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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
831/953

第831話

「……こんなに種類があるのか?」


「他の国からも商品が入ってくるからな……えーと、この辺だったか?」


「今更ですけど、どうして紅茶を選んでいるんですかね?」


バーニアの案内でジークとフォトンは買い物を始める。

紅茶を買いに来た店は店内で紅茶を飲めるような専門店であり、ジークはその種類の豊富さに戸惑いの表情を見せているがバーニアは気にする事無く、店員に声をかけて商品を探して行く。

フォトンは見た事ある紅茶もあるようで商品を手に取るがなぜ、紅茶を選んでいるのかわからずに苦笑いを浮かべた。


「ミレットさん、対策かな?」


「かもな。実際問題、お前らって、ミレットさんが抜けたら立ちいかなくなるだろ」


「……否定できないですね。食事の準備や屋敷の掃除とか今はほとんど任せていますから、ミレットさんが居なくなってしまったら、フォルム領地運営は一気に崩れるかも知れない」


ジークは紅茶をカインがミレットのために用意している気がしたようで視線をそらすとバーニアはフォルムでの生活がミレットで成り立っていると感じているのか苦笑いを浮かべる。

その言葉にジークは普段の生活の様子を思い浮かべたようで少しは彼女を労わないといけないと思ったようで頭をかいた。


「それなら、ミレットに何かプレゼントでもしてみたらどうかな? カインは道具にお金をかけるような事をしないから、道具は安いものだろうし、道具をそろえてあげると喜ぶよ」


「……また、公務をサボっているのか?」


「何を言っているんだい? 休憩だよ」


その時、ジークの背後から聞きなれた声が聞こえる。

ジークのため息にバーニアとフォトンが振り返ると笑顔のエルトが立っており、ジークの言葉は言いがかりだと言う。


「それで何をやっているんだい? 紅茶なんてジークが買う必要はないじゃないか?」


「俺にもいろいろとあるんだよ。それより、リアーナとかが困っているから速く王城に戻れよ」


「だから、休憩だって言っているじゃないか。私だって遊んでいるわけじゃないんだから、ここは紅茶も飲めるから、少し付き合ってよ」


エルトはジークの隣に並ぶと紅茶を1つ手に取るがジークが紅茶の店にいる理由がわからずに首を傾げる。

ジークはエルトが護衛もつけずに街中をうろついている事に頭が痛くなってきたようで眉間に深いしわを寄せるがエルトが気にする事はなく、店員に声をかけると4人分の紅茶とお茶菓子を注文し始めた。

その様子にフォトンはどうして良いのかわからずにバーニアへと視線を向けるが、こうなってはエルトを抑える事はできないため、バーニアは首を横に振る。


「……」


「どうして、そんなに不機嫌そうに飲むかな? せっかく、1番高価な物を頼んだのに」


「面倒事に巻き込まれるんだと思うとこうなるだろう……」


店内にあるテーブルに腰を下ろすと不機嫌そうなジークの表情にエルトはため息を吐く。

ジークはエルトとの遭遇は考えていなかったためか、不機嫌そうな表情のまま、置かれたカップを手に取り、紅茶を口に運ぶ。

口に広がった紅茶の味はジークの好みには合わなかったようで眉間には深いしわが寄った。


「口に合わなかったみたいだね」


「……そう言うわけじゃないけど」


「それなら、顔に出さない。失礼だからね。ただ、ジークの言いたい事もわかるけど」


ジークの表情にエルトは苦笑いを浮かべる。

エルトに指摘された事をジークは否定するとエルトはいつもよりは大人の対応をするが、エルトも頼んだものがあまり好みではないのか小さくため息を吐いた。


「……それなら、どうして頼むんだよ?」


「自分ではあまり頼まないからね。勧められれば飲むけど、だから、どれが美味しいかはわからない。リュミナが居ればわかるんだけどね」


「わからないなら、高価な物を買わないでくれ」


ジークは呆れたように言うとエルトは管轄外だと言いたいのか気まずそうに笑う。

エルトの反応にジークはもったいないと言いたいようで大きく肩を落とす。


「ジーク、他の物も飲んでみないか?」


「いや、そんな手持ちないし」


「それくらい。俺が出してやるよ」


バーニアはエルトが頼んだ紅茶を飲み干すとジークを呼ぶ。

それはもう1杯の提案であるがジークは財布の中身を確認して首を振るがバーニアは店員を呼び止めるとカインに頼まれた紅茶を注文する。


「バーニアのおススメかな?」


「俺と言うよりはカインのかな? せっかくだし、味見くらいしていても罰は当たらないと思って」


「味見か? 確かに飲んでみるのも良いか……そう言えば」


エルトはバーニアが紅茶に詳しいと思ったようで興味深そうに聞くが、バーニアは苦笑いを浮かべた。

ジークは飲んだ事もない紅茶を買って帰る事に少し疑問を持ったようで小さく頷いた後、何か聞きたい事があるのかエルトへと視線を向ける。


「どうかしたのかい?」


「王都周辺にも巨大蛇が出ているって聞いたけど、どうなっているんだ?」


「その件かい? 今はクラウドの騎士隊が討伐に出てくれているけど、大量発生している理由がわからなくてね。ライオに調査して貰っているよ」


エルトが首を傾げるとジークは巨大蛇の事をエルトがどこまで知っているか確認したいようで質問をする。

その質問にエルトはあまり詳しくはわからないようで首を捻った。


「そうか。バーニアは何か情報をつかんでないのか?」


「俺も最近は王都の外に出てなかったからな。蛇皮とか骨は間に合っているからな」


ジークはバーニアの方には情報は入っていないのかと聞くとバーニアは自分の商売の状況以外は気にならないようで少しだけ気まずそうに頭をかく。


「それで、王都周辺にもって言う事は他にも巨大蛇が出ているのかな?」


「……聞き逃さなかったか」


「話を聞き逃してしまうと重要な判断ができなくなるからね」


エルトはジークの質問から彼の周囲でも巨大蛇が出ていると理解したようで口元を緩ませた。

彼の言葉にジークは自分が失言をしたと気が付いたようで頭をかくとエルトは必要な事だと笑う。


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