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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
869/953

第869話

「……完全にお祭り騒ぎですね」


「そうだな」


「騒ぎ過ぎて、また禁酒命令が出るんじゃないかな?」


ジークとカインが歩いているとレインが2人を見つけて声をかけてくる。

フォルムの民達がバカ騒ぎを始めている様子にレインは苦笑いを浮かべており、ジークは巨大蛇の肉で朝まで騒いでいた時の事を思いだしたようで大きく肩を落とした。

先日の騒ぎで多くの家庭では主人に禁酒命令が出ており、酒に弱いカインは禁酒命令には賛成のようで願うようにつぶやく。

飲酒は彼にとっては数少ない弱点であり、彼の姿にジークとレインは顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。


「それで、カイン、精霊達に力を貸して貰うって何をするんだ?」


「ジークは魔吸石に魔力をためる時に手伝ったんでしょ。同じようなものだよ」


「同じようなものか? それなら、良いけど……ノエルもシーマさんもいないけど大丈夫なのか? あの時は5人いたんだけど」


カインの表情が晴れないため、ジークは話を戻そうとこれからの手順を確認する。

その質問に勘はさほど難しい事ではないと答えるとジークは頷くものの、ジオスの遺跡ではノエルとシーマが居た事もあり、代わりが居るのかと聞く。


「そうですね。ノエルさんもシーマさんも優秀な魔術師ですからね。代わりを探さないといけないですね」


「1人はカインがいるけど、冒険者にでも頼むのか?」


「大丈夫だよ。レインがやってくれるから」


レインはジークの話しから魔術師が必要だと察したようで首を傾げるとアーカスとフォトンを入れても1人足りないと言う。

2人の疑問にカインは笑顔でレインの肩を叩くと、予想していなかったようでレインは眉間にしわを寄せるとしばらく考え込む。


「……冗談ですよね? 私は騎士であって魔術師ではありませんよ」


「別にレインに魔法を使えって言っているわけじゃないよ。必要なのは魔導機器を使えるくらいの魔力を制御できる人間だから、魔法陣の基点に魔力を通すのに必要なだけだからね」


「そうなんですか?」


カインの考えには無理があると言う結論が出たようで言葉を捻り出すが、カインは心配ないと笑う。

レインはカインが本当の事を言っているか判断できないようで眉間にしわを寄せる。


「魔法陣の基点だって言うなら、そう言う道具があるんじゃないのか? 火竜の瞳もそう言う風に使われていたわけだろ」


「ない事はないけど……お金がないんだよ」


「そうか……それは仕方ないな」


ジークは魔法陣の基点と聞いてジークはフィアナの村の事件を思いだしたようで火竜の瞳を例に挙げる。

カインはその言葉を肯定するものの、道具で行うと場合はかなりの費用が掛かるようで遠い目をして答えるとジークとレインはフォルムの財政状況を理解しているため、頷く事しかできない。


「セスさんがあんな格好までしてくれた理由がわかった」


「苦労をかけているよね」


「そう思うなら、少しは労ってやれよ」


生真面目なセスが踊り子のような衣装を着ていた理由がジークは理解できたようで大きく肩を落とす。

自覚があるようでカインが苦笑いを浮かべるとジークは眉間にしわを寄せて言う。


「俺はちゃんと労っているよ。いろいろな方法で」


「その方法は聞かない事にしておく」


「それで、カイン、いつまでここに居るんですか? なんか、おかしな感じになってきているんですけど」


カインはセスを労っていると笑うとその笑顔にジークは触れてはいけない事だと思ったようで苦笑いを浮かべて距離を取った。

同様にレインも追及しない方が良いと考えたようで話を儀式の準備に戻そうとする。


「そうだね。あまり遅くなるとセス達の身も心配だし、時間も近いし、準備に移ろうか? アーカスさんに怒られたくないしね」


「……それより、あれはあのままで良いのか?」


「一応、警備の件はオクスさんに頼んであるよ」


儀式までは時間がまだあるようだが、準備する事はまだあるようでカインはアーカスの元に行こうと歩き出す。

ジークとレインは頷くものの、完全にお祭り騒ぎになって騒いでいる者達を指差すとカインは対策を取ったと答えるが先日は騒ぎの中心だったオクスでは騒ぎが広がるだけではないかと言う疑問が残る。


「大丈夫か? オクスさん、先頭切って騒いでそうだぞ」


「そうですね」


「大丈夫だよ。今回はバカ騒ぎしている人達もいるけど、フォルムの事を考えての公務だからね。それくらいの分別はつくよ」


ジークとレインはどうしても不安のようで先を歩くカインに声をかけるがカインは振り返る事無く、心配する必要はないと言う。

その時、3人の視線の先にバカ騒ぎの様子を冷めた目で見ているアーカスと騒ぎをどうにかしたいようで友人達に協力を要請しているフォトンの姿を見える。


「……遅い」


「申し訳ありません。協力してくれる人達もいるので指示を出していました」


「そうか……代わりはお前達がやるのか」


3人に気が付いたアーカスは鋭い視線を向けるが、カインは笑顔でその非難を交わす

彼の態度に言うだけ無駄だと判断したのか、アーカスは本題に移ろうとする。

アーカスの質問にカインはすぐに頷くが、レインは自分で本当に良いのか自信がないようで迷っているのか頷く事ができない。


「違うのか?」


「いえ。レインが努めますよ。その方が都合も良いですからね」


「都合? ……お前、また何かを企んでいるのか?」


返事がないため、アーカスは再度確認するよう聞くとレインの代わりにカインが返事をする。

その言葉にジークは何か引っかかったようで首を捻るとカインは小さく笑みを浮かべた。


「企んでいるって言うのは言葉が悪いよ。こういう儀式をやると大なり小なり、おかしな噂が周辺に広がるからね。俺達でやった方が良いんだよね。協力させられた人に何かあったら困るだろ。身内なら対応策も立てやすい」


「それに人数をかけて派手な儀式をやっているように見せれば、魔吸石の事を隠す事もできるだろう。形見を盗まれるような事は避けてやりたいからな」


「ありがとうございます」


カインは大掛かりな儀式をやる事で周辺からの密偵への対策をしていると笑う。

それ以外にも高価な魔吸石をシーマのために守ると言う名目があるようでアーカスはカインの言葉を補うように言う。

それを聞いたフォトンはカインに向かい深々と頭を下げるとカインはアーカスが補足した部分は話したくなかったようで気まずそうに頭をかいた。


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