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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
854/953

第854話

「……ジーク、そろそろ、ノエルを止めたら?」


「帰ってきて、1番最初に言うのがそれか?」


シーマがノエルに捕まってしまったため、ジーク達はノエルが担当していた夕飯の準備を引き継いでいる。

しばらくするとカインとセスがアノスを連れて帰ってきたのだが、廊下でノエルとシーマを見てきたようでジークにどうにかするように言う。

ジークは暴走したノエルを止められる気がしないようでため息を吐いた。


「他にも聞きたい事があるけど、ノエルをあのままにしているのもどうかと思ってね」


「だいたい、俺に止められると思うか?」


「ジークが耳元で甘い言葉でもささやけば、ノエルも止まるんじゃない? 他人の話より、自分の方が重要だろ」


カインはソファーに腰を下ろして考え込んでいるアーカスへと視線を1度向けた後、ため息を吐く。

ジークは何度もノエルが恋愛話で暴走している所を見ているためか、止められる気がしないと首を横に振るとカインは楽しそうに笑ってジークをからかう。


「確かに他人の話が気になるのは自分の状況と見比べている可能性もありますね」


「う……」


「……いや、ノエルの場合は単純に興味本位でしょ。それでそっちは夕飯食べてから帰るの?」


セスはノエルが我がままを言わない事にジークが甘えているのかカインの意見に同調し、ジークは気まずそうに視線をそらした。

その様子にフィーナは大きく肩を落とすと付いてきたアノスに夕飯に付いて聞く。


「俺に聞くな」


「なら、要らないわね」


「フィーナ、要らない事でケンカを売るなよ。カルディナ様がまだ帰る気ないんだから、アノスも同じだろ」


アノスはクーに飛びつくスキを探しているカルディナを見てため息を吐くとフィーナはさっさと帰れと言いたいようで彼を追い払うように手を払う。

彼女の態度にアノスの眉間には小さくしわが寄り、それに気が付いたジークは大きく肩を落とすと2人の間に割って入る。


「……むしろ、さっさと連れて帰りなさいよ」


「俺だって、できればそうしたい」


「転移魔法、覚えてみる?」


フィーナはカルディナの事も鬱陶しく思っているため、アノスにどうにかしろと言う。

アノスもカルディナに振り回されるのは我慢ならないようで眉間のしわを深くするとカインは無責任に転移魔法を覚えてみてはどうかと提案する。


「……バカにしているのか?」


「そう言うわけじゃないけど、騎士とか剣士って魔術師系の人間をバカにする事も多いけどね。魔法が使えないってわけじゃないでしょ。魔法が使えないか試すのも悪くないと思うよ。それに窮地に陥った時に魔法を1つ使えただけで状況を変える事だってできるかも知れないし。ジークもフィーナも魔法を全く使えないから、使えるだけで優位に立てるかもよ」


「……」


アノスはカインに小ばかにされたと思ったようで彼を睨み付けた。

カインは言いがかりだと言いたいのか大袈裟に肩を落とすとアノスが魔法も悪くないと思うようにささやく。

そのささやきにアノスは興味が湧いたのか小さく口元が緩む。


「……そこ、悪巧みを止めろ」


「別に悪巧みをしているわけじゃないよ。転移魔法が使える味方が増えるのはありがたいからね……カルディナ様は時折、役立たずになるし」


「クーちゃんを見せたらダメですね」


カインとアノスの様子にジークは大きく肩を落とすとカインは首を横に振った後、カルディナへと視線を向けてため息を吐いた。

カルディナの才能はカインもセスも認めているのだが、クーに骨抜きになって仕事を放り投げてしまう事も多く、セスは困っていると言いたいのか首を横に振る。


「とりあえず、ジークとフィーナは夕飯の準備の続き、人数が多いんだからフォトンさん1人にやらせておくわけにもいかないだろ」


「そうだった。フィーナ、行くぞ」


「わかったわよ」


カインは苦笑いを浮かべながらもジークとフィーナに夕飯の続きを任せた。

2人はキッチンに戻って行くとカインはアーカスの前に移動し、セスとアノスもカインの後に続く。


「アーカスさん、見つかりましたか?」


「……」


「アーカスさん?」


カインは魔導機器を手に考え込んでいるアーカスに声をかけるが当然、反応はない。

その様子にカインは苦笑いを浮かべるともう1度、アーカスの名前を呼ぶ。


「……見つかったようですけど、壊れているようです。魔力を供給する石は完全に使い物にならないようです」


「そうなんだ。それは困ったね」


「どうして、お前が言うと困っているように聞こえないんだろうな」


反応のないアーカスの様子にレインは苦笑いを浮かべながら、ジーク達から聞いた状況を話す。

カインは口では困ったと言うが、その表情は緩いままであり、アノスは眉間にしわを寄せた。


「失敬な。困っているよ。アーカスさんが1人で考え込んでいるから、どんな風に壊れているかもわからないから、直せるかもまったくわからない。まぁ、アーカスさんが考え込んでいるって事は何か解決方法があるとは思うけどね」


「……とりあえず、まずは魔力を通してどの程度の破損か確認する必要があるか。このままではわからない事もあるしな」


「反応しましたね」


カインはアーカスの考えがまとまるまでは休憩だと言いたいのかソファーに腰を下ろす。

それと同時にアーカスは1つの結論に達したようで小さく頷き、セスは安心したのかほっと胸をなで下ろした。


「アーカスさん、確認って何をするんですか? 手伝える事ってあります?」


「……性悪、それなりに出力のある魔導機器のコアはあるか? もしくは精霊石や魔石の類だ。1つくらいは持っているだろう」


「それなりに出力がある物だと……これくらいですよ。ただ、属性が火ですから、使えないんじゃないですか?」


カインはアーカスの手元を覗き込んで聞くとアーカスはカインに魔導機器を動力になりうるものを出せと言う。

その言葉にカインは懐から火竜の瞳の欠片を取り出して見せるが、それは火の精霊の力を秘めている物のため、使えそうには無い。


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