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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
838/953

第838話

「……」


「セスさん、怒っています?」


「別に怒ってはいません。このような事になる可能性も考えていましたし、フィリムの事を考えれば良い事ですが……突然すぎました」


フィリムの仲介で魔術学園から5人の研究員がフォルムに派遣された。

ジークの転移の魔導機器だけでは間に合わなかったため、フィリムも転移を手伝ってくれたのだが突然の事にセスはどうして良いのかわからずに眉間にしわを寄せており、ジークとノエルは彼女の様子に後ずさりをする。

セスは眉間しわを寄せたまま首を横に振るとまったく準備ができていないと頭を抱えだす。


「た、確かに」


「そう言うのはカインさんにも手伝って貰って考えましょう」


「そう言えば、そのカインはどこに行ったんだ?」


ノエルはセスだけが考える事でもないと言うとジークは周囲を見回しカインを探すが、カインの姿はない。


「カイン様なら、来客中です」


「来客? セスさんが一緒じゃなくて良いんですか?」


「……ええ、あまり言いたくはないのですが、女性を見下している所のある方ですので私は席をはずしています。代わりにレインが同席してくれています」


フォトンはカインの状況を話すと王都から来た研究員達を屋敷内に案内して行く。

その様子をジークは見送った後、セスが同席していない事に首を捻るとセスは眉間にしわを寄せたまま、同席していない理由を話す。


「女性を見下しているか……カインがキレなければ良いな」


「大丈夫でしょう。カインはそんな事をするほどバカではありません」


「そう思いたいですね」


ジークは頭をかきながら、おかしな事にならなければ良いと言うとセスは心配いらないと表情を和らげた。

彼女の言葉にジークは同意をしたいようだが、無駄な反発心が出たのか彼女から視線をそらす。


「とりあえずはカインが同席してからですね」


「そうはならなさそうですけど」


「どうかしましたか!? は、放しなさい。私には他にもやらなければいけない事が!?」


ジークの様子にセスは小さくため息を吐くとジークとノエルにも屋敷に入るように促した。

その言葉にジークは頷きかけるが、セスの背後に迫っている陰に気が付き大きく肩を落とす。

彼の態度にセスが首を傾げた時、研究員達が戻ってきていたようで彼女を抱えると屋敷の中に戻って行く。


「ジ、ジークさん、どういう事でしょうか?」


「セスさん巻き込んで生の調査データが見たいんだろ……俺達はどうするかな? テッド先生のところに行くか?」


「ジーク、ノエルさん、皆様はどこに?」


セスが連れ去られる様子にノエルは顔を引きつらせるが、ジークは何度も魔術学園を訪れているため、彼らの性質を理解しているようで小さく肩を落とした後、これからの予定を決めようと首を捻る。

その時、案内していた研究員が居なくなった事に気が付いて戻ってきたのかフォトンが気まずそうに2人に聞く。


「セスさんを連れて研究室だと思いますよ」


「そうですか……あの、お2人はこの後、どうするつもりですか?」


「俺とノエルはテッド先生の診療所に行くか、調合室で調合するかだな」


セスと研究員の行き先を聞いたフォトンは苦笑いを浮かべた後、ジークとノエルにこの後の方針を訪ねる。

ジークはこの後の事を話すとフォトンは何かあるのか少し考えるようなそぶりをした後に小さく頷いた。


「どうかしましたか?」


「少し、お2人に手伝っていただきたい事があるんですが」


「何ですか?」


フォトンの様子にノエルは何かあったと思ったようであり、放して欲しいと言うとフォトンは2人に頼み事があると言う。

特に断る理由もないため、ジークは首を捻るとフォトンは立ち話もなんだと思たようで2人を屋敷の中に招く。


「まだ、カイン様とセスさん、レインさんに許可を取っていませんが、研究員さんの住居を用意しないといけないんです」


「そうですね。冒険者の店に走って部屋を用意してきましょうか? 部屋が無くなると不味いですし」


「それも考えたのですけど、調査がいつまで続くかはわかりませんし、長期になると費用にも問題が出てくると思います」


フォトンが心配しているのは研究員達の住居であり、ジークは冒険者の店に部屋の確保を頼もうとして屋敷を出て行こうとする。

彼の逸る行動をフォトンは止めると費用の問題で難しいと首を横に振った。


「魔術学園から金が出るんじゃないか?」


「わかりません。その辺の交渉はカイン様やセスさんに任せたいと思いますが、フォルムでもある程度は出さないといけないと思います」


「そうなのか……それで俺とノエルは何をしたら良いんだ?」


フォトンはセスが考えていたようで費用の事を心配しているようで大きく肩を落とす。

ジークはフォトンが心配している事を考えるのは自分ではないと思っているようですぐに彼の考えを聞く。


「現在、レインさんは完全にカイン様達と一緒に暮らしているのでレインさんのために用意されている屋敷は空いています」


「それは確かにそうだな……そこに研究員を住まわせてしまうって事か?」


「はい。レインさんもカイン様と一緒にフォルムに来た時はあまり荷物を持ち込みませんでしたし、使っていない部屋も多いです」


フォトンは使っていないレインに用意された屋敷を研究員に提供しようと考えたようであり、ジークは確認するように聞き返す。

ジークの返事にフォトンは頷くと使っていない屋敷を遊ばせているほどフォルムは余裕がないと言いたいようで苦笑いを浮かべた。


「確かに俺達がフォルムに来てから……レインが屋敷に戻っている所を見た事がない」


「えーと、今もレインさんのお屋敷って見張られているんですかね?」


「はい……レインさんも1人で出歩いている時は背後に冷たい物が伝う時があると言っています」


ジークは今までレインが自分の屋敷に戻っている姿を見た事が無いと言うとノエルはレインが一緒に住むに至った経緯を思い出して苦笑いを浮かべる。

フォトンはレインから話を聞いているようで同族の娘達の行動に申し訳なく思っているようで大きく肩を落とす。


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