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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
835/953

第835話

「お帰り、面倒事に巻き込まれなかったかい?」


「ライオ王子には会わなかったけど、エルト王子に巻き込まれた」


「……それは大変でしたね」


ジークとフォトンはエルトとバーニアと別れるとフォルムに戻る。

セスに頼まれていた物を届けるために彼女を探しているとセスはカインの書斎にいると聞き、ジークとフォトンは書斎を訪れた。

カインは2人を招き入れると魔術学園でライオに会わなかったかと聞くとジークはエルトに遭遇した事を話す。

セスはエルトに遭遇してしまったと聞き、大きく肩を落とすと彼女の反応にジークとフォトンは苦笑いを浮かべる。


「それなりに大変ではあったけど、エルト王子も忙しそうだったからな。さほど、問題ではなかったよ」


「ですね。それより、確認して貰っても良いですか?」


「そうですね」


ジークはエルトが忙しそうだったと答えるとフォトンはセスの研究室から運んできた物に間違いはないかと聞く。

セスは確認が必要だと考えたようでフォトンから荷物を受け取り、確認を開始しようとする。


「ここで広げるとまた片付けないといけないよ」


「そうですね」


「それでは、研究室に運びましょう」


セスの対応にカインは小さくため息を吐いて彼女を引き止めるとセスはバツが悪そうに視線をそらした。

2人の様子にフォトンは柔らかい笑みを浮かべると荷物をセスから受け取り、カインに頭を下げて書斎を出て行く。


「私は研究の方に移りますから、ジーク、カインの見張りをお願いします」


「……見張り? できると思いますか?」


「無理でもどうにかしてください。他に頼める人がいないんです」


セスは荷物が届いたため、研究の続きに移ろうと考えたようでジークにカインの見張りをお願いする。

その頼みにジークは無理だと言いたいのか首を横に振るとセスは無理は承知だと強く言うとフォトンを追いかけて書斎を出て行く。


「見張り? ……無理だろ」


「無理だろうね」


「お前が言うな」


セスの背中を見送った後、ジークはカインへと視線を向けると大きく肩を落とす。

カインは笑顔でジークでは無理だと言い、その言葉にジークは眉間に深いしわを寄せる。


「はいはい。冗談だよ。俺も状況くらい理解しているからね。それでエルト様に捕まったって言っていたけど、何かあったかい?」


「ああ……ガートランド商会がライオ王子を狙っているらしい」


「それは大事だね」


ジークの表情にカインはくすりと笑うとエルトに何か聞いたかと聞く。

エルトから聞いたガートランド商会の企みにジークは眉間にしわを寄せたまま答えるとカインは大変だと言うが、その表情は大事と思っているようには見えない。


「……お前、本当に大変な事だと思っているか?」


「思っているよ。ただ、現状で俺達ができる事は少ないからね」


「そうだとしても」


カインの表情にジークは大きなため息を吐くとカインは全てに対策ができるとは考えていないと苦笑いを浮かべた。

ジークは納得ができないようで眉間に深いしわを寄せる。


「俺が居なくたって、ラング様もいるからね。それくらいの対策はしてくれているよ。ラング様は食えないからね」


「……確かにお前をエルト王子の臣下に迎え入れようとするんだから、食えない人間だろうな」


「国王様を自他ともに支えていると言っても過言ではないからね。もしかしたら、ガートランド商会の尻尾を探しているかもね」


カインはラングがいるから心配いらないと言った後、ラングの顔を思い浮かべたようで眉間に深いしわを寄せた。

ジークは1度しか面識のないラングの顔を思い出すとカインの顔を見た後、大きく肩を落とすとカインはラングが何か企んでいる可能性があると言う。


「……どうして、こんなあくどい人間ばかり、集まるのかな?」


「政を行うには時には毒も必要です」


「自分で毒って言うなよ」


カインは悪巧みをする人間も必要だと笑うがジークは振り回されている事もあり、眉間にしわを寄せる。


「それに俺としてはライオ様より、エルト様の方が心配だね。ライオ様は魔術学園にいる事が多いし、外出する時は警護を付けるようにしてあるけど……エルト様は勝手に動き回るから」


「……それに関して言えば、同感だ。今日も騒ぎになっていたし」


「せめて、護衛の1人でもつけて歩いてくれれば良いんだけどね。それだと視察にならないって言うから」


カインは自分が心配しているのはエルトより、ライオだと言うとジークは王城にエルトを送った時にエルトが居なくなったと騒ぎになっていた王城の様子を思い出して肩を落とす。

エルトの行動はカインも困っているようで頭をかいた後、書類に目を通すのが飽きたようで大きく身体を伸ばした。


「前にエルト王子から民の様子を見るのも他人の上に立つ者に必要な能力だってカインが言ったって聞いたぞ」


「言った事は否定しないよ。ただ、その時とは状況が違うからね」


「状況が違うって言うのは単純にお前が王都に居ないって事か?」


エルトの王都探索はカインの意見を取り入れた結果だと言うジークにカインは大きく肩を落とす。

その言葉にジークは少し考えるとカインがエルトの側にいない事が原因かと聞く。


「そうだね。騎士とか兵士は仰々しくて連れて歩けないけど、平民出身の魔術師なら王族がそばにいるとは思わないだろ」


「確かにあれだけ人がいれば、王族が徘徊しているとは思わないよな」


「1人で徘徊していても、王族だとは思わないだろうけどね……エルト様の徘徊癖は有名になっているから、狙ってくださいって言っているような物だから」


人が溢れているからこそ、目を誤魔化せると考えていたカインだが今となっては余計な事を言ったと言いたいのか眉間にしわを寄せる。

ジークは頷くものの、それでも非常識だと言いたいようでカインへと視線を移すとため息を吐く。

問題はエルトの命を狙うような人間がエルトの徘徊癖を知っている事だと考えているカインは大きく肩を落とす。


「……そのうち、リュミナ様も連れまわしそうだよな」


「そこはリアーナが絶対に阻止すると思うから大丈夫だと思いたい」


ジークはエルトがリュミナを連れまわす可能性があると思ったようで眉間に深いしわを寄せる。

カインはこれ以上、おかしな騒ぎになっては困るため、リュミナの側に控えているリアーナに勝手に望みを託す。


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