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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第876話

「……こんなに土を集めてどうする気よ?」


「せめて、説明が欲しいよな」


カインの指示でジークとフィーナはフォルム内の土を掘り起こして行く。

フィーナは文句を言いながらも作業を続けており、ジークは説明がない事に苦笑いを浮かべる。


「だいたい、他にも手伝ってくれる人が居るなら、私が力仕事をする必要がないじゃない」


「それでもお前の方が腕力あるからな」


「何ですって?」


バカ騒ぎしている領民以外でジーク達の手伝いを買って出てくれる領民達も多く、カインの指示で多くの領民が動いてくれており、フィーナは人手が足りていると言いたいのか頬を膨らませた。

彼女の言い分もわかるジークだが、手伝いを買って出てくれた領民はお年寄り達が多く、ジークは口ではなく手を動かせとため息を吐く。

その言葉にフィーナはジークを睨み付けるがジークは気にする事無く、手を動かしている。


「フィーナ、ケンカを売らない。おかしな事をするなら、1番、面倒なところに行かせるよ」


「どこから湧いて出てくるのよ」


フィーナはジークにつかみかかろうとするがその手をカインがつかむ。

突然、現れたカインの顔にフィーナは声を上げると力一杯にカインの手を振り払う。

フィーナに振り払われる前にカインは手を放す。


「順調?」


「何をしているか説明もされていないから、順調かどうかもわからない」


「それはダメだね。もう少し理解しようと頭を使ってよ」


フィーナでは話にならないと思っているカインはジークへと視線を向ける。

ジークはため息を吐くとカインに説明を求めるが、カインはジークやフィーナが頭を使ってくれない事に不満だと言いたいのかため息を吐いた。


「それは悪かったな。それより、こんなに土を集めてどうするつもりだよ?」


「色々とね。儀式を行った土を他に移せばどうなるかとかね?」


「そうか……」


ジークは納得が行かないようでため息を吐くと説明をするとように言う。

カインは全てを説明するのは無駄だと判断しているようで簡単に説明するとジークは聞いて後悔したのか頭をかいて視線をそらす。


「聞く必要があったかい?」


「……悪かった」


「それで、私達はいつまでここで土掘りしてれば良いのよ?」


彼の反応にカインは小さくため息を吐くとジークは消えそうなくらいの小さな声で謝る。

その様子にカインは口元を緩ませるとフィーナはもう働きたくないと言いたいのか口を尖らせて言う。


「もう良いでしょ。汗かいて気持ち悪い。水浴びしたい」


「……駄々をこねるな」


「何でよ。私達、ジオスで遺跡の中まで行っているのよ。働き過ぎよ」


フィーナは限界だと言いたいようで駄々をこね始め、彼女の様子にカインは苦笑いを浮かべた。

彼女の声に領民達の視線が集まり始め、ジークは恥ずかしくなってきたようで眉間にしわを寄せて言う。

しかし、フィーナは限界だと言いたいようでジークの言葉に従おうとはしない。


「……困ったね。どうしてここまで子供なんだろう」


「村の人間が甘やかすからだろ」


「……あなた達は何をしているんですか?」


駄々をこねるフィーナの姿にカインは大きく肩を落とすとジークはジオスのお年寄り達の顔を思い浮かべたようで大きく肩を落とした。

彼の言葉にカインは納得したようで頭をかくと騒ぎに気が付いたようでセスが顔を覗かせると3人の姿を見てため息を吐く。


「セス、お疲れ様」


「ええ、それでカイン、フィーナは何をしているんですか?」


「疲れたから休ませろって」


セスはカインの言葉に相槌を打つとフィーナを指差して聞く。

カインは苦笑いを浮かべて答えるとセスは呆れたようで眉間にしわを寄せるが何かを決めたようで小さく頷いた。


「仕方ありませんね。フィーナは屋敷に戻ってください」


「良いの? ダメって言っても帰るわよ」


「セスさん、良いんですか。人手が足りないんですよ」


セスが決めたのはフィーナを屋敷に戻す事であり、その言葉にフィーナは笑顔を見せるとすぐに帰る準備を始め出す。

嬉々として帰宅の準備を始めるフィーナの姿にジークは指差しながらセスに理由を聞く。


「ここまでなっては仕方ないでしょう。手伝ってくれている方達への士気にも関わりますから」


「それなら、俺も」


「ジークはダメです。フィーナが働かない分、働くのはジークの役目です」


セスはどうしようもないと大きく肩を落とすとジークは自分も働きっぱなしだったからと言って帰ろうとする。

そんな彼の肩をセスはつかむともう一頑張りしろと言いたいのか満面の笑顔で言う。


「そう言うのはカインの仕事じゃないか? 兄貴なんだし」


「ジークの仕事です」


「わかりました」


ジークは自分の仕事ではないと言って逃げ出そうとするがセスからは笑顔で圧力がかけられる。

その圧力にジークは逆らえなかったようで大きく肩を落とすとカインは2人の様子を見て楽しそうに笑う。


「それじゃあ、フィーナは1度、戻っても良いけど、他にも働いている人間がいるんだからね。着替えたら前領主の屋敷に行く事」


「イヤよ。私の仕事はもう終わったわ」


「来ないなら、来ないで良いけど後で文句は言わないでよ」


カインは手を叩き、視線を集中させるとフィーナに後で合流するように指示を出した。

フィーナはもう自分の仕事は終わったと言いたいようですぐに拒否する。

彼女の言葉にカインは突き放すように言うといつもと違うカインの物言いにフィーナは何かあるのかと悩みだす。


「……何かあるんですか?」


「カインの事ですから、フィーナの好奇心をくすぐっているだけでしょう。実際に、まだ人手がいる事は確かですからね」


「単純にだまされているだけか」


悩むフィーナの姿にカインは口元を緩ませており2人の様子にジークはセスに意見を求める。

セスはカインがフィーナをだましていると判断したようでため息交じりで答えるとジークは眉間にしわを寄せた。


「とりあえず、ジーク、私を手伝って貰えますか? 夜も遅くなってきていますから、他の方達に無理をさせるわけにもいきませんし」


「わかりました。さっさと終わらせましょう」


セスは遊んでいる時間は終わりだと言いたいようでジークについてくるように言う。

彼女の言葉にジークはカインやセスは調査が残っているため、また徹夜でもしそうな気がしたようで手伝える事は手早く終わらせようと考えたようで素直に頷いた。


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