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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第849話

「……疲れているのかな。アーカスさんの幻が見える」


「言いたい事はわかるけど、本人だからな」


書斎で研究書を探そうとしたアーカスだが部屋の主であったアーカスを持ってしても研究書は見つからず、時間の無駄と判断したアーカスはしぶしぶフォルムへと足を運んだ。

アノスは魔導機器の探索にまで付き合う気はないようでカインの見張りにすぐに書斎に行ってしまう。

残った3人は元領主の屋敷に残っていた魔導機器の探索から始め出そうとするが、アノスから報告を受けたカインはアーカスの顔を見に来たようで、3人の背後に回るとわざとらしく目じりを押さえた。

彼の様子にジークはため息を吐くがアーカスは気にする事無く、魔導機器へと鋭い視線を向けている。


「わかっているよ。休憩もかねてアーカスさんの顔を見に来たんだよ」


「……おい。お前はこれを見たんではないのか?」


「見ましたね。俺が見たところはそこまで良い物はなかったと思います」


カインは苦笑いを浮かべるとアーカスの背後から魔導機器を覗き込む。

アーカスはカインの顔を見る事無く、ここにある魔導機器についてカインの意見を聞く。

その質問のカインは率直な意見を答えるとアーカスは小さく頷いた。


「カイン、見落としありか?」


「どうして、そんなに嬉しそうかな? アーカスさん、それで、何かありそうですか?」


「……無いな。少なくともここにあるものは装飾品や簡単な補助魔法がかけられてはいるが、そこまでのものではない」


ジークはカインが失敗したのかと思ったようで小さく口元が緩んでしまう。

彼の表情にカインは小さくため息を吐いた後、アーカスの見立てを聞く。

アーカスはつまらないと言いたげに小さくため息を吐くと視線で他に魔導機器が無いかと言う。


「ここにはないですね。カイン様やレインさんのお屋敷の方ですね」


「……そうか」


「えーと、カイン、俺達は行ってくるけど、カインは遊んでいるなよ。セスさんに俺が文句を言われるんだから」


フォトンはこの屋敷にある物は粗方、確認して貰ったと答えると場所を移動しないといけないと説明する。

アーカスは頷くと1人で歩き出し、ジークは彼を追いかけようとするがその前にカインに仕事をさぼるなと釘を刺す。


「わかっているよ。俺も忙しいからね。あ、フォトン、アーカスさんはジークに任せてテッド先生の診療所に行ってくれないかな?」


「診療所にですか? テッド先生にも魔導機器を確認して貰うと言う事でしょうか?」


「いや、目的はテッド先生じゃないよ。2人とも巨大蛇の件でケガ人が出たのは知っているだろ?」


ジークとフォトンは慌ててアーカスを追いかけようとするとカインがフォトンを引き止める。

彼の質問の意味がわからずに首を捻るフォトンにカインは巨大蛇探索でケガ人が出た事を話す。

2人ともケガ人が診療所に運び込まれた時にそこに居た事もあり、小さく頷くとその後に患者の容体が急変したと思ったようで表情を険しくする。


「ケガをした人は何も問題ないよ。テッド先生とミレットの治療に治療を終えれば、ノエルの治癒魔法もあるからね。ジークもそう判断したんだろ?」


「ああ、パッと見た感じだったけどな。それなら、何しにフォトンさんが診療所に行くんだ? アノスがついにキレたか?」


「まだ、アノスもキレてはいないよ。キレる前に最悪、ワームに連れて行かないといけないけどね」


カインの耳にもケガ人が出たと言う報告は届いているようで、ジークにケガ人の容体の見立てを聞く。

ジークは頷いた後、診療所にフォトンを向かわせる理由を不機嫌そうにしていたアノスだと考えたようで首を捻る。

カインはアノスの限界が血かいとは思いながらも原因は彼ではないと首を横に振った。


「それなら、何だ?」


「ジークはこっちを気にする前にアーカスさんを気にして欲しいかな? もう、この屋敷を出て行った頃だと思うけど」


「あ……俺はアーカスさんを追いかけますから、フォトンさん、カインの用事は任せます」


ジークはカインが何をフォトンにさせたいのかわからずに眉間にしわを寄せるとカインはジークを追い出したいようでアーカスを追いかけるように言う。

その言葉にジークはバツが悪そうに笑うとフォトンに頭を下げた後に急いでアーカスを追いかけて行く。


「カイン様、ジークを追い払ってどうかしましたか?」


「話しが早くて助かるよ。シーマが診療所にケガ人の様子を見に来たみたいなんだけど、自分の指揮の失敗で診療所に運ばれるようなケガ人を出してしまった事に落ち込んでいるみたいでね。診療所にはカルディナ様もいるし、おかしな事になってそうだからね。シーマの事を任せたいんだよ。お年寄り達もフォローをしてくれているみたいだけど……お年寄り達って孫みたいの年の娘を甘やかす生き物だからね」


「そ、そう言うのもありますよね」


ジークが部屋を出て行ったのも見送った後、フォトンは話の内容がジークに聞かせない方が良いと理解したようである。

フォトンの察しの良さにカインは苦笑いを浮かべるとシーマを励まして欲しい笑った後、ジオスのお年寄り達がノエルやフィーナを甘やかしている様子とフォルムのお年寄り達の姿が重なったようで眉間に深いしわを寄せた。

カインの表情の変化にフォトンは納得できるものがあったようで眉間にしわを寄せると2人は顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。


「とりあえず、そう言う事だから、任せても良いかな? 俺達相手だと弱みを見せたら付け込まれるとか思ってそうだし、お年寄り達は甘やかすだけの可能性もあるから、失敗するのは仕方ない事だけど、そこから何かを学んで貰わないと失敗の意味がないからさ」


「わかりました。ありがとうございます」


「いえいえ、俺にもシーマが成長する事はメリットがあるからね」


カインはシーマの成長のためにもよろしく頼むと頭を下げた。

フォトンはカインの気づかいに深々と頭を下げて礼を言うとカインは照れくさいのか視線をそらすと逃げるように部屋を出て行く。

彼の背中にフォトンは苦笑いを浮かべるとカインが出て行ってからしばらく時間をあけて診療所に向かう。


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