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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第862話

「……冒険者を雇うか?」


「どうして、そんな答えに行きつくんですか?」


「いや、良く忘れられるけど、俺は薬屋兼医師見習いだからな。そんな本格的な冒険は無理。本職に任せた方が安全だろ」


しばらく考えたジークは現実的ではないと判断したようで冒険者を雇うと言う答えに行きつく。

その答えにセスは眉間に深いしわを寄せる。

彼女はこんな時にふざけるなと言いたげであるが、ジークにはジークの言い分があり、苦笑いを浮かべて首を振った。


「それは確かにそうかも知れませんが……」


「冒険者を雇うのは現実的じゃないよ。さっきも言ったけど、魔吸石はそれだけでもかなり価値のある物なんだよ。今まで積み重ねてきた信頼関係も投げ捨てても良いと思うくらいにね。欲に目を奪われて持ち逃げしようって考える冒険者は絶対に出るよ。魔吸石を誰かに預けるなんて事、シーマはしないだろうし、そうなると持ち主を殺して奪うって考える人間も出る可能性もあるしね」


「……そんな事が起きるのか?」


彼の言い分にセスは頷くが納得が行かないようで眉間にしわを寄せたままであり、カインはジークの説得をしようと考えたのか冒険者を雇う事のデメリットを説明する。

ジークは自分で商人だ、利益重視だと口には出しているが口先だけであまり深く考えていない事もあり、カインが心配している事が理解できないようで首を捻った。


「これだから、自称商人は」


「誰が自称だ。俺は正真正銘の薬屋だ」


「俺の中では趣味で魔導機器を作って、シルドさんの店に下ろしているアーカスさんとジークは同じ扱いだよ。ただ、現状で言えば、ジーク達にそこまで行って貰う余裕はないんだよね」


カインはジークが現実的ではないと言いたいようで呆れたように言うとジークは彼の言葉が癪に障ったようで不機嫌そうな表情をする。

彼の言葉をカインは鼻で笑った後、表情を引き締めると魔吸石に魔力をために行くヒマはないと言う。


「……なぜですか?」


「単純に時間がかなりかかるんだよ。ワームのもめ事にジークが必要になる可能性だって充分に考えられるし、転移魔法で移動できる場所から俺でも20日以上かかる。ノエルなんて連れて行ったら……大変だよ」


「……たどり着ける気がしないな」


フォトンはフォルムの土地を豊かにできる可能性がある物を後回しにする理由がわからずに眉間にしわを寄せて聞く。

カインはワームで何か起きた時にジークは重要な位置にいると考えており、何か起きた時にジークが居ないのは問題があると考えているようで小さく肩を落とす。

フォトンを納得させるために参考程度にと自分がそこまで行った時の時を思い出すとノエルの体力の無さを計算した場合にたどりつける気がしなかったようで眉間には深いしわが寄った。

カインの様子から、ジークは道のりが大変だと理解したようで大きく肩を落とすとフォトンは納得が行かないようで眉間にしわを寄せたままである。


「カインの言いたい事もわかりますが、せっかく、希望が見つかったんですから」


「そうなんだけどね。それに俺達は勝手に魔吸石に魔力をため込む話をしているけど、持ち主の意思を聞いていないよ。俺は母親の形見を取り上げるような悪徳領主にはなりたくないからね。他に使える方法を探すよ」


「……確かにそうでしたね。申し訳ありません」


ジークが不在の時間が長くなる事に問題がある事はセスにも理解できているのだが、貴重な魔吸石を使って見たいと言う魔術師としての彼女の考えもあるようで2つの考えの間で揺れているようで眉間にしわを寄せている。

彼女の様子にカインは苦笑いを浮かべると持ち主の意見をまったく聞いていないと言い、シーマを指差した。

カインの指に導かれてシーマに視線が集中するとセスは失念していたと深々と頭を下げて謝罪する。


「別にかまいません。ただ……悪徳領主ですよね?」


「間違いなくな」


「……それは今、言う事ではないと思いますよ」


シーマは謝る必要はないと首を横に振るもカインの言葉に納得が行かない事があったようでカインへと鋭い視線を向けた。

彼女の言葉にジークはその通りだと言いたいのか大きく頷くとレインは今、話す事ではないのではとため息を吐く。


「そうだね。それに魔導機器の本体の修理だってそれなりに時間がかかるだろうし、他に使える魔石や精霊石だって見つかる可能性だってある。それにアーカスさんも言っていたけど、魔力で土地を豊かにできたとしてもそれは一次的な物でしかないんだよ。突然、魔力が切れてしまった時に困るよりは長い目で見て、土壌を豊かにしていった方が実りはあると思うよ」


「確かにその通りなんだけど……それを言ったら、ここ最近の俺やフォトンさんの働きって何だったんだ?」


「それは言わないお約束。それに無駄な事なんてないと思うよ。経験って言うのは後々、何かしらで役に立つからね」


周囲の反応にカインは苦笑いを浮かべると魔導機器の修理にも時間がかかる事もあり、急ぐ必要はないと言うと最も大切なのは魔導機器に頼らずに土地を豊かにする事だと笑う。

その通りだとこの場にいた全員が頷くものの、ジークは白い花の群生地を見つけた後の自分達の行動が全て否定されたような気がしたようで眉間に深いしわを寄せた。

彼の言葉に魔導機器が使えないと状況も重なってかフォトンの表情は暗い、カインは2人の様子に困ったように頭をかくが、話を上手くまとめようとする。


「……とりあえず、騙されておくか?」


「そうしておきましょうか……」


「……小僧、明後日の夜、このラミア族の小娘をジオスに連れて来い」


ジークとフォトンは顔を見合わせた後、仕方ないと言いたげに苦笑いを浮かべた。

その時、話に参加せずに魔導機器をいじっていたアーカスが口を開く。


「なぜ?」


「……お前達はどれだけの魔力を魔吸石に注ぎ込むつもりだ? 魔導機器の起動実験をするなら、大量に魔力をため込む必要などない。起動するくらいの魔力をため込めれば何度か実験を繰り返せば良い」


「確かに……」


言葉の意味がわからずに首を傾げるジークにアーカスは眉間にしわを寄せる。

彼の言葉にカインとセスは魔吸石に魔力をため込む事しか考えていなかった事に気が付き、気まずそうに笑う。


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