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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
875/953

第875話

「あれ、レインは?」


「どこかに連れて行かれた」


「レインも大変だね」


カイン達と合流するとレインの姿がない事にカインが気づく。

ジークはレインが連れ去られる姿を思い出して首を横に振るとカインは察してくれたようで苦笑いを浮かべる。


「セスは片付けの指示を出しているんだよね?」


「ああ、おかしな事に巻き込まれなければ良いけどな」


「そうですね。皆さん、お酒が入っていますから」


カインはセスが何をしているかは想像がついていると言いたいようで確認するように聞く。

ジークとノエルは儀式の中央に居座っていた人達の様子を思い出し、難しい表情をするとカインは困ったように笑う。


「それで、私達を呼んで、何をしたいのよ? 実験は成功したの?」


「それを確認したいんでしょう」


「……何よ?」


フィーナはいつまでも付き合っていられないと言いたげに本題に移りたいようで儀式の結果について聞く。

彼女の言葉にシーマはくだらない事を言うなと言いたいのかため息交じりで言うとケンカを売られたと思ったようでフィーナはシーマを睨み付ける。


「……なんで、ケンカになるんだよ?」


「別にそんなつもりはありません。それより、私達はいつまで、この格好でいなければいけないのですか?」


「そ、そうです。何かするなら着替えてきても良いですか?」


その様子にジークは大きく肩を落とすと2人の間に割って入った。

シーマはフィーナの事など相手にしていないと言いたいのかどうでも良さそうに答えた後、カインを睨み付けて言う。

彼女の言葉でノエルは自分達の姿を思いだしたようで顔を真っ赤にして着替えてきたいと主張する。


「別に夜だし、暗いからじっくりと見ないと気にならないでしょ」


「そう言う問題じゃないです!!」


「ジークが喜ぶけど、ダメ?」


儀式の中心部はフォルムの民達がバカ騒ぎをするためにかがり火がたかれているがそこから離れた場所は月明かりで照らされているだけであり、カインは気にする必要などないと言う。

ノエルは見える、見えないの問題ではないと声を上げるとカインはジークをエサにするとノエルはジークの顔へと視線を向けた。


「……俺をおかしな風に使うな」


「そうだね。ジークはノエルのそう言う格好は独り占めしたいからね」


「あんた、最低ね」


ジークはおかしな争いに巻き込まれたくないため、ため息を吐くがカインは口元を緩ませて彼をからかう。

彼の言葉にフィーナはジークを侮蔑するような視線を向け、ジークは言いがかりだと言いたいのか大きく肩を落とした。


「……なんで、俺が攻撃されないといけないんだ?」


「どうしてだろうね」


「それより、遊んでいないで早くしていただけませんか。何も決まらないのなら、私は帰りますよ」


ジークはカインへと恨み言を言うがカインは楽しそうに笑っている。

2人の様子にシーマはため息を吐くと本題に移るように言う。


「ノエル、ミレット、シーマの3人は先に旧領主の屋敷に戻っていて良いよ。後で合流するから、それと着替えは用意してあるから着替えておいて、フィーナは俺達の手伝い」


「何でよ?」


「やる事が力仕事だから」


シーマが不機嫌になっている様子にカインは改めて女性陣に指示を出すがフィーナは自分1人が残される事が不満のようで口を尖らせる。

しかし、カインは彼女の意見など聞く気がないようであり、笑顔で言いきった。


「イヤよ。そう言うのは男の仕事でしょ」


「残念ながら、俺もアーカスさんも魔術師だからね。ジークもフォトンも言いたくはないけどフィーナより、非力だから、唯一、フィーナより腕力があるレインは戻ってこないし、適材適所」


「……ジーク、レインを連れてきなさいよ」


それでも力仕事を自分はやる気などないとフィーナは駄々をこね始め、ジークは彼女の様子に眉間にしわを寄せるとカインにどうにかしろと言いたいのか目で合図をする。

カインの態度はフィーナの意見など聞く気はないと一貫しており、フィーナを逃がさないのはレイン不在も大きいと言う。

その言葉にフィーナはレインを連れてくれば自分が働かなくても済むと考えたようで人だかりを指差しながらジークに命令する。


「断る。それに助けを求めていたレインを見捨てたのはお前だろ」


「そんな事はないわよ。さっさと行ってきなさいよ!!」


「いいえ、フィーナさんが助けを求めていたレインを見捨てて1番最初に人だかりから出て行きましたよ。フィーナさんがレインを助けていればこんな事にならなかったんじゃないでしょうか?」


ジークは付き合っていられないと言いたいようで首を横に振るが、フィーナはジークの言葉に声を荒げて言う。

そんな彼女の様子にミレットは柔和な笑みを浮かべて言うとフィーナは予想していなかったミレットからの言葉に動きを止めた。


「そ、そんな事は無いわよ。だいたい、あれくらいなら振り払って来られるでしょ。それに私が行くとまた面倒な事になるからイヤよ。ジークが助けてきたら良かったのよ!!」


「ジークはレインより、ノエル優先でしょう。ノエルの場合、しっかりと手を引いてあげないとあの人だかりでは流されて行ってしまいますから」


「ノエルはどんくさいからね」


自分は悪くないと言うと彼女はジークに責任を擦り付けようとするがミレットは笑顔のまま、ジークの行動は間違っていないと答える。

カインはノエルが1人で人だかりを出る事は不可能と考えているようで大きく頷くとフィーナもノエルの運動能力の無さを知っているためか、彼女へと視線を1度向けた後、眉間に深いしわを寄せた。


「……それでもジークならどうにかできたでしょ」


「無理だな。ノエルの運動神経の無さはフィーナも知っている通り、絶望的だ」


「わたし、そこまで鈍くないです!?」


フィーナの頭でもノエルが人だかりで流されて行く姿は容易に想像がついたようで険しい表情をしながらも力仕事はやりたくないため、ジークに責任を擦り付けようとする。

彼女の言葉をジークは即座に否定するとフィーナは諦めたようで大きく肩を落とした。

ノエルは聞こえていた話に不満げに声を上げるが誰からも彼女を肯定する言葉は出てこない。


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