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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
860/953

第860話

「……素敵なのか?」


「大切な人からのプレゼントを大切にしていたいと言うのはあると思いますよ」


「まあ、誰かの手に渡っている可能性はあるよね」


ノエルの熱さにジークはどう反応して良いのかわからずに眉間にしわを寄せた。

セスは気持ちがわかると言いたいのか小さく頷くとカインへと視線を向けるがカインはその視線をさらりと交わすとノエルに言う可能性も高いと笑う。


「そうなるとフォルムの人以外にもわたっている可能性だってあるだろ……見つかる気がしないな」


「そうですね」


「しかし、ノエルの話はどこから出てくるんだ? ……いや、やっぱり、言わなくて良い」


ジークは探す範囲が広がったと考えたようで大きく肩を落とすとレインは同調するように頷く。

ノエルの発言から探索範囲が広がった事にジークは疲れたと言いたげにノエルへと視線を移すとノエルは誰かに話したいのか目はらんらんと輝き始めた。

彼女の様子にジークは失敗したと表情をしかめるがすでにノエルは話す気になっているようで何から話そうかと考え始めている。


「……ジーク、私は付き合っていられないわよ。もう疲れたわ」


「お、俺だって付き合いたくない……カイン、どうにかしてくれ」


「うーん。でも、ノエルの話は少し興味があるんだよね。もしかしたら何かヒントがあるかも知れないしね」


シーマは先ほどまでノエルの相手をしていた事にかなり疲弊しているようで首を横に振った。

ノエルは顔を引きつらせながら言うとカインに助けを求め、カインは少し考え込むとシーマへと視線を向ける。


「……何ですか?」


「ノエルがここまで言うって事は少し前に似たような話を聞いたからなんじゃないかな? ってね」


「……それは魔導機器のコアをシーマ様が持っていると言う事でしょうか?」


カインの視線に怪訝そうな表情をするシーマ。

カインは苦笑いを浮かべるとノエルの話の大元がどこにあったのか気になったようである。

彼の言葉にフォトンは首を傾げるとカインは小さく頷いた。


「でも、シーマさんは思い出なんて特にないって言って……形見か?」


「心当たりがあったみたいだね。できれば見せて貰いたいんだけど」


「……魔導機器に使えそうな物には見えないですよ。魔力自体も感じませんし」


ジークは魔導機器を探していた時の彼女の反応から首を捻っているが、しばらく考えると心当たりがあったようでポンと手を叩く。

カインはジークから証言が取れた事にくすりと笑うと再び、シーマへと視線を移す。

彼女は母親の形見が魔導機器だとは思っていないようで呆れ顔で服の下に隠して付けていた首飾りを取り出してテーブルの上に置いた。

首飾りの中央には緑色に輝く、小さな宝石が埋め込まれている。


「少し借りるよ」


「……どうなんだ? シーマさんは魔力を感じないって言っているけど」


「ジーク、テッド先生の話だと魔導機器は魔力を失ったから、広範囲に使えなかったって話だったよね?」


カインはテーブルから首飾りを取ると緑色の宝石を真剣な表情で覗き込む。

その様子にジーク達は魔導機器のコアに使えるかカインの判断を待っている。

しばらく、首飾りを眺めていたカインはテッドの話を確認するように聞き、ジークとフォトンは顔を見合わせた後、小さく頷いた。


「アーカスさん、これ」


「……ほう。ずいぶんと珍しい石を使っているな」


「……なんか、凄いものの気がするけど、どうして不安になるんだろうな」


カインはアーカスの意見も聞きたいようで彼に首飾りを見せる。

アーカスは中央の宝石を見て、興味がそそられたのか口元を緩ませるとカインも釣られるように口元を緩ませた。

2人が同時に口元を緩ませている姿はジークにとっては悪巧みをしているようにしか見えないようで眉間に深いしわを寄せるとセスは同意を示すように小さく肩を落とす。


「どうして、疑うかな?」


「……その笑みが酷く邪悪だからです」


「そんな事はありませんわ。お兄様の笑顔はとても素敵です!!」


2人の反応にカインは不満だと言いたいようで小さくため息を吐くが、シーマもジークと同様の意見を持っていたようで小さくつぶやいた。

カルディナはカインを尊敬しているためかジーク達とは真逆の意見をだし、未だに盲目的な彼女の様子にジークは大きく肩を落とす。


「それで、カイン、シーマさんのお母様の形見には何があったんですか?」


「セスも見る? 滅多にお目にかかれる物じゃないよ」


「何なんですか? ……」


セスはこのままにしていても話が進まないため、話を戻すように言う。

カインはイタズラな笑みを浮かべると持っていた首飾りをセスに手渡した。

首飾りを覗き込んだセスの顔は小さく引きつり始め、何かを話そうとしているが、言葉が出てこないようでぱくぱくと口を動かしている。


「……なんか、凄い物みたいですけど、シーマさんは気が付かなかったんですか?」


「魔力など感じません。形見ですから手放す気などないですし、金銭的な価値には興味などありません」


「カイン、セスさんで遊んでないで説明してくれよ……」


セスの反応からジークも価値がある物だとは理解できたようだが、魔術師であるシーマが長い間、所持していたにも関わらず、価値がわからなかった理由を聞く。

魔術師3人の反応を見て、シーマは悔しそうな表情をしながらも自分は悪くないと言いたげに判断基準は魔力だったから仕方ないと言い切る。

その様子にジークは苦笑いを浮かべた時、ノエルが恋愛話の準備ができたようで目を輝かせてジークの服を引っ張った。

今、ノエルの言葉に耳を傾けては大変なん事になると思ったようでジークは彼女を無視して、カインとセスに説明を求める。


「ノエルの話を聞かなくて良いの?」


「……今はノエルの話より、その宝石の方が重要だろ。どんなものなんだよ?」


「そうだね……話が長くなるし、先に夕飯を終わらせない? 片付けとかの時間もあるし」


カインはジークとノエルの様子を見て楽しそうに口元を緩ませるとジークは首を横に振った。

夕飯の途中で話を始めたため、夕飯の手は止まっており、カインは先に夕飯を済ませようと提案し、夕飯を再開する。


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