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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第863話

「……なんで、発動しないのよ?」


「むしろ、なんで発動できないかがわからないね」


魔導機器の話が一段落した後、アーカス、フォトン、シーマの3人は帰宅してしまう。

アノスとカルディナもそろそろ、ワームに戻す必要があるため、カインの指示でジークがフィーナとアノスを引っ張ってくると2人とも練習していたにも関わらず、1度も魔導機器を発動できていないようである。

フィーナは殺気を放ちながら魔導機器を眺めており、その様子にカインは大きく肩を落とす。


「できる方がおかしいのよ!!」


「……いや、できるだろ」


「できない方がおかしいですわ」


自分のせいではないとフィーナは魔導機器をジークに投げつけた。

ジークは魔導機器を受け取るとため息を吐きながら、魔導機器に魔力を流し込むと魔導機器は淡い光を上げ始め、彼女の顔は引きつって行く。

その様子にカルディナはクーと遊べない苛立ちをフィーナで発散しようとしたようでゴミクズを見るような目で見下す。


「何で、あんたができるのよ!!」


「……俺はお前ができない理由を聞きたいよ」


「フィーナは感覚でやっているんだから、頭で考えたらダメなんだよ」


カルディナの視線にフィーナは怒りの表情を露わにするが、魔術師である彼女に魔導機器の事では歯が立たない事は理解しており、八つ当たりのようにジークに当たり散らし始める。

彼女の様子にジークは鬱陶しいと言いたげにため息を吐くと魔導機器を、彼女の手に戻す。

フィーナは負けるわけにはいかないと魔導機器を睨み付けると力むが、そんな事では魔導機器に魔力が通るわけもない。

その様子にカインは呆れたようにため息を吐くと懐から5つもの魔導機器を取り出し、テーブルの上に並べると魔導機器に手をかざし、触れる事無く、魔導機器に魔力を流し込んで行く。

魔導機器は手をかざした順に淡い光を上げて行き、その様子にフィーナとアノスの顔は引きつる。


「……お前は人のプライドを打ち砕かないと気が済まないのか?」


「プライドを打ち砕かれて成長するなら、それは良い事だよね」


「だからと言って、やりすぎです」


カインの行動にジークは大きく肩を落とすとカインは手を引っ込めた。

カインの手が離れると魔導機器が発動するほどの魔力がなくなったようで光は失われて行き、その様子を眺めながら彼は楽しそうに笑っている

彼の言葉にはセスも納得できる事があったようだが、カインのやり方には納得ができないようでため息を吐く。


「そうは思わないけどね。この程度の事はコツさえつかめば、誰にだってできるし、クー」


「クー?」


「……そして、追い打ち」


カインはこんな事は誰にでもできると言いたいようでクーを呼ぶ。

クーはカルディナを警戒しながらもカインの下に移動するとカインはクーに何やら耳打ちをする。

その言葉にクーは理解できているのか、大きく頷くとテーブルの上に並べられた魔導機器の横を歩いて行き、クーが動くのに合わせて魔導機器は光を放つ。

魔導機器がクーの動きに合わせて光を上げる様子にフィーナとアノスの心は完全に打ち砕かれたようで床に膝から崩れ落ちてしまう。

ジークは完全にやりすぎていると思ったようで大きく肩を落とすが、クーはジークに褒めて貰いたいようで何度も魔導機器に魔力を流し込む。


「……可愛いですね」


「はい」


「下手に動くとこの様子が見えなくなりますよ」


クーが頑張っている姿はノエル、セス、カルディナの3人にはかわいすぎたようで手を握り合って見ている。

3人の様子にミレットは苦笑いを浮かべて忠告すると3人はどうしてそんなひどい事を言うのかと言いたげな視線を彼女に向けた。


「……クー、危険だからこっちにこい」


「クー」


「良くやった。良くやった」


このままではクーがまた3人に追い掛け回されると思ったジークはクーを呼ぶ。

クーはジークが褒めてくれると思ったようで嬉しそうにジークの腕の中に飛び込み、ジークは期待に答えておいた方が良いと考えているのかクーの頭をなでた。

ジークに頭をなでられてクーはご機嫌のようで鼻を鳴らすがクーの可愛い姿を見られなくなった3人からは彼を非難するような視線が向けられている。


「……俺にどうしろと?」


「ジークは大変ですね」


「あの、カイン、どうして、クーまでこのような事ができるんですか?」


3人の視線にジークはクーを抱きしめたままため息を吐くとミレットは楽しそうに笑う。

そんななか、レインはクーが魔導機器に順に魔力を流し込めるのが不思議のようでテーブルの上の魔導機器を覗き込む。


「そりゃ、クーは幼いけどドラゴンだからね。息を吐くように魔力を放っているから、これくらいの事は簡単にできる」


「……それは言い方を変えればただの嫌がらせじゃないのか?」


「フィーナもアノスもクーがそんな事をできると思ってないからね。見せて置こうと思ってさ。それにアノスを少し静かにしないとワームに戻れないだろ」


カインはテーブルの魔導機器を懐にしまいながら、当たり前の事だと笑う。

当たり前と聞いてしまうとカインの行動は嫌がらせにしか思えなく、ジークは眉間に深いしわを寄せた。

カインは完全に心がおられてしまった2人へと視線を向けると自分でもやりすぎている事は理解しているようで苦笑いを浮かべる。


「そうかも知れないけど……今度はカルディナ様をどうにかしないといけないんじゃないか?」


「……カルディナ様、そろそろ、ワームに戻ってください」


「お兄様、お願いです。クーちゃんを、クーちゃんを抱きしめさせてください!!」


静かになったアノスの様子にジークは頷きかけるが、転移魔法を使えるカルディナの方が役立たずになったと首を横に振った。

カインも少し失敗したと理解しているようでカルディナを説得しようとするが、カルディナの目にはすでにクーしか映っておらず、カインに懇願すると彼女に続き、ノエルとセスが手を上げる。

3人の様子にカインは冷静になるように声をかけるが、彼女達は聞く気はないようでカインに詰め寄り、カインはジークに助けを求めるように視線を向けた。

しかし、ジークは自業自得だと言いたいようでクーを抱いたまま、首を横に振る。


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