言えないと思いますけど」


ジークは訪れる度に死にそうになっているリックの姿に領主の仕事をしていればすぐに身体を壊すのではとため息を吐く。

カインもジークに同感だと言いたいようで苦笑いを浮かべるが、カインも忙しくなると自分を省みない事も多いため、セスは彼をジト目で見る。

彼女の視線にカインはわざとらしく知らぬふりをし、2人の様子を見てミレットはくすくすと笑う。


「しかし、お前達が懇意にしているリックと言う医師がエクシード家の令嬢と知り合いならば」


「ヴィータさんってやっぱり、女性なんですね。実はリックさんにもそう言う人が居たんですね」


「……ノエル、落ち着け」


アノスはリックとヴィータに交友関係があると聞き、そこからエクシード家を味方に引き入れられないかと考えたようだが、言葉を選ばなかったせいかノエルの好奇心に火が点く。

彼女は2人の間に恋愛的な何かがあると勝手に決めつけ、らんらんと目を輝かせるノエルの様子にジークは大きく肩を落とす。


「残念ながら、そんな話は聞いた事がありませんね。ヴィータさんは確かにお綺麗なんですけど、浮いた噂はワームにいる時も聞きませんでしたし」


「そこにはきっといろいろと秘めた物があるに違いません!!」


「……ノエルさん、少し、落ち着いてください」


ワームで育ったミレットはヴィータの情報を少し持っているようでノエルの考えを否定しようとするが、すでにノエルは聞く気などなくなっており、拳を握り締めて主張する。

その様子にジークは若干、引いているようで彼女相手に敬語で落ち着くように言い、彼の様子にカインは苦笑いを浮かべた。


「ノエル、少し落ち着きなさいよ。ミレットさん、リックさんがそのヴィータって人は変わり者って言っていたけど、何か知らない?」


「えーとですね。私はお会いした事が無いので事実かはわからないのですけど……」


「……なんかイヤな予感がするんだけど」


フィーナはノエルに一応、声をかけるものの、相手をする気はないようでミレットにヴィータの話を聞く。

ミレットは噂程度しかわからないと言うが、あまり良い噂を聞いていないのか彼女にしては珍しく歯切れが悪く、彼女の様子にジークは眉間にしわを寄せる。


「とりあえず、話してくれるかな? 情報が少ないと対策もとれないし」


「そうですね。これはあくまで噂ですよ。ヴィータさんは可愛い年下の女の子が好きで屋敷には若いメイドをはべらせて夜な夜な楽しんでいると」


「……聞かなければ良かったわ」


カインもあまりヴィータと言う人物の情報をつかんでいないようでミレットに話すように促すとミレットは噂だと強調した後、ヴィータが特殊な性癖があると言う。

その言葉におかしな好奇心に火を点けていたノエルも固まってしまい、フィーナは心の底から聞いた事を後悔したようで眉間に深いしわを寄せた。


「待て。ほら、うちにはセスさんみたい特殊な性癖もある人も居るし」


「待ってください。私は可愛い物が好きなだけであって、ヴィータさんは私と違い真正の変態です。一緒にしないでください!!」


「……いや、ジークが言っているのは可愛い物(そっち)ではなく、カイン=クロークを選ぶと言う被虐性(特殊な性癖)の事を言っているんだろう」


ジークはいろいろな人間が居ると理解を示そうとセスを例にして言うが、その言葉にセスは一緒にしないで欲しいと声を上げる。

しかし、彼女が主張したい事とジークが言いたかった事は異なっており、アノスは眉間にしわを寄せながらジークの言葉を代弁するとジークが何を言いたいか理解していたのかカインとミレットは困ったように笑う。


「まぁ、その噂が事実かは確かめる必要があるね。リックさんの学友って事は年上だし、下手したら捕食対象になる可能性も高いから、アノス、悪いんだけど」


「……ああ、ワームに戻ったら噂の成否を確認してみよう」


アノスの言葉やカイン達の反応にセスの顔は怒りで真っ赤に染まって行くと怒りをぶつける先を探しているのかカインを睨み付けるが、カインは誤魔化すように笑うとぱんぱんと手を叩き、これからワームに戻るアノスに情報収集をお願いする。

カインの願いにアノスは頷くがカルディナはクーに嫌われて今も放心状態であるため、いつになったらワームに戻れるかわからずに大きく肩を落とした。


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